高齢者への支援のポイント
ベッドから車椅子の移乗介助は、介助される側もする側もそれなりに負担がかかります。
昔から大変とされる移乗介助を少しでも軽減するために、今回はベッドから車椅子の移乗介助の手順を紹介。
ベッドから車椅子の移乗介助の注意点やNG例も詳しく解説しているので、それぞれチェックしていきましょう。
そもそも車椅子の移乗介助とは?
車椅子の移乗介助とはその名の通り、車椅子からベッドなどに移乗する際に必要とされる介助のことです。
介助される側の身体の可動領域は大きく異なり、身体の動きに合わせて介助する必要があります。
移乗介助が大変だと感じる大きな原因としては、介護される側とする側の身体への負担度が違うということです。そして、移乗させる際に介護する側の姿勢が悪い可能性が考えられます。
本記事では、負担を軽減するための手順を次で解説しているのでチェックしていきましょう。
【11ステップ】ベッドから車椅子への移乗介助の手順
まずはベッドから車椅子への移乗介助の手順を紹介します。
手順は大きく分けて、以下の11ステップです。
- ステップ1.車椅子の準備
- ステップ2.利用者の体を小さく丸める
- ステップ3.ベッドの脇まで水平移動させる
- ステップ4.利用者の体の向きを変える
- ステップ5.てこの原理を利用して上体を起き上がらせる
- ステップ6.ベッドの高さを調整する
- ステップ7.車椅子の角度を調整する
- ステップ8.足の角度を調整する
- ステップ9.車椅子への移乗を声かけする
- ステップ10.声かけに併せて車椅子へ移乗する
- ステップ11.お尻の位置を調整する
それぞれチェックしていきましょう。
ステップ1.車椅子の準備
まずは車椅子を用意するところから始めましょう。
いきなり移乗させるとびっくりさせてしまうので、何か動作する前は必ず声かけをしてください。
車椅子をベッド横に設置し、フットサポートを上げてレッグサポートを外しましょう。
ステップ2.利用者の体を小さく丸める
移乗する際に邪魔になる可能性が考えられるので、移乗前に必ずアームサポートやサイドガードは上げておきましょう。
移乗しやすいように、介助される側の骨格や関節の可動域を把握して『ボディメカニクス』の基本的な原理を使って利用者の体を小さく丸めます。
ボディメカニクスの基本的な原理とは、まず介助される方を仰向けに寝かせてちょうど胸辺りで腕を組んでもらいます。
それから足を立たせて、身体を小さくすることが目的です。
同じ体積でも面積が小さくなれば力が分散されないため、移乗しやすくさせるために介護の現場では活用している方は非常に多いです。
ステップ3.ベッドの脇まで水平移動させる
移乗しやすいように車椅子をできる限り寄せて、ベッドの端に介護される方の身体も寄せます。
ステップ4.利用者の体の向きを変える
『ステップ3』で車椅子の準備は完了しているので、まず介護される方の上半身を横にします。
次に身体を起こしやすくさせるために、体勢を整えてから『ステップ5』を実践してください。
ステップ5.てこの原理を利用して上体を起き上がらせる
そのまま抱きかかえて起こすのではなく、遠心力やてこの原理を利用することで負担を軽減して起き上がらせることができます。
まず介護される側の首と膝の裏に手をまわします。
次に声をかけつつベッドから足を降ろして、ベッドに座らせてあげてください。
これで、上体を起こすことが可能になります。
ステップ6.ベッドの高さを調整する
調節可能であれば、車椅子の高さはベッドよりもやや低い位置になるようにしましょう。
座る側が低い方が重力の影響で負荷がかかりやすい傾向にあるため、スムーズに移乗させるためにはベッドの高さを調整するのがおすすめです。
ステップ7.車椅子の角度を調整する
車椅子の角度は、移乗の負担を軽減するために45度にするのが理想です。
この時、車椅子にブレーキがかかっているかどうかをしっかりと確認してください。
