認知症予防に脳トレは効果的?種類や自分に合った脳トレを見つける方法も

認知症の全知識

「認知症予防のために脳トレを取り入れたいけれどどうすればいいの?」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。

ここでは、脳トレの認知症予防への効果や脳トレの種類、自分に合った脳トレを見つける方法などを詳しく解説していきます。

この記事を最後まで読み終えていただければ、脳トレの適切な選び方や行い方が分かり、認知症予防に役立てることができます。脳トレの導入に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

【この記事でわかること】

●  認知症予防の前にまずは認知機能を確認しよう

●  認知症予防に脳トレは効果的?

●  認知症予防に効果的な脳トレの種類5選

●  自分に合った認知症予防の脳トレを見つける方法

●  認知症予防や脳トレに関するよくある質問

認知症予防の前にまずは認知機能を確認しよう

認知機能は加齢に伴い、徐々に低下していきます。

認知機能の分類は次の通りです。

  1. 記憶力
  2. 注意力
  3. 計算力
  4. 見当識(現在の年月や時刻、自分がどこに居るかなど基本的な状況把握)
  5. 遂行能力
  6. 判断力
  7. 言語能力
  8. 社会的行動能力

どの機能から衰えていくかは、人それぞれです。

また、認知機能が低下し、日常生活に支障をきたしている状態を「認知症」といいます。認知症は一度発症すると進行を止められません。ただし、脳を活性化させることで認知症の進行を遅らせるのに役立ちます。

したがって、衰えを感じている認知機能を把握して機能の維持を心がけましょう。

認知症予防に脳トレは効果的?

認知症の予防に、脳トレは効果的であるとされています。

脳は年齢と共に機能が低下するものです。毎日同じことを繰り返したり、頭をあまり使わなかったりした場合、脳の機能は衰えていきます。

そこで、脳を活性化させ、機能低下を防ぐことが必要です。脳を刺激し、血流を促す方法を確認してみましょう。

  • 新しい発見がある
  • 楽しいと感じることを行う
  • 有酸素運動に取り組む
  • 自分の頭で考える

脳トレには、脳の活性化につながる要素が多く含まれていることが分かります。

実際に、イギリスのエクセター大学の研究(※)によると、「脳トレを定期的に行った結果、脳の機能が向上した」と報告されました。

したがって、認知機能の低下を防ぐのに役立つ脳トレを取り入れ、できるだけ脳を健康な状態に保つことが大切です。

※参考:University of Exeter

認知症予防に効果的な脳トレの種類5選

脳トレの種類によって、脳の部位ごとの血流量は変化するとされています。脳トレは、鍛えたい認知機能を意識して、脳の隅々まで血流を促すものを選びましょう。

認知症予防に効果的な脳トレは次の通りです。

  • 間違い探し
  • 買い物の計算問題
  • 立体パズルやジグソーパズル
  • なぞなぞやクイズ
  • 点つなぎ

上記5つの脳トレについて詳しく解説していきます。

間違い探し

間違い探しによって鍛えられるのは、観察力や集中力です。

間違いを探している間だけでなく、見つけた時の喜びも脳の活性化につながります。間違い探しは、新聞や雑誌、本などに掲載されていることが多く、手軽に取り入れやすいです。

また、インターネットで無料ダウンロードできる物も多くあります。ゲーム感覚で楽しく取り組めるので、飽きっぽい方にもおすすめです。

買い物の計算問題

買い物計算問題は、計算力と記憶力を鍛えられるトレーニングです。

買い物をしながら、かごに入れた商品の値段を計算してみましょう。買い物中に意識するだけなので、実践しやすく継続にもつながります。

脳トレ用の計算問題をインターネットで無料ダウンロードすることも可能です。買い物に行く機会が少ない方は、活用してみてください。

ただし、簡単すぎるものや似たような問題の繰り返しは、計算力は鍛えられるものの脳のトレーニングとしては役立ちません。したがって、「スムーズには解けないけれど、少し考えれば答えを導き出せる」ような難易度にしましょう。

