介護でイライラしてしまう原因は?ストレス解消法や軽減する方法も解説

介護の問題・トラブル

「大切な家族の介護なのについイライラしてしまう…」とお悩みではありませんか?

 

ここでは、介護でイライラしてしまう原因や、自分で行える効果的な対処法、人の手を借りる方法について詳しく解説します。

 

この記事を最後まで読み終えていただければ、介護中のイライラを解消するヒントが見つかります。

 

介護のストレスによって1人で悩んでしまっている方は、ぜひ参考にしてください。

 

そもそも介護のイライラによって起こりうる問題は?

介護中は思い通りに行かないことが多いので、介護者はついイライラしてしまいがちです。

しかし、そのまま放置していると、深刻な問題が起こる可能性があります。

 

・介護うつ

・親族である要介護者への虐待

 

そこで、介護のイライラによって起こりうる問題について、上記2点を中心に詳しく解説します。

 

介護うつ

介護うつは、介護者が必ずしも陥るとは限りませんが、誰でも発症する可能性がある状態です。

 

特に、責任感の強い人や、完璧主義の人は、精神的・肉体的な負担が大きいため、介護うつに陥りやすいとされています。

 

介護うつは自覚症状がないまま、症状が進行し、さまざまな体の不調をきたします。

 

【介護うつの代表的な症状】

 

・食欲不振や睡眠障害

・疲労感

・焦燥感

 

注意力や集中力が欠けたり、ネガティブな思考パターンになったりし、最悪の場合では自殺まで考えてしまうこともあります。

親族である要介護者への虐待

 

親や配偶者が要介護の状態になった時、介護者はその変化を受け入れられずに困惑したり、「どんなに頑張って介護をしても報われない」という気持ちになったりしやすいです。

 

介護疲れによる落胆や悲しみは気軽に周囲に相談しにくいので、1人で抱え込んでしまいがちになり、イライラして暴力やネグレクトといった要介護者への虐待につながる場合があります。

 

介護でイライラしてしまう原因4つ

介護でイライラしてしまうのは、大きく4つの原因があります。

 

・自分がやらないといけないという思い込み

・職場や関係者に相談できない

・人間関係に問題がある

・人手不足で負担が生じている

 

そこで、上記4点について詳しく解説していきます。

 

自分がやらないといけないという思い込み

大切な親や配偶者の介護なので、「自分がやらなければ」という思いを抱く人は多いです。しかし、介護者である家族は介護の専門的知識があるわけではなく、日増しに負担は増えていきます。

 

「自分でやらなければいけない」という思い込みから、外部の手助けを借りずにいると、家族で共倒れになってしまいます。

 

職場や関係者に相談できない

介護はプライベートな問題なので、職場をはじめとした周囲の人には相談しにくいものです。

 

介護は家族の問題として抱え込んでしまうと、職場で時短勤務や在宅勤務といった対策ができないので、介護と仕事の両立が難しくなります。

 

人間関係に問題がある

介護の現場で働く介護職員も、介護業務中のイライラに悩まされます。

 

特に、他の介護職員と介護に関する考え方の違いや、他の職種とのコミュニケーション不足といった人間関係の問題は多いものです。

 

他の職員との人間関係への悩みがストレスとなり、イライラしてしまう原因になることがあります。

 

人手不足で負担が生じている

介護現場は人手不足の事業所が多く、介護職員1人あたりの業務量が増えて、負担感は大きくなりがちです。

 

人手不足によって、夜勤の回数が増えて、希望の休みを入れにくくなると、精神的にも身体的にもストレスフルな状態になります。

 

毎日の業務の忙しさから余裕を失い、イライラを抱えてしまいます。

 

介護でイライラした際のストレス解消法

介護中に感じたイライラは、上手にストレス解消することで、気分転換を図ることができます。

介護でイライラした際のおすすめのストレス解消法は次の3つです。

 

・自分にとって幸せだった瞬間を思い出す

・旅行する

・趣味に没頭する

 

上記3つを中心に詳しく解説していきます。

 

