高齢者のためのレクリエーション
介護者のなかには「老人ホームのクリスマス会で楽しめる出し物について知りたい」と感じている人は少なくありません。
クリスマスは家族や友人との絆を深める大切な時間であり、特に老人ホームではこの時期のイベントが高齢者の心を温め、活気をもたらします。
この記事では、老人ホームのクリスマス会で大人気の出し物7選を紹介し、開催するメリットにも細かく触れていきます。
老人ホームでクリスマス会の開催を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
● 老人ホームのクリスマス会で楽しめる出し物7選 ● 老人ホームでクリスマス会を開催するメリット ● 老人ホームのクリスマス会を盛り上げるためのポイント |
老人ホームのクリスマス会で楽しめる出し物7選
まずは、老人ホームのクリスマス会で楽しめる出し物を7つ紹介します。
- マジックショー
- ハンドベル
- 演劇
- 合唱
- ダンス
- ビンゴ
- 1年間の振り返り
上記7つの出し物を詳しく解説します。
マジックショー
地域のボランティアやプロのマジシャンを招待して、マジックショーを披露してもらう方法があります。
また、市販のグッズを購入して、職員が披露するのもレクリエーションが盛り上がるでしょう。
複雑なマジックよりも簡単なマジックの方がわかりやすいので、高齢者でも楽しめます。
ハンドベル
ハンドベルの音色は、クリスマスの厳かな雰囲気を演出するのに適しています。穏やかな音色を聴くことで、その場にいる人にリラックス効果をもたらせるでしょう。
職員が演奏するほか、入居者にパートの役割を決めて演奏に参加してもらうのもおすすめです。
ゆったりとしたテンポの曲なら、高齢の参加者でも演奏しやすいでしょう。
また、演奏が終わった後は達成感を味わえるだけでなく、入居者・職員の一体感が生まれるのも魅力的です。
演劇
誰にもわかりやすい簡潔なストーリーの演劇なら、認知機能の低下している入居者でも集中して楽しめます。演じる際は積極的になり、恥ずかしがらない点がポイントです。
また、演劇で使用する小道具や衣装を作る際は、入居者に参加してもらうと、レクリエーション当日に盛り上がりやすいでしょう。
合唱
クリスマスの定番ソングや童謡を入居者・職員で歌うと、クリスマスらしい雰囲気を楽しめます。『ジングルベル』や『赤鼻のトナカイ』などの定番ソングなら、口ずさみやすいでしょう。
また、あらかじめ歌詞カードを用意しておき、当日に配付するのもおすすめです。歌を歌うことでストレス発散だけでなく、認知機能や身体機能の維持・向上の効果が期待できます。
ダンス
高齢者が知っている曲に簡単な振り付けを決めて、ダンスを踊るのもおすすめです。
元々振り付けがある曲のダンスを、簡単にアレンジし直すのも良いでしょう。
座ったままでもできるので、車いすの人や一人で立つのが難しい人でも楽しめます。
ビンゴ
ビンゴは指先を動かしたり頭で考えたりするので、高齢の参加者にとって刺激の多いレクリエーションです。
塗り絵タイプのビンゴシートをインターネットでダウンロードし、印刷したものを配るのも良いでしょう。
クリスマスプレゼントとして景品を用意しておけば、クリスマス会ならではの雰囲気を味わえます。ただし、参加者間で不平等にならないように、景品は全員に行き渡るように配慮しましょう。
1年間の振り返り
クリスマス会を開催する時期は年末に近く、1年を振り返るのに適した季節でもあります。
思い出深い写真をスライドショーで流し、参加者で盛り上がるのも良いでしょう。写真を通して過去の出来事を思い出すことで、脳の活性化が期待できます。
また、来年以降のクリスマス会も楽しみに感じられるようになるでしょう。
老人ホームでクリスマス会を開催するメリット
老人ホームでクリスマス会を開催すると、参加する入居者にさまざまなメリットをもたらします。老人ホームでクリスマス会を開催するメリットは、以下の通りです。
- 脳の活性化
- 精神的な安定
- 身体機能の維持向上
- 生活の質の向上
- 周囲とのコミュニケーション
順番に見ていきましょう。
脳の活性化
頭を使ったゲームや細かい作業は、脳の活性化を促す効果が期待できるでしょう。
日常的なレクリエーションは脳の活性化に役立ちますが、レクリエーションの内容がマンネリ化しやすい傾向にあります。一方、クリスマス会のような季節感のあるイベントは、非日常的な雰囲気が刺激となり、脳が活性化されやすいといえます。
イベントを通じて季節の移り変わりを感じられるのも、クリスマス会ならではの魅力です。
精神的な安定
季節のイベントならではの賑やかな雰囲気が、日々の不安感や淋しさを和らげてくれます。
また、共同作業のなかで自分の役割を当てられることで、「自分にもできることがある」「周囲から頼られている」といったポジティブな感情も生まれやすくなるでしょう。
入居者は、加齢や認知機能の低下に伴って失われていた自尊心を取り戻し、生きがいや喜びを感じられます。
身体機能の維持向上
レクリエーションを通じて日常生活ではあまり動かす機会の少ない部位まで、身体を動かせるので、身体機能の維持・向上を目指せます。
また、大きな声で笑ったり、歌ったりすることでストレス発散にもつながるでしょう。
そのほかにも、クリスマス会の飾りつけや準備を入居者本人が取り組むことで、適度な運動になります。
生活の質の向上
施設で過ごしている入居者は、外出できる機会が限られており、外の風や外気温などから季節を感じることが困難です。
特に、認知症の人は見当識障害によって、時間の感覚が乏しくなるため、四季の移ろいそのものへの興味が薄れることもあります。