ブレーキがかかっていない車椅子に移乗すると、車椅子が後ろに下がるなどして介護される側が転倒してしまう可能性が考えられます。
フットレストもしっかり上がっているか確認してから、移乗しましょう。
ステップ8.足の角度を調整する
移乗する際に介護される側の足が真っ直ぐになっていると、移動する際に歩数が多くなって負担がかかります。
そのため、移乗する前に足先を斜めにすることで、車椅子に座った時にキレイに着席が可能です。
ステップ9.車椅子への移乗を声かけする
移乗する際に声かけを行い、3つカウントしてから車椅子に移乗させることを伝えます。
ステップ10.声かけに併せて車椅子へ移乗する
タイミングさえ合えば介護される側もできる限り移乗に協力してくれるので、双方共に負担が軽減されます。
ステップ11.お尻の位置を調整する
重心を下げつつ、車椅子に深く腰をかけさせます。
声かけしつつ、介護される側にとって適切な位置が見つかるまで少しずつ座る位置を変えてあげましょう。
適切な位置が見つかったら、移乗が完了したことを伝えてください。
【9ステップ】車椅子からベッドへの移乗介助の手順
次に車椅子からベッドへの移乗介助の手順を解説していきます。
手順は大きく分けて、以下の9ステップです。
- ステップ1.ベッドに対して角度をつけて車椅子を停止させる
- ステップ2.ベッドの高さを調整
- ステップ3.ベッドへの移乗を声かけする
- ステップ4.お尻の位置を調整する
- ステップ5.足の位置を調整する
- ステップ6.健常な腕を自分の肩に回してもらう
- ステップ7.声かけに併せてベッドへ移乗
- ステップ8.車椅子を遠ざける
- ステップ9.お尻の位置を調整する
それぞれチェックしていきましょう。
ステップ1.ベッドに対して角度をつけて車椅子を停止させる
移乗させる場所が高いと、介護される側の体格が大きい場合介助が大変だと感じる方は非常に多いもの。
まずは、ベッドに対して角度をつけて車椅子を停止させます。
理想は45度で、必ずブレーキをかけてフットレストをあげてください。
ステップ2.ベッドの高さを調整
基本的には、ベッドから車椅子に移乗するのと変わりません。
ベッドの高さを変更することで、持ち上げる負担はもちろん介助される側の身体にかかる負担も大幅に減らせます。
ステップ3.ベッドへの移乗を声かけする
移乗する際に声かけを行い、3つカウントしてからベッドに移乗させることを伝えます。
ステップ4.お尻の位置を調整する
車椅子からベッドに移乗しやすいように、お尻の位置を調整します。
ゆっくりと車椅子の背もたれから身体を離しつつ、水平移動を心掛けましょう。
ステップ5.足の位置を調整する
ベッドからの移乗と同じで、移乗前に足をやや斜めに調節しましょう。
介助される側の負担を極力軽減するために必要なポイントでもあるので、移乗するタイミングで必ず足を斜めにするよう伝えることが重要です。
ステップ6.健常な腕を自分の肩に回してもらう
脇の下に手をまわし、介助される側はしっかりと抱き付くような体勢になることを伝えましょう。
ステップ7.声かけに併せてベッドへ移乗
移乗させる際には声かけをしつつ、できる限り自力で移乗するようにしてほしいということを伝えます。
もちろん無理強いする必要はないので、無理のない範囲でOKということを伝えてください。
ゆっくりと3つカウントを数えてから移乗させるようにしましょう。
ベッドからの移乗と同じで、タイミングさえ合えば介護される側もできる限り移乗に協力してくれます。
双方共に負担を軽減するためにも、声かけはしっかりと行うようにしましょう。
ステップ8.車椅子を遠ざける
介助される側がゆっくりとベッドに座ったら、ケガの原因は極力減らす必要があります。
体勢を崩して転倒してしまうことも視野に入れて行動する必要があるので、ここでは車椅子を遠ざけます。
ステップ9.お尻の位置を調整する
最後にお尻の位置を調整し、移乗が完了したことを伝えて終了です。
