老人ホーム入居時に住民票は移さない?メリット・デメリットも解説

介護中の生活

この記事では、老人ホームに入居する際に住民票を移すメリット・デメリットを解説します。

 

老人ホームに入居する際に住民票を自宅から老人ホームに移すかは、多くの人が悩むポイントの1つといえます。特に、施設への入居が一時的である場合などは、住民票をわざわざ移すことを億劫に感じるでしょう。

 

本記事では、老人ホーム入居時に住民票を移す場合の注意点や流れも併せて解説します。ご本人やご家族が老人ホームへの入居を控えている人は、ぜひ本記事を最後までお読みください。

 

【この記事でわかること】

● 老人ホーム入居時は住民票を移すのか

● 老人ホーム入居時に住民票を移すメリット・デメリット

● 老人ホーム入居時に住民票を移す際の注意点

● 老人ホーム入居時に住民票を移す手続きの流れ

 

老人ホーム入居時は住民票を移すのが一般的

 

老人ホームに入居する際には、住民票を移すケースが一般的です。

 

義務付けられているものではないため、移動のタイミングは自由に選べます。また、施設への入居期間が短い場合、転居の必要はありません。

 

しかし、住民票を移動することにはメリット・デメリットがあるため、それぞれを比較したうえで検討しましょう。

 

老人ホーム入居時に住民票を移すメリット

 

老人ホーム入居時に住民票を移すとさまざまなメリットが期待できます。

 

  • 介護保険料が安くなるケースがある
  • 介護サービスが豊富に利用できる
  • 老人ホームへ郵便物が直接届く

 

上記3点について見ていきましょう。

 

介護保険料が安くなるケースがある

 

介護保険料は自治体によって異なり、全国一律ではありません。老人ホームが立地する市区町村の介護保険料が安ければ、住民票を移すと介護保険料が安くなるケースがあります。

 

介護保険料を多く納付しても、サービスの質には影響しません。むしろ、介護保険料を安く抑えられるとその分を介護サービス費や生活費に充てられるため、生活の質の向上を見込めるでしょう。

 

また、なかには住民税や固定資産税の軽減措置を受けられる施設があります。生活費を抑えるためにも、出費を減らせる仕組みや制度があれば積極的に活用しましょう。

 

介護サービスが豊富に利用できる

 

住民票を移すと、老人ホームにおいて下記のような自治体のサービスを利用できます。

 

  • 公共施設利用料が割引される
  • 地域密着型サービスを利用できる

 

地域密着型サービスとは、介護が必要になっても高齢者が住み慣れた地域で住み続けられることを目的としたサービスです。介護サービスの選択肢を増やせることは、大きなメリットといえます。

 

ただし、事業所と同じ自治体に住民票がなければ、地域密着型サービスは利用できません。

 

老人ホームへ郵便物が直接届く

 

住民票を老人ホームへ移すと、これまで自宅に届いていた郵便物が施設に直接届きます。自治体からの郵便物も届くため、介護保険に関する手続きを施設に任せられます。

 

また、家族が自宅から老人ホームへ郵便物を届けに行く手間が省けるでしょう。

 

老人ホーム入居時に住民票を移すデメリット

 

ここでは、老人ホーム入居時に住民票を移すデメリットを解説します。

 

  • 介護保険料が高くなるケースがある
  • プライバシーが守られないリスクがある
  • 転居前の居住地でのサービスが受けられない

 

上記3つのデメリットをそれぞれ見ていきましょう。

 

介護保険料が高くなるケースがある

 

介護保険料は自治体によって異なるため、住民票を移すとかえって介護保険料が高くなるケースがあります。

 

ただし、後ほど説明する”住所地特例制度”を利用すれば、介護保険料の問題を解消できるでしょう。”住所地特例制度”なら、元の居住地の介護保険料に基づいて納付できるため、経済的負担を抑えられます。

 

介護保険料を抑えたい人は、元々の居住地と施設が立地する市区町村それぞれの介護保険料を把握しておきましょう。

 

プライバシーが守られないリスクがある

 

自宅から住民票を移すと、施設側にプライベートな書類や手紙が届きます。そのため、施設側に個人的な情報が漏洩するリスクがあるといえます。

 

