高齢者への支援のポイント
地方自治体が実施している介護サービスのなかには、65歳以上の方が参加可能な「介護予防活動」があります。これは、介護予防総合事業の一環として、地域の介護施設や集会所等で実施されているものです。このような施設で行われている認知症予防について、ご紹介します。
通所介護施設で認知症予防を
介護保険による介護サービスは、基本的には65歳以上の方が対象で、サービスを受けるためには「要介護認定」が必要です。認定を受けるためには、お住まいの地方自治体の役所で申請することができます。特に介護や支援の必要がないと判断された方は、「自立(非該当)」の認定を受けるでしょう。なお、結果に不満がある場合は「不服申し立て」あるいは「区分変更申請」を行うことが可能です。
要介護認定で「自立(非該当)」と認定された場合、介護保険の適用による介護サービスを受けることはできません。しかし、地方自治体や民間施設が独自に行っているサービスを利用することは可能です。サービスの内容や料金は、地方自治体によって異なります。「要介護になることを防ぐ」ということを目的にしているため、認知症予防に効果のあるプログラムがサービスに含まれているのです。
老人ホームのレクリエーションも認知症予防の一環
地方自治体が行っている「介護予防事業」では、数多くの種類があります。いずれも参加しやすく、気軽に楽しめるような内容が多いでしょう。一見すると、単なるレクリエーションや交流目的の集いのように思いがちですが、認知症予防に効果があることを行っています。
認知症予防には、「記憶・運動・会話」の3つのポイントを押さえた行動が効果的です。将棋や手作業を伴うワークショップは、手先を使いながら考えることで、記憶力が鍛えられます。また、身体機能維持のための簡単な体操や運動をすることで、自宅での生活では使わない筋肉も刺激できるでしょう。カラオケ大会や遠足といったイベントなども、参加者同士や施設職員たちと笑ったり協力したりするため、認知症予防に良いとされています。
認知症予防プログラムで施設を決めても良い
「介護予防事業」は、地域の老人介護施設や集会所などを利用して行われています。また、民間の場合は老人ホームのレクリエーションルームなどが使われます。このため、将来的に老人ホームへの入居を検討している方にとっては、入居希望先の施設の雰囲気を見ることができる良い機会になるでしょう。入所した施設で自分が楽しめる活動ができるかどうかは、住み心地を左右する大きなポイントです。施設探しの際は、介護予防で実施されている内容を見て、検討してみてもいいかもしれません。
1日20人以上と触れ合うと良い
介護予防事業で行われるイベントなどに参加するのは、同じ地域に住む同年代の高齢者です。また、介護士などの施設職員に加え、地元のボランティアの方が参加することもあり、地域交流が図れます。こういった方々と一緒に協力したり教え合ったりすることで、一体感や連帯感を体験できるでしょう。
多くの人とのふれあいは、自宅にいるとなかなか実現できないこともあり、脳に多くの刺激を与えてくれる大事な機会です。また、笑うことやお喋りといったコミュニケーションは、認知症予防にも効果があると言われています。
健康なうちは「老人ホームや介護施設は、まだ先の話」と考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、認知症予防に効果的な運動やレクリエーションを通じて、認知症予防に関する知識を得ることもできます。地域の人たちと交流のきっかけにもなり、新しい興味や趣味を見つけられるかもしれません。早い段階から、準備することが大切です。気になる方は、お住まいの市区町村の窓口や地域包括センターに問い合わせてみてください。