そのままベッドに横になる場合は、ゆっくりと身体を支えながら仰向けに寝かせて足の位置も調節してあげましょう。
車椅子の移乗介助における注意点5つ
ベッドから車椅子への移乗や、その逆の移乗介助でも軽く注意点を交えながら紹介してきました。
ここでは、より詳しくポイントごとに移乗介助における注意点を5つ紹介していきます。
- フットレストを必ず上げておく
- 腕力だけで持ち上げない
- 腰や関節への負担に注意する
- 可能な限り被介助者自身の力で行う
- 車椅子の点検は怠らない
それぞれチェックしていきましょう。
フットレストを必ず上げておく
フットレストを上げておかないと、移乗する際につまずいて転倒する恐れがあります。
しっかりと移乗したことを確認した上で、フットレストを
元の位置に戻しましょう。
腕力だけで持ち上げない
力任せに移乗介助をすることは、『介助』とはいえません。
介護される側のズボンを持ったり、体勢が不安定な状態で力任せに持ち上げたりすると身体への負担になります。
転倒の恐れがあるので、無理のないようサポートしましょう。
腰や関節への負担に注意する
基本的には、介護される側が動きやすい姿勢を作ってから移乗介助を行います。
介助の基本は、とにかく身体を密着させて安定感を重要視することです。
ベッドに座った状態から椅子に移乗する際や、その逆をする場合は、とにかく腰や関節への負担に注意してください。
可能な限り被介助者自身の力で行う
介護する側の負担を軽減するだけでなく、少しでも長く身体の機能を低下させないためにも可能な限り被介助者自身の力で行うようにしてもらいましょう。
車椅子の点検は怠らない
車椅子は、使用し続けていれば破損などが発生します。
移乗した際に車椅子が破損してケガすることもあるので、使用する前は必ず点検してから使用しましょう。
移乗する際もフットレストなどが上がっているかどうかの確認も必要なので、1つ1つの動作を行う前にしっかりとチェックしてから移乗介助を行いましょう。
車椅子の移乗介助でやってはいけないNG例4つ
介助される側の負担を軽減するのはもちろん、ケガや転倒を誘発させるNG行動が存在しています。
ここでは大きく分けて以下4つが挙げられます。
- 介助のスピードが速い
- ズボンを掴む
- 勢いよく座らせる
- 無理に引っ張り上げる
それぞれチェックしていきましょう。
介助のスピードが速い
身体が不自由な方からしてみれば、速く動きたい気持ちはあっても身体がついて行けません。
介助される側のスピードというものが存在しているので、できる限りゆっくり介助してあげましょう。
介助のスピードが速いとケガの原因にもなるので、注意が必要です。
ズボンを掴む
介助される側のズボンを掴むと、体勢が不安定になり転倒の恐れがあります。
介助される側からしてみれば上手く身体が動かせないため、身体に負担がかかります。
無理な介助は双方にメリットがないので、ズボンを掴む行為は控えてください。
勢いよく座らせる
自分の力で移乗できない方は、体勢を崩しやすいもの。
そのため、勢いよく座らせてしまうと、車椅子が後ろに転倒してしまう可能性が考えられます。
自分で体勢を整えることが難しいため、勢いよく座らせることは避けましょう。
無理に引っ張り上げる
よくあるのが、上手く座れないからといって介助される側の身体を無理に引っ張ってしまうというのが挙げられます。
身体の動きと反発した動作を行うと、ケガや身体の機能を余計に低下させることにつながります。
車椅子の移乗介助に関するよくある質問
最後に車椅子の移乗介助に関するよくある質問を紹介していきます。
ここで紹介するよくある質問は、以下の通り。
- ベッドに対して30度〜45度の角度で車椅子を置く理由は?
- 車椅子移乗の際に起こる事故の事例や対策は?
- 片麻痺の人の車椅子移乗の方法は?自立はできる?
それぞれチェックしていきましょう。
ベッドに対して30度~45度の角度で車椅子を置く理由は?
