介護サービスの種類22選を一覧で比較!訪問型・施設型・複合型などを紹介

老人ホーム・介護施設・介護サービスの種類

本記事では、介護サービス22種類の特徴を、訪問型や施設型、複合型などに分けて詳しく紹介していきます。

「介護サービスにはどのような特徴があるの?」とお悩みの人も多いのではないでしょうか。介護サービスと一言で表しても、その種類はさまざまです。そのため、要介護者の状態に合わせて適切な施設を見極めなければなりません。

この記事を読めば、要介護者が希望する条件や目的に合った介護サービスが理解できます。介護サービス選びで不安がある人は、ぜひ参考にしてください。

【この記事でわかること】

● 【訪問型】介護サービスの種類6選

● 【施設型】介護サービスの種類11選

● 【複合型】介護サービスの種類2選

● 【その他】介護サービスの種類3選

● 介護サービスを利用するまでの流れ

【訪問型】介護サービスの種類6選

介護サービスの中には、在宅で生活する要介護者の生活や身の回りをサポートする訪問型のサービスがあります。訪問型の介護サービスは以下の6種類です。

サービスの種類 要支援・要介護認定 介護保険の適用の有無
訪問介護(ホームヘルプ) 要支援1~要介護5
訪問看護 要支援1~要介護5
訪問リハビリテーション 要支援1~要介護5
訪問入浴介護 要支援1~要介護5
夜間対応型訪問介護 要支援1~要介護5
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 要支援1~要介護5

上記6種類の介護サービスを詳しく解説していくので、チェックしましょう。

訪問介護(ホームヘルプ)

訪問介護は、自宅に訪問介護員(介護福祉士や初任者研修)が訪問し、利用者の自立した生活をサポートします。提供されるサービスは、主に以下の2種類です。

介護の種類 概要
身体介護 食事介助、排せつ介助、衣類の着脱の介助、入浴介助など
生活援助 掃除や洗濯、買い物、料理など

訪問型のサービスの中でも多く利用されており、在宅での生活を続けるのに役立ちます。

訪問看護

訪問看護は、自宅にいながら看護師による医療的ケアや健康管理が受けられるサービスです。

医療的な管理やサポートが必要であると医師が判断した要介護者に提供されます。

サービス内容の例は、主に以下の通りです。

  • 健康観察(脈拍や血圧の測定)や健康相談
  • 排せつの援助(排便コントロールやストーマの管理など)
  • 注射や点滴の管理
  • 服薬管理
  • 人工呼吸器の管理
  • 褥瘡の予防・処置

介護度が上がるにつれて、医療的処置やケアを必要とする人は増加します。

家族間での医療面対応が難しくなってきた場合、悩まずに訪問介護の利用を検討しましょう。

訪問リハビリテーション

訪問リハビリテーションは、理学療法士や作業療法士が自宅を訪問して、機能訓練を実施するサービスです。

利用者の身体の状態に応じたリハビリテーションによって、身体機能の維持・向上を目指します。無理のない範囲で実施するので、自分で歩くのが難しい方や寝たきりの人でも安心です。

訪問入浴介護

訪問入浴介護は、自宅での入浴が困難となってしまった人を対象に、介護職員や看護職員が入浴をサポートするサービスです。

移動式浴槽をリビングや居室に置き、寝たままで浴槽に入って洗身や洗髪してもらえます。

介護度の重い方の入浴介助は家族の負担が大きくなるため、なかなか自宅で入浴できないケースは少なくありません。訪問入浴介護を利用することで、利用者の清潔を保つだけではなく、家族の介護負担を減らすのに役立ちます。

夜間対応型訪問介護

夜間対応型訪問介護とは、地域密着型サービスの1つで、夜間の定期的な訪問や緊急時の訪問といったサービスが受けられます。

寝たきりの人は床ずれ(褥瘡)の予防のために、2〜3時間おきに体位交換やおむつを交換しなければなりません。夜間対応型訪問介護を利用すれば、家族が毎晩起きて対応する必要がなく、介護負担の軽減につながります。

家族の睡眠時間が確保されることで、介護を担う家族の健康も維持できる嬉しいサービスです。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、日中・夜間を通じて1日のうち複数回の定期訪問と緊急時に訪問するサービスです。