立体パズルやジグソーパズル

立体パズルやジグソーパズルは、小さいピースを指でつまむので、指先から脳に刺激が伝わります。試行錯誤しながら完成を目指すことで、脳が活性化されるトレーニングです。

ただし、パズルの難易度には注意しましょう。難易度が高すぎるものや、パズルのピースが小さすぎるものは、高齢者には向きません。

また、少し厚みのある雲形のピースは、高齢者でもつまみやすいですが、幼児・子ども向けのパズルが多いため、「バカにされている」と感じるかもしれません。

インターネットで、「高齢者 パズル」と検索すると、風景や動物、名画といった高齢者向けのパズルが見つかります。

パズル選びで悩んだ場合は、高齢者向けのパズルを利用してみましょう。

なぞなぞやクイズ

なぞなぞやクイズは、これまでの記憶や経験、知識を振り返ったり、想像力を働かせたりします。普段とは異なる脳の使い方をするため、脳の活性化に効果的です。

また、家族や友人と共に問題を出し合ったり、解答したりすることで、コミュニケーション能力も鍛えられます。

高齢者の世代に合わせて、昔流行った曲や映画、俳優・女優などに関する問題を出すのもおすすめです。

点つなぎ

点つなぎは、数字やアルファベットの順番を追って点をつなぎ、絵や図を完成させるトレーニングです。

目で数字を追いながら、手で点と点を線で結んでいくため、同時に複数のことを行います。脳の前頭葉という部分を刺激し、脳の活性化につながります。

また、できあがり後にぬりえとして再活用すれば、より達成感や満足感を得られるのも魅力的です。

インターネットで、無料の点つなぎプリントをダウンロードできるので、活用してみましょう。

自分に合った認知症予防の脳トレを見つける方法

脳トレは、自分に合ったものを選ぶことで、認知機能の維持に役立ちます。

自分に合った認知症予防の脳トレを見つける方法は次の通りです。

  • 楽しんで取り組めるか
  • 自分に合った難易度であるか

上記2つの方法について詳しく解説していきます。

楽しんで取り組めるか

脳トレで重要なのは、「興味を持てる」「楽しい」「ワクワクする」といったポジティブな感情です。ネガティブな気持ちで取り組んでも、脳は刺激されません。

そのため、「認知症の予防に効果的だから」と家族が無理強いする行為はやめましょう。したがって、興味を持てるものを選んだり、楽しめるように声掛けを行ったりすることで、本人の意欲を引き出すことが大切です。

自分に合った難易度であるか

脳トレは、本人に合った難易度のものを選んでください。

おすすめの難易度は次の通りです。

  • 少し考えれば分かる・行える
  • やり終えて達成感が感じられる
  • 楽しみながら取り組める

簡単すぎるものは、脳の刺激にならないので、充分な効果を得にくいです。

また、難易度が高すぎるものは長続きしにくく、途中でやめてしまう場合があります。苦痛やストレスを感じると、認知症予防の効果は期待できません。

「少し考えたけどできなかった」とすぐに投げ出してしまう方や飽きっぽい方は、興味を持って最後まで取り組めるように付き添いましょう。

認知症予防や脳トレに関するよくある質問

認知症予防や脳トレに関するよくある質問は次の通りです。

  • 趣味を持つことは認知症予防につながる?
  • 認知症予防に効果的な食べ物は?
  • 認知症予防の脳トレに使えるプリントはある?

「認知症予防や脳トレについてもっと詳しく知りたい」という方は少なくありません。上記3つの質問も把握しながら、お悩みの解消に役立ててください。

趣味を持つことは認知症予防につながる?

趣味を持っている方は、認知症リスクが低いことが分かっています。

知的活動や身体活動によって、認知症の原因となるアミロイドβの蓄積や、炎症反応、灰白質の萎縮を抑制するためです。

趣味を通じて生きがいをもつことで、他者との交流の場や楽しみにつながり、認知症予防に役立ちます。また、認知症リスクを高める糖尿病や高血圧、肥満といった生活習慣病の改善にもつながるのも嬉しいポイントです。

認知症予防だけでなく、健康的で生き生きとした生活を送るためにも、楽しみを感じられる趣味を持ちましょう。

認知症予防に効果的な食べ物は?

バランスの良い健康的な食事は、生活習慣病や認知症の予防に役立ちます。

特に、認知症の予防に効果があるとされている食材は次の通りです。

食材 栄養素の効果・効能
青魚

(イワシやサンマ、サバなど)

●  DHAによって記憶力や判断力の向上につながり、認知機能の維持につながる

●  EPAによって血管を拡張して血行を良くするため、生活習慣病の予防に役立つ

緑黄色野菜・果実類

(アスパラガスやにんじん、かぼちゃ、ほうれん草など)

●  ビタミン類が血中コレステロールの値を下げたり、血管の老化を防ぐ抗酸化作用を高めたりする
コーヒー・紅茶 ●  カフェインによって血流が良くなるので、脳内の神経伝達物質を円滑にし、認知機能の低下を防ぐ
赤ワイン ●  強力な抗酸化作用のあるポリフェノールが老化、動脈硬化、高血圧、認知症予防に役立つ
カレーに含まれている香辛料のターメリック ●  クルクミンという成分が免疫細胞を活性化し、認知症予防に役立つ可能性がある
カマンベールチーズ ●  BDNF(脳由来神経栄養因子)というたんぱく質の血中濃度が上昇し、認知症予防への効果が期待できる

ただし、効果があるとされている食材ばかり偏って大量に摂取するのはおすすめできません。

他の食材と上手に組み合わせながら、毎日の食事の中に無理なく取り入れましょう。

また、食事の用意や、家族・友人との食事の場は、脳が活性化されて認知症予防への効果が期待できます。食事を楽しめるような環境づくりも大切です。

認知症予防の脳トレに使えるプリントはある?

脳トレに使えるプリントは、インターネットで無料ダウンロードできます。どんな脳トレが向いているのか分からない場合、まずは手軽に入手できるものを試してみるのがおすすめです。

認知症予防の脳トレは自分に合った方法で日頃から行おう

脳トレは楽しみや興味を持てるものを選ぶことで、脳を刺激し、認知機能の維持に役立ちます。

ただし、無理強いしたりネガティブな気持ちで取り組んだりしても脳が活性化されないので、認知症予防の効果も得にくいといえるでしょう。したがって、本人が意欲的に行えるように付き添って声を掛け、難易度に配慮しましょう。

また、脳トレだけでなく、バランスの良い食事や趣味を持つことで、日常生活の中に楽しみを見出し、認知機能の維持が期待できます。

認知症予防のためには、自分に合った方法を選び、日頃から取り組むことが大切です。