保険会社・金融機関からのお知らせや友人からの手紙などの個人的な郵便物は、他人に見られたくないと感じる人も多くいます。入居者のプライバシーが心配な人は、施設側のプライバシー保護に関する配慮や取り組みを確認しておくことがおすすめです。

 

また、郵便物の管理や取り扱いを予め施設側と決めておいてもよいでしょう。

 

転居前の居住地でのサービスが受けられない

 

転居すると、前の居住地で受けていたサービスを受けられなくなります。

 

ただし、転居後の居住地で新たに受けられるサービスもあります。元々居住していた市区町村と転居予定の市区町村のサービスを十分に比較してから、後悔しない選択をすることが大切です。

 

住所地特例制度を利用すれば介護保険料が安くなる

 

老人ホームが立地する自治体の介護保険料が高い場合、住所地特例制度の活用がおすすめです。

 

  • 住所地特例制度とは
  • 住所地特例制度の対象者
  • 住所地特例制度の対象施設
  • 住所地特例制度の手続き方法

 

住所地特例制度について、上記4点から詳しく解説します。

 

※参考:住所地特例 – <参考資料|厚生労働省

 

住所地特例制度とは

 

住所地特例制度とは、住民票を移す前の自治体に介護保険料を納付できる制度です。

原則として、介護保険の保険者は居住している市区町村に介護保険料を納付します。

 

しかし、高齢者や老人ホームが多い市区町村では自治体の介護費用の負担が重くなり、自治体間で不均衡が生じます。また、被保険者にとっても、転居をきっかけに費用負担が増えるため大きなデメリットがあるでしょう。

 

住所地特例制度を利用すれば、転居前と同じ介護保険料の納付で済みます。入居したい老人ホームが立地する市区町村の介護保険料が高ければ、住所地特例の活用を検討しましょう。

 

住所地特例制度の対象者

 

住所地特例の対象者は、以下の条件に該当する必要があります。

 

  • 65歳以上の高齢者
  • 40~64歳で医療保険の加入者
  • 住所地特例の対象施設に入居した人

 

住所地特例を利用するにあたって、必ずしも要介護認定を受けている必要はありません。ただし、住所地特例の対象施設のなかには入居条件に一定の要介護度を設けている施設があるため、注意が必要です。

 

住所地特例制度の対象施設

 

以下の住所地特例の対象施設に入居すると、住所地特例制度を利用できます。

 

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • ケアハウス
  • 有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • 介護療養型医療施設
  • 養護老人ホーム

 

ただし、サービス付き高齢者向け住宅に関しては、全ての施設で住所地特例が認められているわけではありません。住所地特例制度を利用できるサービス付き高齢者向け住宅は、以下2つの条件を満たす施設です。

 

  • 特定施設入居者生活介護の指定を受けている
  • 有料老人ホームに該当するサービス(介護・家事・食事・健康管理のいずれか)を提供していて、契約方式が利用権方式である

 

また、その他の施設についても、入居者の定員などの条件によっては住所地特例制度の対象外になる場合があります。入居予定のある老人ホームが住所地特例制度の対象なのかわからないときは、ケアマネジャーや施設の相談窓口に問い合わせてみましょう。

 

住所地特例制度の手続き方法

 

住所地特例制度を利用するには、申請のために以下の手続きが必要です。

 

  • 施設に入居したら、元々居住していた保険者の市区町村に『住所地特例適用届』を提出する
  • 市区町村に提出する『施設入所連絡票』を施設から送付してもらう
  • 実際に住む市区町村から保険者の市区町村へ『住所地特例者連絡票』を送付してもらい手続きが完了する

 

施設を退去する場合は、以下の手続きを済ませましょう。

 

  • 保険者となっている市区町村に『住所地特例終了届』を提出する
  • 施設から保険者の市区町村へ『施設退所連絡票』を送付してもらう
  • 実際に住む市区町村から保険者の市区町村へ『住所地特例者連絡票』を送付してもらい手続きが完了する

 

自治体によって提出先や必要書類が異なるため、保険者となる自治体や実際に住む自治体に問い合わせておくことをおすすめします。

 

老人ホーム入居時に住民票を移す際の注意点

 