クリスマス会のようなイベントは、季節感を味わえる貴重な機会です。季節の移り変わりを感じることで、生活の質の向上につながるでしょう。
また、クリスマス会の準備の段階から参加してもらうことで、イベント当日までワクワクしながら過ごせます。翌年のクリスマス会や、ほかの季節イベントへの興味を持てるようになり、入居者に生きがいをもたらせるでしょう。
周囲とのコミュニケーション
近年では個室型の施設が増えており、プライバシーが守られている一方で、入居者間のコミュニケーションが少なくなりつつあります。
元々お喋りが好きな人や、人と関わることに楽しさを感じる人にとっては、「面白みに欠ける」と感じるケースは少なくありません。
そこで、ゲームやレクリエーションを通じて場が盛り上がることで、ほかの入居者や職員とのコミュニケーションの機会も増えるでしょう。
ふとした会話から話が弾み、入居者間の仲が深まることもあります。家族と離れて暮らす入居者にとって、新たな生活の場でコミュニティに参加するきっかけ作りとなるでしょう。
老人ホームのクリスマス会を盛り上げるためのポイント
老人ホームのクリスマス会を盛り上げるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 感染症対策を念入りに行う
- 参加者が把握できる内容にする
- 参加者の世代に合わせた出し物にする
- 参加者への敬意・尊重を忘れない
- 参加者の体調の変化や食事に気を配る
- 利用者間のコミュニケーションに配慮する
- 職員も参加者と一緒に楽しむ
上記7つのポイントについて詳しく解説していくので、クリスマス会を盛り上げたいならぜひ取り入れてみましょう。
感染症対策を念入りに行う
クリスマス会は室内で開催されることが多く、高齢者が同じ場所に大人数で集まります。
そのため、新型コロナウィルスを始めとしたさまざまな感染症が広まりやすいので、感染症対策を念入りに行いましょう。
- 参加者の体温を計る
- 咳や鼻水など感染症による症状のチェック
- アルコール消毒やマスクの着用
- 参加者間の距離を保つ
- 空気を入れ替えて換気する
高齢者は感染症にかかりやすいだけでなく、症状が悪化しやすい傾向があります。クリスマス会を開催する時期は寒く空気が乾燥しているため、感染症が蔓延しないように配慮しましょう。
参加者が把握できる内容にする
施設の入居者のなかには、病状によって身体を思った通りに動かせない人や、重度の認知症の人などさまざまな人がいます。
そのため、参加者全員が内容を把握して楽しめるような工夫が大切です。
状況に応じて難易度を変えたり、適宜職員がサポートしたりして、全員が楽しめるレクリエーションを企画しましょう。
参加者の世代に合わせた出し物にする
施設で働く職員の多くは年齢層が若い傾向にありますが、自身の世代に合わせた音楽や出し物では高齢の参加者は楽しめません。
出し物や音楽などは、参加者の年代に合わせた内容に設定しましょう。
ただし、クリスマスを祝う習慣がなかった高齢者も多く、世代に合わせ過ぎるとクリスマスのイメージから離れてしまうことがあります。
世代に合わせた雰囲気作りだけでなく、クリスマスならではのイメージも大切にしましょう。
参加者への敬意・尊重を忘れない
レクリエーションが盛り上がりすぎて、職員が参加者に対して馴れ馴れしい態度を取らないように注意しましょう。
施設入居者は人生の先輩であり、個人を尊重した態度が望ましいといえます。参加者が不快な気持ちにならないように、レクリエーション中でも敬意を持って対応しましょう。
参加者の体調の変化や食事に気を配る
クリスマス会のレクリエーションでは普段使わない身体の部分を動かしたり、気分が高まったりして、参加者の体調に影響するおそれがあります。
レクリエーションの開催中は、参加者の体調に変化がないか観察し、異変を感じたらすぐに声をかけましょう。
また、参加者のなかには糖尿病や高血圧などによって、食事制限のある人もいます。糖質の少ないメニューにしたり、事前に一人分を取り分けたりなどの配慮を意識することが重要です。
利用者間のコミュニケーションに配慮する
レクリエーションの目的の1つとして、参加者同士にコミュニケーションの機会を作り、楽しんでもらうことがあります。
参加者のなかには、大人数と一緒に過ごすのが苦手な人や、周囲とのコミュニケーションが得意ではない人も少なくありません。
できるだけ本人のペースで参加できるように、参加者の様子に気を配ることが大切です。参加者の気持ちを尊重し、参加を拒否する場面があっても無理強いはしないでください。
逆に、孤立しがちな参加者がいればコミュニケーションの輪になじめるように、優しく声をかけることが重要です。
職員も参加者と一緒に楽しむ
クリスマス会の準備や進行は、参加者が楽しめるような配慮や気遣いが求められるので、「大変だ」と認識する職員は少なくありません。
しかし、普段から一緒に過ごしている職員の明るい声や笑顔は、参加者の気持ちを前向きにします。場を盛り上げるためにも、職員は参加者と一緒に思いきり楽しみましょう。
老人ホームのクリスマス会は参加者・職員が楽しめる内容にしよう
老人ホームのクリスマス会は、脳の活性化や精神的な安定、身体機能の維持・向上といったさまざまなメリットが期待できます。
高齢者でも楽しめる出し物として、世代や認知・身体機能に合わせたレクリエーションを計画することが大切です。
ハンドベルや演劇、合唱など、入居者と職員が準備の段階から協力しながら、楽しく取り組める出し物を選ぶと良いでしょう。
また、職員はレクリエーションの場を安全に盛り上げられるように、感染症対策や参加者間のコミュニケーションなどにもしっかり配慮してください。