ベッドに対して垂直だと、身体をねじる動作が多くなるので負担が大きくなります。
そのため、介助される側の身体に負担をかけないために、30度〜45度の角度で車椅子を置く必要があるというのが理由です。
車椅子移乗の際に起こる事故の事例や対策は?
車椅子からベッドに移乗する際に、足をぶつけてケガをしてしまったという事例があります。
他にもベッドの位置が高過ぎて、バランスを崩して転倒した際に骨折したというケースもあります。
少しベッドにぶつかっただけで骨折の可能性は十分に考えられるので、職員同士でヒアリハットなどを共有して再発防止に努めましょう。
片麻痺の人の車椅子移乗の方法は?自立はできる?
片麻痺の人の自立は困難なので、移乗する際は必ず介助するようにしましょう。
ポイントとしては、麻痺している側に立って介助することです。
後はいつものように1つ1つの動作に気を付けて、移乗介助を行いましょう。
まとめ:車椅子の移乗介助は利用者に寄り添うことが大切
ベッドから車椅子の移乗介助の手順や、移乗介助をする際の注意点やNG例も紹介してきました。
介助の基礎的なことは学んだものの、実践で上手く活かせないという方は多いもの。
ですが介助される側からしてみれば、介護のプロに変わりはありません。
安心して移乗介助ができるように、しっかりと押さえるべきポイントを押さえて介助しましょう。
移乗しやすいように車椅子をできる限り寄せて、ベッドの端に介護される方の身体も寄せます。
ステップ4.利用者の体の向きを変える
『ステップ3』で車椅子の準備は完了しているので、まず介護される方の上半身を横にします。
次に身体を起こしやすくさせるために、体勢を整えてから『ステップ5』を実践してください。
ステップ5.てこの原理を利用して上体を起き上がらせる
そのまま抱きかかえて起こすのではなく、遠心力やてこの原理を利用することで負担を軽減して起き上がらせることができます。
まず介護される側の首と膝の裏に手をまわします。
次に声をかけつつベッドから足を降ろして、ベッドに座らせてあげてください。
これで、上体を起こすことが可能になります。
ステップ6.ベッドの高さを調整する
調節可能であれば、車椅子の高さはベッドよりもやや低い位置になるようにしましょう。
座る側が低い方が重力の影響で負荷がかかりやすい傾向にあるため、スムーズに移乗させるためにはベッドの高さを調整するのがおすすめです。
ステップ7.車椅子の角度を調整する
車椅子の角度は、移乗の負担を軽減するために45度にするのが理想です。
この時、車椅子にブレーキがかかっているかどうかをしっかりと確認してください。
ブレーキがかかっていない車椅子に移乗すると、車椅子が後ろに下がるなどして介護される側が転倒してしまう可能性が考えられます。
フットレストもしっかり上がっているか確認してから、移乗しましょう。
ステップ8.足の角度を調整する
移乗する際に介護される側の足が真っ直ぐになっていると、移動する際に歩数が多くなって負担がかかります。
そのため、移乗する前に足先を斜めにすることで、車椅子に座った時にキレイに着席が可能です。
ステップ9.車椅子への移乗を声かけする
移乗する際に声かけを行い、3つカウントしてから車椅子に移乗させることを伝えます。
ステップ10.声かけに併せて車椅子へ移乗する
タイミングさえ合えば介護される側もできる限り移乗に協力してくれるので、双方共に負担が軽減されます。
ステップ11.お尻の位置を調整する
重心を下げつつ、車椅子に深く腰をかけさせます。
声かけしつつ、介護される側にとって適切な位置が見つかるまで少しずつ座る位置を変えてあげましょう。
適切な位置が見つかったら、移乗が完了したことを伝えてください。
【9ステップ】車椅子からベッドへの移乗介助の手順
次に車椅子からベッドへの移乗介助の手順を解説していきます。
手順は大きく分けて、以下の9ステップです。
- ステップ1.ベッドに対して角度をつけて車椅子を停止させる
