年金繰り下げ受給のメリットとデメリットは?得をする人の特徴も解説

老後のお金・年金

年金は自身の老後をより豊かにする制度であり、大切な資金として若い内からしっかりと収めている人は多いものです。

今回は、年金繰り下げ受給のメリットとデメリットについて紹介していきます。

年金は繰り下げ受給で損する人も得する人も存在しているので、自分はどうなのか知っておくと対処がしやすくなります。
 
 

年金繰り下げ受給とは?

年金の「繰り下げ受給」とは、本来65歳から受け取れる年金を1年繰り下げて受給することです。

繰り下げて受給することによって生まれるメリットはさまざまで、これまでは70歳までが繰り下げの年齢上限だったものの、2022年4月からは75歳まで延ばせることが確定しています。

繰り下げ受給にすると、単純に受け取れる年金の総額が増加するのが大きな特徴です。

ただし、繰り下げ受給は場合によってデメリットにもなり得るので注意が必要です。
 
 

年金繰り下げで毎月の受給額が上がる

繰り下げ受給は2022年4月から75歳まで可能ですが、対象は2022年4月1日以降に70歳に到達する人です。

つまり、昭和27年4月2日以降に生まれた人が対象となります。

ここでは、年金繰り下げのメリットとデメリットについてそれぞれ紹介していきます。
 
 

年金繰り下げのメリット

年金繰り下げのメリットは、なんといっても手続きをした翌月から1ヶ月ごとに受け取る年金が0.7%ずつ増えることです。

2021年では働き方が多様化しているため、働ける間は働いていたいという人や少しでも多く年金を受け取りたいと考える人には大きなメリットとなりました。

1ヶ月あたり老齢基礎年金・老齢厚生年金共に0.7%増額し、12ヶ月で8.4%の最大42%の増額が見込めます。

先ほども紹介した通り、繰り下げ受給にすると単純に受け取れる年金の総額が増加するのが大きなメリットです。

65歳を過ぎても現役で働いていてある程度金銭的に余裕がある人は、受給を繰り下げて年金額を増やすのもおすすめです。
 
 

年金繰り下げのデメリット

一方で年金繰り下げのデメリットですが、年金額が増えると同時に税金や社会保険料も増えてしまうということが挙げられます。

純粋にもらえる年金額が増えることは嬉しいものの、税金など支払いが増えることから実際の手取り額はあまり多くありません。

また、夫婦に年齢差がある場合は「加給年金」が受け取れない期間が生じます。

さらにいうと、早くに亡くなってしまうと本来65歳で受け取れる年金が繰り下げをしたせいで少なくなってしまう場合も考えられるのです。

「自分がいつ亡くなってしまうか。」というのは考えたくもありませんし、予想もできません。

ですが1つのケースとして、繰り下げをしたせいで受給開始前に1円も受け取らずに亡くなってしまったという事例も存在しています。

年金繰り下げのデメリットをまとめると以下の通りです。
 

  • 年金額が増えると同時に税金や社会保険料も増える
  • 税金など支払いが増えるので実際の手取り額はあまり多くない
  • 早くに亡くなると1円も受け取れない

 

メリットも大きいですが、その分デメリットも大きいので自分の中でよく考えてから結論を出しましょう。
 
 

年金繰り下げが得になる人

実際のケースにならって、年金繰り下げが得になる人の特徴を以下2つに分けて紹介していきます。

・妻が年上の場合
・夫婦単位で考える場合

必ずしも自分に当てはまるとは限らないので、あくまでも参考程度にご覧ください。
 

妻が年上の場合

例えば夫に加給年金が加算される際に、妻が65歳以上の年上だとします。

その上妻は、老齢基礎年金を受け取っているという夫婦も存在しているのです。

この場合、日本年金機構から「手続きのお知らせ」と書かれたハガキが自宅に届きます。

このハガキと一緒に必要な書類を年金事務所へ提出することで、妻側に「振替加算」が支給されて妻自身の老齢基礎年金になるのです。

遺族年金を受給するようになったり、仮に離婚したりした場合も基本的に例外を除いて振替加算がなくなることはありません。

夫に加算される加給年金に比べると妻側の金額は少ないものの、長い老後のことを考えるとかなり貴重な年金だといえます。
 

夫婦単位で考える場合

会社員で厚生年金にも加入のしている夫と専業主婦の妻という世帯では、受給額は月額約22万円とされています。

基本的に年金の受給資格が発生していれば繰り下げ受給制度は利用可能なので、夫婦単位で考える人も珍しくありません。

夫婦単位で年金について考える際は、夫婦の年齢差に注意してください。

例えば妻が夫よりも5歳年下だとして、夫が年金の受給を65歳から開始して70歳までの5年間で約195万円の加給年金が加算可能です。

ですが受給年齢を夫が70歳まで繰り下げしてしまった場合、それまでの金額が受け取れなくなってしまうのです。

そういった状態に陥らないようにするためには、夫は65歳から厚生年金を受け取って基礎年金だけ繰り下げることをおすすめします。

厚生年金と基礎年金は、一緒に同じ手続きをしなければならないと考えている人は少なくありません。

ですが、この方法だと加給年金が受け取れてなおかつ基礎年金の繰り下げで年金受給額が増額されるのでかなりお得だといえます。
  

年金繰り下げが得にならない人

実際のケースにならって、年金繰り下げが得にならない人の特徴を以下2つに分けて紹介していきます。

・65歳以降も働く場合
・単身者の場合

必ずしも自分に当てはまるとは限らないので、あくまでも参考程度にご覧ください。
 

65歳以降も働く場合

仮に70歳未満の人が厚生年金に加入しながら働いている場合、給料やボーナスの額と老齢厚生年金の額に応じて一部の年金または全額が支給停止になるので注意してください。

この仕組みを「在職老齢年金」といい、在職老齢年金による支給停止額は残念ながら繰り下げ支給の対象にはなりません。

ですが老齢基礎年金と呼ばれる、国民年金や厚生年金保険などに加入して保険料を納めた方が受け取る年金は全額支給されます。

必ずしも得をするとは限らないので、さまざまな条件を考えながら繰り下げを考える必要があります。
 

単身者の場合

元々単身生活の人や、離婚や死別などの理由によって1人で生活している人は年金繰り下げが得にならないといえます。

もしくは非正規雇用期間が長くて年金保険料が少ないという人は、比例して年金受給額が少ない傾向にあります。

そんな人は年金の受給時期を繰り下げて、65歳以降も社会保険に加入しながら働くのも選択肢の1つです。

単身者の場合は、生活費を賄いながら老後資金を確保することも視野に入れて考えましょう。
 
 

まとめ

必ずしも繰上げ受給、または繰り下げ受給のどちらかを選択しなければならないというわけではありません。

あくまでも1つの選択肢としてどちらも存在しています。

今回は、年金繰り下げ受給のメリットとデメリットについて紹介してきました。

注意して欲しいのは、1度繰り下げ請求したら取り消しができなるということです。

繰上げ受給も不可能なので、請求する際は慎重に決定するようにしてください。

自分や配偶者のライフスタイルや健康状態を考慮するのも大切なポイントです。

万が一自分では判断が付かないという人やもっと詳しく相談してみたいという人は、ファイナンシャルプランナーや自治体などに相談してみましょう。