介護だけでなく、看護も共に提供されるので、医療的ケアを必要とする方でも安心して利用できます。

【施設型】介護サービスの種類11選

在宅での介護が難しいと感じ始めたら、無理せずに早いタイミングで施設へ入居させることを推奨します。施設型の介護サービスは、主に以下の11種類です。

サービスの種類 要支援・要介護認定 介護保険の適用の有無
通所介護

(デイサービス)

要支援1~要介護5
通所リハビリテーション

(デイケア)

要支援1~要介護5
地域密着型通所介護

 

要支援1~要介護5
認知症対応型通所介護 要支援1~要介護5
特定施設入居者生活介護 要支援1~要介護5
短期入所療養介護

(ショートステイ)

要支援1~要介護5
短期入所生活介護

(ショートステイ)

要支援1~要介護5
介護老人福祉施設

(特別養護老人ホーム)

要介護3~要介護5
介護老人保健施設

(老健)

要介護1~5
介護療養型医療施設

 

要介護1~5
介護医療院

 

要介護1~5

※参考:公表されている介護サービスについて|介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」(厚生労働省)

上記11種類の施設を解説していくので、ニーズに合った施設選びに役立てましょう。

通所介護(デイサービス)

通所介護(デイサービス)は日帰り利用する施設であり、入浴や食事の提供、生活相談や機能訓練などのサービスが受けられます。

要介護1〜5の方だけでなく、要支援認定1・2の方でも、介護予防サービスとして利用可能です。

加齢に伴う体力の低下や認知症の発症などによって、自宅に引きこもりがちな高齢者は少なくありません。デイサービスを利用することで、外出の機会を得られるだけではなく、家族以外の他者と交流できるきっかけにもなります。

また、日中だけでも家族は介護から解放され、自由な時間を楽しめるのも魅力的です。

通所リハビリテーション(デイケア)

通所リハビリテーション(デイケア)はリハビリテーションを中心に実施しており、食事や入浴などの日常生活支援も受けられます。

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護職員といった機能訓練指導員によって、日常生活の必要な機能の維持・向上を目指せるでしょう。

また、介護老人保健施設や医療機関でサービスを受けられるので、リハビリテーションに必要な設備が整っており、医療的ケアが必要となった際は対応してもらえます。

このように、充実した設備で専門的なリハビリテーションを受けたい人におすすめです。

地域密着型通所介護

地域密着型通所介護は、「小規模デイサービス」とも呼ばれ、利用定員が18名以下のデイサービスを指します。

利用者同士やスタッフとの距離感が近く、アットホームな雰囲気で過ごせるのが強みです。

提供されるサービスそのものは、通常のデイサービスと大きな違いはありません。ただし、地域密着型サービスは施設が所在している自治体に住民票がなければ、利用できない点に注意が必要です。

住み慣れた地域で生活を続けながら、個別性に富んだケアを希望する人は、利用の検討をおすすめします。

認知症対応型通所介護

認知症対応型通所介護は、利用定員が12名以下の小規模施設で、認知症の方の専門的なケアに特化したデイサービスです。

一般的なデイサービスと比べて人員体制が手厚く、認知症の人にきめ細やかな配慮が行き届いています。

食事や入浴の提供といった基本的なサービスは一般的なデイサービスと変わりないものの、送迎職員を固定したり、生活全般をリハビリテーションで行ったりする点が特徴です。

少人数規模であるため、一人ひとりに合わせたレクリエーションや食事環境の調整が期待できます。

地域密着型のサービスであるため、新しい環境や人間関係になれるのが苦手な認知症の人でも安心です。

特定施設入居者生活介護

特定施設入居者生活介護とは、厚生労働省が定めた基準を満たして事業指定を受けた介護施設です。入浴の介助やリハビリなど、手厚い介護体制が整っています。

特定施設入居者生活介護に含まれる施設は、主に以下の通りです。

  • 介護付き有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅(介護型)
  • 介護型ケアハウス
  • 特別養護老人ホーム

要介護度に応じた介護サービス費を毎月支払うことで、介護保険に適用した介護サービスを利用できます。

ただし、住宅型有料老人ホーム、一般型のサービス付き高齢者向け住宅・ケアハウスは特定施設入居者生活介護に含まれません。

外部の事業所と契約しなければ介護サービスを利用できないため、介護サービスのフル活用を検討している方は、特定施設入居者生活介護の施設への入居がおすすめです。

短期入所療養介護(ショートステイ)