- ステップ2.ベッドの高さを調整
- ステップ3.ベッドへの移乗を声かけする
- ステップ4.お尻の位置を調整する
- ステップ5.足の位置を調整する
- ステップ6.健常な腕を自分の肩に回してもらう
- ステップ7.声かけに併せてベッドへ移乗
- ステップ8.車椅子を遠ざける
- ステップ9.お尻の位置を調整する
それぞれチェックしていきましょう。
ステップ1.ベッドに対して角度をつけて車椅子を停止させる
移乗させる場所が高いと、介護される側の体格が大きい場合介助が大変だと感じる方は非常に多いもの。
まずは、ベッドに対して角度をつけて車椅子を停止させます。
理想は45度で、必ずブレーキをかけてフットレストをあげてください。
ステップ2.ベッドの高さを調整
基本的には、ベッドから車椅子に移乗するのと変わりません。
ベッドの高さを変更することで、持ち上げる負担はもちろん介助される側の身体にかかる負担も大幅に減らせます。
ステップ3.ベッドへの移乗を声かけする
移乗する際に声かけを行い、3つカウントしてからベッドに移乗させることを伝えます。
ステップ4.お尻の位置を調整する
車椅子からベッドに移乗しやすいように、お尻の位置を調整します。
ゆっくりと車椅子の背もたれから身体を離しつつ、水平移動を心掛けましょう。
ステップ5.足の位置を調整する
ベッドからの移乗と同じで、移乗前に足をやや斜めに調節しましょう。
介助される側の負担を極力軽減するために必要なポイントでもあるので、移乗するタイミングで必ず足を斜めにするよう伝えることが重要です。
ステップ6.健常な腕を自分の肩に回してもらう
脇の下に手をまわし、介助される側はしっかりと抱き付くような体勢になることを伝えましょう。
ステップ7.声かけに併せてベッドへ移乗
移乗させる際には声かけをしつつ、できる限り自力で移乗するようにしてほしいということを伝えます。
もちろん無理強いする必要はないので、無理のない範囲でOKということを伝えてください。
ゆっくりと3つカウントを数えてから移乗させるようにしましょう。
ベッドからの移乗と同じで、タイミングさえ合えば介護される側もできる限り移乗に協力してくれます。
双方共に負担を軽減するためにも、声かけはしっかりと行うようにしましょう。
ステップ8.車椅子を遠ざける
介助される側がゆっくりとベッドに座ったら、ケガの原因は極力減らす必要があります。
体勢を崩して転倒してしまうことも視野に入れて行動する必要があるので、ここでは車椅子を遠ざけます。
ステップ9.お尻の位置を調整する
最後にお尻の位置を調整し、移乗が完了したことを伝えて終了です。
そのままベッドに横になる場合は、ゆっくりと身体を支えながら仰向けに寝かせて足の位置も調節してあげましょう。
車椅子の移乗介助における注意点5つ
ベッドから車椅子への移乗や、その逆の移乗介助でも軽く注意点を交えながら紹介してきました。
ここでは、より詳しくポイントごとに移乗介助における注意点を5つ紹介していきます。
- フットレストを必ず上げておく
- 腕力だけで持ち上げない
- 腰や関節への負担に注意する
- 可能な限り被介助者自身の力で行う
- 車椅子の点検は怠らない
それぞれチェックしていきましょう。
フットレストを必ず上げておく
フットレストを上げておかないと、移乗する際につまずいて転倒する恐れがあります。
しっかりと移乗したことを確認した上で、フットレストを
元の位置に戻しましょう。
腕力だけで持ち上げない
力任せに移乗介助をすることは、『介助』とはいえません。
介護される側のズボンを持ったり、体勢が不安定な状態で力任せに持ち上げたりすると身体への負担になります。
転倒の恐れがあるので、無理のないようサポートしましょう。
腰や関節への負担に注意する
基本的には、介護される側が動きやすい姿勢を作ってから移乗介助を行います。
介助の基本は、とにかく身体を密着させて安定感を重要視することです。