自分にとって幸せだった瞬間を思い出す

これまでの人生で最も幸せだった瞬間のワンシーンを思い出すことで、ポジティブな気持ちを取り戻すことができます。

 

気持ちが安らかになり、嫌な感情を追い出すので、ストレスやイライラを解消できる効果が期待できます。

 

旅行する

介護は、安全に配慮しながら行うものなので、危険がないように常に緊張と隣り合わせの状態です。

 

介護から離れて息抜きをするのに、旅行はおすすめのストレス解消法といえます。普段とは違う、非日常の空間にいることで、介護について考えず、ゆったりとした気持ちで過ごせます。

 

趣味に没頭する

介護のことばかり考えていると、リラックスすることができません。

 

そこで、自分の趣味に没頭する時間を作り、介護中とそうでない時のメリハリをつけられます。

 

プライベートな時間を充実させることで、楽しい気持ちを取り戻し、心の余裕が生まれます。

 

介護時にイライラを軽減する方法

介護時にイライラした気持ちになってしまった時、一時的に感情を抑え込んでも、ストレスとなって蓄積されていきます。

 

イライラした気持ちを楽にしてくれて、できるだけイライラしない考え方で対処すると、ストレスが軽減されて蓄積されにくくなります。

 

・頑張りすぎや完璧主義にならない

・心の中で6秒間数える

・その場を一度離れてみる

・価値観の違いを受け入れる

 

そこで、介護時にイライラを軽減するおすすめの方法4つについて、詳しくご紹介します。

頑張りすぎや完璧主義にならない

介護を頑張りすぎたり、完璧さを追求したりすると、「こんなに頑張っているのに努力が報われない」「誰にも感謝されない」とネガティブに感じる原因になります。

 

完璧に介護をこなす介護者の姿を、周囲は当然のように思い、労わりや感謝の言葉が減ってしまっているのかもしれません。

 

介護の辛さやしんどさに悩んでいる時は、1人で抱え込んでイライラするのではなく、周囲に素直な気持ちを打ち明けて、サポートをお願いしてみましょう。

 

心の中で6秒間数える

イライラしてしまった時は、ゆっくりと深呼吸をしながら6秒カウントしてみましょう。

 

怒りの感情のピークはおよそ6秒とされています。6秒の間に気持ちを落ち着けることで、相手に強いイライラをぶつけてしまうのを避けられます。

 

その場を一度離れてみる

 

6秒カウントした後も、イライラや強い怒りを抑えられない場合、要介護者の安全を確保してから、その場を一時的に離れる方法がおすすめです。

 

深呼吸したり、外の景色を眺めたりなどして、できるだけ気持ちをリラックスさせるように努めましょう。

 

価値観の違いを受け入れる

介護は、その人らしい生活が送れるようにサポートすることです。

 

要介護者なりの想いがあり、介護者同士もそれぞれ異なる視点や価値観を持っています。

介護を行うにあたって、大切にしたいことも異なります。

 

価値観が違うと、「どうして分かってくれないの?」というフラストレーションを抱きがちですが、各個人の価値観の違いを受け入れることで、ストレスを軽減させることができます。

 

介護でイライラしたら人の手を借りることも大切

介護を家族だけで行おうとすると、心身の負担が大きく、家族で共倒れになってしまうリスクがあります。

 

そこで、自分たち家族だけで介護を行おうとするのではなく、家族以外の第三者の手を借りることを検討してみましょう。

 

希望通りの支援を受けられる、さまざまなサポート体制が整っているので、介護者・要介護者が明るい気持ちで過ごすことができるでしょう。

 

介護に関するおすすめのサービスについて、詳しく解説していきます。

 

民間のサービスを利用する

民間の介護保険適用外のサービスは、種類が豊富です。

 

介護保険サービスは提供できるケアの内容に制限がありますが、民間のサービスなら介護保険サービスが提供できない部分を補えます。

 

「より手厚いサポートを受けたい」と考えているサービスを選んで、依頼することができます。

 

【民間の介護保険外サービスの例】

・家事支援・代行や宅食

・訪問理容師

・移送や送迎

・散歩や外出の付き添い

 