短期入所療養介護(ショートステイ)は、介護老人保健施設や医療機関で数日から数週間過ごし、生活支援や介護以外に医療的ケア、リハビリテーションを受けるサービスです。

一般的なショートステイとの違いは、医療的ケアの側面が強い点にあります。医療的ケアを常に必要としている人がショートステイを希望する場合、短期入所療養介護を利用しましょう。

短期入所生活介護(ショートステイ)

短期入所生活介護は一般的なショートステイを指し、数日から数週間ほどの間、施設に入所して食事や入浴の介助、機能訓練といったサービスを受けます。

ショートステイが利用されやすいタイミングは以下の通りです。

  • 介護を担う家族が体調を崩した時
  • 冠婚葬祭や出張で数日間家を空けなければならない時
  • 心身をリフレッシュできる休養が欲しい時

在宅での介護負担が大きいときや、仕事や家族の都合で介護が難しくなってしまった時も、安心して任せられるサービスといえます。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、原則として要介護3以上かつ65歳以上の高齢者が入居対象であり、24時間体制で介護サービスが受けられます。

看取りにも対応しており、終身での入居も可能です。

公的な介護施設で費用が安く、入居希望者が多いことから、人気の高い施設では入居まで数年間待つケースも少なくありません。

経管栄養やインスリン注射、褥瘡の処置などの医療的ケアであれば対応できますが、人工呼吸器の管理といった高度な医療的ケアへの対応は困難です。

容態が落ち着いており、要介護度の高い方が終身で入居できる施設を探しているなら、特別養護老人ホームが適しています。

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設(老健)は、在宅への復帰が難しい方が短期で入所し、リハビリテーションや生活支援を受けながら在宅への復帰を目指す施設です。

要介護1以上の認定を受けている65歳以上の高齢者が入居対象者で、入居期間は原則として3〜6ヶ月と定められています。

理学療法士や作業療法士による専門的なリハビリテーションを受けられるので、身体機能の維持・向上が期待できます。

また、特別養護老人ホームなど入所希望先の施設が空くまでの期間、入所することも可能です。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設は、長期療養を必要としており、生活支援以外に手厚い介護や医療的ケアを提供します。

しかし、2024年3月に完全廃止が決定しており、代わる施設として2018年から介護医療院のサービスが開始されました。

介護医療院

介護医療院は介護療養型医療施設のサービス内容を引き継ぎ、充実した医療体制や介護によって利用者の生活を支えます。

入居対象者は、要介護1以上の認定を受けている65歳以上の高齢者です。

介護療養型医療施設は医療施設であるのに対し、介護医療院は生活施設のため、手厚い医療的ケア・介護を必要としている方を幅広く受け入れられます。

長期的に入居でき、医療体制の整った施設への入居を検討しているなら、介護医療院への入居を視野に入れると良いでしょう。

【複合型】介護サービスの種類2選

複合型の介護サービスとは、一つの事業所で訪問介護や訪問看護といった様々なサービスを提供しています。

さまざまな事業所と契約せず、必要なサービスを必要な分だけ利用できる点が魅力的といえます。複合型の介護サービスは以下の2種類です。

サービスの種類 要支援・要介護認定 介護保険の適用の有無
小規模多機能型居宅介護

 

要支援1~要介護5
看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス) 要支援1~要介護5

ここからは、上記2種類の介護サービスについて解説していきます。

小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護は、訪問介護や通所(デイサービス)、短期入所(ショートステイ)のサービスを組み合わせて利用できます。

利用者の心身の状況に合わせて、必要なサービスを選べるのが強みです。

また、月額の利用料金が固定であるため、限度額を気にする必要がありません。サービスの利用制限もないので、空きがあればデイサービスやショートステイを利用できます。

1つの事業所と契約すれば異なるサービスを利用できる上、対応する職員は顔なじみであるため、新しい環境や人間関係が苦手な人でも安心です。

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)は、小規模多機能型居宅介護のサービスに訪問看護を組み合わせたサービスです。