ベッドに座った状態から椅子に移乗する際や、その逆をする場合は、とにかく腰や関節への負担に注意してください。
可能な限り被介助者自身の力で行う
介護する側の負担を軽減するだけでなく、少しでも長く身体の機能を低下させないためにも可能な限り被介助者自身の力で行うようにしてもらいましょう。
車椅子の点検は怠らない
車椅子は、使用し続けていれば破損などが発生します。
移乗した際に車椅子が破損してケガすることもあるので、使用する前は必ず点検してから使用しましょう。
移乗する際もフットレストなどが上がっているかどうかの確認も必要なので、1つ1つの動作を行う前にしっかりとチェックしてから移乗介助を行いましょう。
車椅子の移乗介助でやってはいけないNG例4つ
介助される側の負担を軽減するのはもちろん、ケガや転倒を誘発させるNG行動が存在しています。
ここでは大きく分けて以下4つが挙げられます。
- 介助のスピードが速い
- ズボンを掴む
- 勢いよく座らせる
- 無理に引っ張り上げる
それぞれチェックしていきましょう。
介助のスピードが速い
身体が不自由な方からしてみれば、速く動きたい気持ちはあっても身体がついて行けません。
介助される側のスピードというものが存在しているので、できる限りゆっくり介助してあげましょう。
介助のスピードが速いとケガの原因にもなるので、注意が必要です。
ズボンを掴む
介助される側のズボンを掴むと、体勢が不安定になり転倒の恐れがあります。
介助される側からしてみれば上手く身体が動かせないため、身体に負担がかかります。
無理な介助は双方にメリットがないので、ズボンを掴む行為は控えてください。
勢いよく座らせる
自分の力で移乗できない方は、体勢を崩しやすいもの。
そのため、勢いよく座らせてしまうと、車椅子が後ろに転倒してしまう可能性が考えられます。
自分で体勢を整えることが難しいため、勢いよく座らせることは避けましょう。
無理に引っ張り上げる
よくあるのが、上手く座れないからといって介助される側の身体を無理に引っ張ってしまうというのが挙げられます。
身体の動きと反発した動作を行うと、ケガや身体の機能を余計に低下させることにつながります。
車椅子の移乗介助に関するよくある質問
最後に車椅子の移乗介助に関するよくある質問を紹介していきます。
ここで紹介するよくある質問は、以下の通り。
- ベッドに対して30度〜45度の角度で車椅子を置く理由は?
- 車椅子移乗の際に起こる事故の事例や対策は?
- 片麻痺の人の車椅子移乗の方法は?自立はできる?
それぞれチェックしていきましょう。
ベッドに対して30度~45度の角度で車椅子を置く理由は?
ベッドに対して垂直だと、身体をねじる動作が多くなるので負担が大きくなります。
そのため、介助される側の身体に負担をかけないために、30度〜45度の角度で車椅子を置く必要があるというのが理由です。
車椅子移乗の際に起こる事故の事例や対策は?
車椅子からベッドに移乗する際に、足をぶつけてケガをしてしまったという事例があります。
他にもベッドの位置が高過ぎて、バランスを崩して転倒した際に骨折したというケースもあります。
少しベッドにぶつかっただけで骨折の可能性は十分に考えられるので、職員同士でヒアリハットなどを共有して再発防止に努めましょう。
片麻痺の人の車椅子移乗の方法は?自立はできる?
片麻痺の人の自立は困難なので、移乗する際は必ず介助するようにしましょう。
ポイントとしては、麻痺している側に立って介助することです。
後はいつものように1つ1つの動作に気を付けて、移乗介助を行いましょう。
まとめ:車椅子の移乗介助は利用者に寄り添うことが大切
ベッドから車椅子の移乗介助の手順や、移乗介助をする際の注意点やNG例も紹介してきました。
介助の基礎的なことは学んだものの、実践で上手く活かせないという方は多いもの。
ですが介助される側からしてみれば、介護のプロに変わりはありません。
安心して移乗介助ができるように、しっかりと押さえるべきポイントを押さえて介助しましょう。