民間のサービスを上手く取り入れて利用することで、介護の負担を大きく減らすことができます。

 

デイサービスを利用する

デイサービスは、日中に通所介護事業所に要介護者の介護をお任せする介護保険サービスのひとつです。

 

介護者と要介護者が離れることで、家族だけの密な介護ではなくなります。

 

デイサービスの職員やケアマネージャーの介入により、第三者からのアドバイスを受けたり、気軽に相談できたりする機会が増えます。

 

介護者が自分の時間を持つことで、介護の負担が減り、リラックスして過ごせるのも嬉しいポイントです。

 

要介護者にとっても、入浴や食事の介助、機能訓練を受けられ、家族以外の人と関わるため、気分転換になります。

 

介護施設へ入居を検討する

自宅での介護に心身の限界を感じた場合、自分たち家族だけで介護をやり遂げようとするのではなく、介護施設への入居も検討しましょう。

 

無理な介護によって介護者の健康を損なえば、要介護者にとっても望ましい環境での生活ではありません。

 

施設への入居は、介護者・要介護者がお互いにストレスなく、穏やかな気持ちで生活するために必要なことなのだと考えましょう。

 

身近な相談相手を作る

親しい友人や職場の同僚など、介護に関する悩みや問題を気軽に相談できる相手を作りましょう。

 

自分一人で悩みや問題を抱え込むと、心身の負担になるだけでなく、考え方や問題解決方法が偏ってしまいます。

 

また、自分の気持ちを言葉にするだけでも、辛さやイライラは楽になるものです。

 

弱音や愚痴を気兼ねなく相談でき、さまざまな人の意見に耳を傾ける場を設けてみましょう。

 

介護のイライラに関するよくある質問

「介護のイライラの原因や対処法について分かってたので、もっと深く知りたい。」と考えている方は少なくないはずです。

 

・介護される側のストレスにはどんなものがある?

・介護のイライラで限界を迎えたらどうすればいい?

・介護のストレスをチェックする方法は?

 

 

そこで、介護のイライラに関するよくある質問にお答えいたします。

介護される側のストレスにはどんなものがある?

要介護者のストレスは、自分自身の内側に向く傾向があり、「自分のことを分かってほしい」気持ちが強まります。

 

介護が必要となり、次第に介護度が上がっていく自分の状態に対応しにくいので、「年寄り扱いされたくない」「子どもの言うことは聞きたくない」といったイライラが生じやすくなります。

 

介護のイライラで限界を迎えたらどうすればいい?

イライラが限界を迎えてしまった場合、できるだけ早くレスパイト(休養)をとるようにしましょう。

 

レスパイト(休養)は、介護者と要介護者が離れる時間を作り、介護者の負担を減らすものです。ショートステイといった介護サービスを利用して、まずはゆっくり休息をとる時間を確保しましょう。

 

また、レスパイト(休養)が終わった後、このまま在宅での介護が難しいと思えば、介護施設への入居も検討しましょう。

 

介護のストレスをチェックする方法は?

厚生労働省では、5分でできる職場のストレスセルフチェック「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』」というチェック項目を設けています。

 

「最近介護の負担が重くて辛い」「介護がストレスになっている」など、介護のストレスをチェックしたいという方は試してみましょう。

 

まとめ:介護でイライラしたら一人で悩まないことが重要

 

大切な家族の介護だからと、介護を家族の問題として抱えこんでしまう介護者は多いです。

 

しかし、介護疲れから、介護うつや要介護者への虐待に至るケースもあります。

 

介護でイライラしたら、1人で悩まずに、趣味や旅行で気分転換をはかったり、第三者の手を借りたりして家族の負担を減らしましょう。

 

介護は日常生活の一部。介護に完璧さを追求して、無理に頑張るのは禁物です。

 

介護に関わる全ての人が自分自身を大切にしながら、明るく、前向きな気持ちで取りくむことが大切です。

 

日々、介護で頑張る自分や家族をねぎらい、毎日笑顔で過ごせる介護生活を目指しましょう。