医療的ケアが受けられるので、介護度が高く、医療依存度の高い人に適しています。複数の事業所と契約せずに、1つの事業所のみで医療・介護面をしっかりサポートしてもらえます。

【その他】介護サービスの種類3選

介護保険が適用されるサービスは、介護や看護の提供、施設への入居だけではありません。在宅で過ごす場合に、利用者の生活をサポートするサービスも充実しています。

施設・訪問型以外のその他の介護サービスとして挙げられるのは、以下の3種類です。

サービスの種類 要支援・要介護認定 介護保険の適用の有無
福祉用具貸与・販売

 

要支援1~要介護5
居宅介護支援事業

(ケアマネージャー)

要支援1~要介護5
住宅改修

(リフォーム)

要支援1~要介護5

上記3つのサービスについて詳しく紹介していくので、サービス選びの参考にしましょう。

福祉用具貸与・販売

福祉用具の貸与は、福祉用具をレンタルした際に費用の扶助が受けられるサービスです。

ここでは、対象となる品目の例を確認しましょう。

  • 車いす
  • 特殊寝台
  • 床ずれ防止用具
  • 歩行器
  • スロープ

自費で購入するには金額の大きい福祉用具を、リーズナブルな価格でお得にレンタルできます。

ただし、要介護度によって介護保険の利用限度額が定められている点に注意しましょう。

利用限度額を超過した分は自己負担となってしまうので、利用限度額内に収まるように他のサービスと組み合わせるのがおすすめです。

また、ポータブルトイレや腰かけ便座といったレンタルに適さない福祉用具は、購入時に介護保険の適用が受けられます。

福祉用具を活用することで、介護負担の軽減や利用者の快適な生活に役立ちます。生活の中で気になるポイントがあればケアマネジャーに相談し、福祉用具の活用を検討してください。

居宅介護支援事業(ケアマネージャー)

ケアマネジャーは、ケアプランの作成を主な業務としており、介護保険申請の代行や介護保険施設への紹介といった介護支援サービスを提供します。

また、サービス担当者会議に参加して、サービスの内容を検討するのも重要な業務です。

ケアマネジャーは、介護サービスを直接提供するわけではありませんが、介護サービスを適切に利用するために欠かせない役職といえます。

住宅改修(リフォーム)

住宅改修(リフォーム)は、要介護者の自宅をバリアフリーに改修するサービスです。

利用者は、20万円を限度に改修費の7〜9割が支給されます。費用を施工業者に全額支払い、申請後に給付額を受け取る仕組みです。

手すりの取り付けや、段差を解消、洋式便座への取り換えなどの小規模な改修が対象となります。

「立ち上がりや移動で不安に感じる場所がある」「和式のトイレが使いにくい」などの不便さがあれば、住宅改修の活用がおすすめです。

介護サービスを利用するまでの流れ

要支援・要介護認定を受けたら、希望する介護サービスの種類や認定の度合いによって、手続きの流れが変わります。

以下では、どのような流れで介護サービスの利用が開始するのかチェックしましょう。

要介護認定 希望する介護サービスの種類 サービス開始までの流れ
要介護1~5 居宅サービス
  1. 居宅介護事業所に問い合わせる
  2. 希望を伝えて介護サービス事業所を探してもらう
  3. ニーズに合えば契約する
施設サービス
  1. 入居したい施設を探して資料請求する
  2. 見学や体験入居する
要支援1・2 介護予防サービス
  1. 地域包括支援センターに相談する
  2. サービスへの希望を伝え、ケアプランを作成してもらう

特に、要介護認定を受けていて施設への入居を検討している人の中には、「自分でどうやって見つけたらいいのか分からない」と悩んでいる人も少なくありません。

施設探しで迷ったら、介護施設の紹介サービスを実施している無料サイトの活用もおすすめです。

種類を把握して状況に応じた介護サービスを利用しよう

介護保険が適用となる介護サービスは、主に訪問型や施設型、複合型、その他のサービスに分類されます。

中には、利用条件が設けられているサービスもあるので、介護サービスを利用する際は注意が必要です。

また、あらかじめそれぞれのサービスの特徴を把握しておくことで、介護で負担を感じている点や生活で支障が生じている点の解消に役立ちます。

介護サービスの利用で悩んでしまったら、担当のケアマネジャーや介護施設の紹介サイトの相談も検討しましょう。