老人ホーム・介護施設の選び方
初めて介護施設を利用する人は、どのような流れで手続きをすればいいのか不安に感じるもの。
自分はもちろんご両親が利用する場合でも、いずれにせよどんな理由であれ快適で過ごしやすい施設を選びたいと考えているはずです。
今回は、介護施設の入所までの流れを5つのステップに分けて紹介していきます。
介護施設入所までの流れその1.介護施設を決める
介護施設への入所を検討している場合、まずは希望する施設を探さなければなりません。
インターネットが普及して今や当たり前となった現在では、昔に比べて介護施設が格段に探しやすくなりました。
施設ごとに異なった特徴を持っているので、入所を検討できそうな施設も見つかりやすい傾向にあります。
介護施設を決めるためには、以下3つのポイントを中心に探すと入所希望者に合った施設が見つかりやすいです。
1.予算
2.立地
3.サービス内容
それぞれチェックしていきましょう。
予算
介護施設への入所にかかる予算を決める必要があります。
特に有料老人ホームの場合は、以下2種類の費用が存在しています。
1.入居時に支払う必要のある「入居費用」
2.決められた金額を毎月支払う「月額利用料」
入居費用はその名の通り入居時に1度だけ支払う金額ですが、利用料は毎月支払わなければならないので無理に予算を決めてしまうと負担が大きくなり、継続利用が困難になる可能性が挙げられます。
介護施設によって金額は異なりますば、まずは無理のない範囲で支払える予算を考えましょう。
立地
ご家族が定期的に通いやすく、入所希望者の一時帰宅がしやすい場所にある介護施設がおすすめです。
介護施設選びにおいて結構重要なポイントで、入所希望者の中には生活環境が変わったことによって急なホームシックに陥る人が一定数存在しています。
最初は誰しもが環境に不安に感じてしまうものですが、いつでも近くに家族がいるという安心感を与えてあげられるよう、なるべくご自宅から近い施設が最適です。
入所希望者が楽しく快適に暮らせる生活環境を整えてあげることが大切です。
サービス内容
介護施設によって、サービス内容は大きく異なります。
入所希望者が趣味としているサービスを提供してくれる施設もあれば、食事に力を入れている施設も存在しています。
中にはひと昔前までは数が少なかった「認知症患者の受け入れ」が可能なところもあり、医療を重視した介護施設も年々多くなってきました。
入所希望者の性格や嗜好、その他重要視したいサービスを提供している施設などさまざまです。
ご家族の間でよく相談し、入所希望者に合ったところを選びましょう。
介護施設入所までの流れその2.資料請求
いくつか気になる介護施設が見つかったら、資料請求をしてみましょう。
各介護施設が後悔しているホームページには費用や提供サービスなどのさまざまな情報が載っていますが、より詳しい情報を得るには資料請求がおすすめ。
いくつか資料を取り寄せ、その中からさらに入所したいと思える施設が見つかったら実際に見学に行きましょう。
1.見学
2.申し込み
それぞれチェックしていきましょう。
見学
実際に自分の目で見なければ分からないことは多いもの。
取り寄せたパンフレットに載っていた写真では隅々まで清掃が行き届いていたように見えても、実際は埃まみれでスタッフの雰囲気もあまり良くなかったというケースがあります。
見学時に確認して欲しいポイントと、注目すべき部分は以下の通り。
確認して欲しいポイント | 注目すべき部分 |
スタッフや入居者の雰囲気 | ・スタッフの身だしなみは清潔か ・スタッフや入居者が挨拶してくれるか ・入居者に活気にはあるか ・介助の様子 |
食事の内容や様子 | ・十分な対応ができるスタッフ数はいるか ・食事への工夫 ・アレルギーなどへの対応はされているか |
施設内の環境 | ・清掃が行き届いているか ・日当たりや居室の間取りや広さ ・手すりなどの補助設備が十分か ・季節のイベントやレクリエーションなどが豊富か |
施設の周辺環境 | ・外部からの騒音状況 ・駐車場の有無 ・アクセス情報 |