ここでは、老人ホーム入居時に住民票を移す際の注意点を解説します。

 

  • 転居先のサービス内容や条件を事前に確認しておく
  • 転居から2週間(14日)以内に受給資格証明書を提出する

 

上記2つの注意点をそれぞれ確認しましょう。

 

転居先のサービス内容や条件を事前に確認しておく

 

自治体では、それぞれ高齢者向けの支援サービスを提供しており、住民票を移動した先の自治体でもさまざまなサービスを受けられます。

 

ただし、全国で同じサービスを受けられるわけではありません。住民票を移す前の自治体と同様のサービスを受けられないおそれがあるため、サービスの利用料や内容、条件などを事前に確認しておきましょう。

 

転居から2週間(14日)以内に受給資格証明書を提出する

 

要介護・要支援認定を受けている人が住民票を移すには、認定を受けている情報を移管する『受給資格証明書』が必要です。

 

受給資格証明書には、取得から14日以内に提出するなどの制限が設けられているケースがあります。期日までに提出しないと、無効となり新しく申請の手続きが必要になるため、注意してください。

 

老人ホーム入居時に住民票を移す手続きの流れ

 

老人ホーム入居時に住民票を移す際は、通常の転居の手続きと変わりません。

 

居住していた市区町村の役所に『転出届』を提出後、新しく居住する市区町村の役所に『転入届』を提出します。

 

申請時には、以下の書類が必要です。

 

  • マイナンバーカードや本人確認書類
  • 国民健康保険証
  • 後期高齢者医療被保険者証
  • 介護保険被保険者証

 

ただし、本人ではなく家族が代理で行う場合、委任状や代理人の本人確認書類を持参しましょう。

 

また、住所地特例制度を利用する場合、各自治体のホームページから『介護保険住所地特例適用・変更・終了届』を印刷して持参してください。

 

老人ホーム入居時に住民票に関するよくある質問

 

ここでは、老人ホーム入居時に住民票に関するよくある質問に回答します。

 

  • 特養の入居時に住民票を移さなくても大丈夫?
  • 施設に入った親の住民票は移すべき?

 

上記2つの質問から、疑問を解消しましょう。

 

特養の入居時に住民票を移さなくても大丈夫?

 

通常の特別養護老人ホームに入居する場合、住民票を移す必要はありません。居住地ではない施設への入居もできるため、近隣で入居できる施設が見つからない場合に県外などの遠方まで範囲を広げて施設を探す人は多くいます。

 

ただし、地域密着型特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護)に入居する場合、住民票を移動する必要があり、住所地特例制度の対象施設からも外れます。

 

入居したい特別養護老人ホームが地域密着型であるかは、事前に確認しておきましょう。

 

施設に入った親の住民票は移すべき?

 

施設に入居したからといって、必ずしも住民票を移動させる必要はありません。

 

メリット・デメリットや各自治体の介護保険料、サービス内容などを比較したうえで、慎重に検討することがおすすめです。

 

しかし、入居希望先の施設が地域密着型である場合、施設が立地する自治体に住民票を移動させる必要があります。

 

地域密着型の老人ホームは以下の通りです。

 

  • 小規模多機能型居宅介護
  • 夜間対応型訪問介護
  • 認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)
  • 認知症対応型共同生活介護(高齢者グループホーム)
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)
  • 地域密着型通所介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 看護小規模多機能型居宅介護

 

地域密着型の老人ホームは、介護保険料に関係なく住民票を移す必要があり、住所地特例は利用できません。

 

住民票を移してからサービスを受けられるまでの期間は市区町村によって異なるため、入居希望先の施設が立地する市区町村のホームページをチェックしましょう。

 

老人ホーム入居時はなるべく住民票を移そう

 

老人ホームに入居する際は、必ずしも住民票を移さなければならないわけではありません。しかし、住民票を移すと、介護保険料が安くなったり郵便物が施設に直接届いたりするなどのメリットを期待できます。

 

また、住民票を移すとかえって介護保険料が高くなってしまう場合、”住所地特例制度”の活用がおすすめです。

 

市外の老人ホームに入居する際は、各自治体で行われているサービスの内容や介護保険料などを把握したうえで住民票の移動を検討しましょう。

 

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