見学時には自分はもちろん、入所希望者も一緒に見学しましょう。
見学時に写真撮影を許可している施設もあるので、後から見返すために施設の様子は撮っておくと良いでしょう。
撮影の際はスタッフに許可をとり、入所者に配慮した上で行ってください。
申し込み
一通り施設の見学が終わったら、気に入った施設を1つ選んで申し込みをします。
ただし、申し込みの段階で即入居できるとは限りません。
申し込みの段階では「仮押さえ状態」となり、入居に必要な書類を用意したり施設側と入居前の面談をするために日時を決める必要があります。
仮押さえ期間はおよそ1ヶ月ほどですが、ここは介護施設によって異なるので要確認が必要です。
介護施設入所までの流れその3.書類の準備
入居に必要な書類は、主に「診療情報提供書」と「健康診断書」が挙げられます。
各書類の入手先は、以下の通り。
書類 | 入手先 |
診療情報提供書 | 主治医から発行 |
健康診断書 | 健康診断後に発行 ※取得までに約2~3週間 |
仮押さえ期間やおよそ1ヶ月なので、その間に用意しておくことをおすすめします。
施設によっては「健康診断書」が必要ない場合があり、逆に上記2つの書類以外にも用意が必要になる可能性もあるので確認が必要です。
介護施設入所までの流れその4.面談
施設側と入所希望者、さらにはご家族で面談を行います。
要介護者の場合はケアマネジャーが同席し、施設長などといった管理者クラスの人と面談を行います。
面談内容は至ってシンプルで、入所希望者の健康状態や希望条件などのチェックです。
万が一入所希望者が面談日時に入院などの理由で施設に行けない場合は、施設側の人間が入院先まで来てくれることがほとんどです。
介護施設入所までの流れその5.入居審査
面談後の内容を元に、施設側で入居審査が行われます。
入居審査の内容は、面談時の内容確認と経済状況などについてです。
近年では身元保証人がいなくても入居可能な施設が多くなりましたが、施設によっては必要になるところもあります。
身元保証人が必要ない施設では「後見人制度」や「民間の保証会社」の利用が可能なため、検討してみてください。
体験入居
面談や入居審査が行われた後に、施設側が体験入所を提案することがあります。
体験入居の期間は3日~7日程度で、1泊5,000円~10,000円程度。
体験入居中は本入居と同じサービスが受けられるので、生活してみて問題がないようならそのまま継続して本格的に入居する人もいます。
契約
サービスや施設の雰囲気などが気に入って問題ないようなら、本入居の契約に移行します。
契約段階で「入居契約書」や「重要事項説明書」などの書類が渡されますので、最終確認として一通り施設側から説明を受けます。
このタイミングで不安に思った点などがあれば、その都度質問をしてください。
契約時には、以下のものを持参しましょう。
- 印鑑
- 印鑑証明(施設による)
- 連帯保証人または身元引受人の印鑑
- 連帯保証人または身元引受人の印鑑証明(施設による)
- 戸籍謄本
- 住民票
入居後の不安はここでできる限り解消しておくことをおすすめします。
入所後に金銭問題でトラブルになるケースが多い傾向にあるので、念押しくらいが丁度良いです。
説明内容や契約書に納得したら、署名と捺印をして契約完了となります。
入居
体験入居からの本入居なら問題ないのですが、場合によってはいつから本入居と日時を決めることがあります。
入居時にはある程度施設側で用意してもらえますが、衣類(特に紙おむつ)などに関しては要持参の場合があります。
入居してから用意するのは大変なので、確認洩れに注意してください。
まとめ
介護施設の入所までの流れを5つのステップに分けて紹介してきました。
トラブルは入居後に起こりやすいので、契約時に渡される「重要事項説明書」にはしっかりと目を通しておくことをおすすめします。
理想の施設がなかなか見つからないこともありますが、そのせいで決断を急ぐ必要はありません。
介護施設は自宅同様、快適に過ごせる場所を選んでください。