認知症予防で重要なこととは?
認知症予防で重要なこととは?

高齢者への支援のポイント

若い年齢でも発症することのある認知症は、予防が重要といわれます。認知症の症状は進行性で発症するとなかなか改善は難しいためです。認知症に対する薬も研究が進められていますが、現段階では明確な治療法がありません。一方で、認知症の原因に関しては、直接・間接を含めさまざまなものが明らかになっています。予防のためにも、認知症の原因について覚えておきましょう。

認知症の原因とは

現在、認知症を患う方の多くはアルツハイマー型認知症と呼ばれる認知症です。主な原因は、アミロイドβタンパクという異常タンパク質によるものと考えられています。この異常タンパク質が脳内で蓄積すると、脳の細胞が変性し死滅します。その結果、脳が委縮し機能が低下してしまうのです。アミロイドβタンパク質はゆっくりと蓄積されていくのが特徴で、早めに対策をすれば症状を軽減ができます。

近年、若年性の認知症が注意喚起されています。こちらの原因は、アルツハイマー型ではなく脳血管性によるものが多いのが特徴です。脳血管性認知症とは、脳の血管に関するトラブルが引き金となり、発症する認知症のことを指します。

血管が詰まったり、脳の血管が破れ出血したりすることで、その周辺の神経細胞が破壊され、認知症を発症してしまう仕組みです。さらに、記憶をつかさどる海馬や視床といった部位に血管障害が起こることも、脳血管性認知症といわれます。

ストレスも認知症の原因

さまざまな健康障害を引き起こすストレスは、認知症の原因にもなりえます。ストレスを感じると、コルチロイドというホルモンが分泌されます。これが長期間にわたって脳に作用することで、脳細胞が破壊されたり、海馬が委縮したりといった影響を及ぼしてしまうのです。

仕事やさまざまな環境での人間関係、生活への不安などでストレスを抱えているケースも多いでしょう。ストレスがうまく発散できないと、うつ病をはじめとした精神的な疾患に陥る可能性も高まるため、ケアを心がけてください。不眠や食欲不振は、副次的な認知症へのリスクとなる恐れがあります。ストレス発散のために運動習慣を持ったり、自分なりの気分転換の方法を身に付けたりして対策しましょう。

生活習慣の乱れも発症のリスクを高める

ストレスの解消だけでなく、運動不足や偏った食生活は認知症リスクを高めることが、近年の研究で指摘されるようになりました。朝食を食べない、夜遅くに食事をする、脂肪分や油の多い食事が多いといった食生活や、車での生活で歩く機会がない、定期的に運動をしていない、といった生活が該当します。

これらは、生活習慣病に対するリスクを高める原因です。糖尿病や脂質異常、高血圧の要因となり、これらが引き金となって、脳卒中などの脳血管障害を引き起こすリスクが高まります。食生活や運動など、自分の生活習慣を振り返り、改善することが認知症の予防につながります。

治療法がないからこそ予防が重要となる

認知症を発症してしまうと、物忘れがひどくなったり、コミュニケーションに支障をきたしたりするようになります。もし、発症が定年退職よりも前であれば、仕事面でも大きな障害となってしまう病気です。さらに、生活をするうえでも家族をはじめとした周囲との関係に支障をきたすケースも珍しくありません。

認知症の発症のメカニズムは明確ではなく、治療法についても現在は模索段階で確立したものはない状態です。そのため、発症すると現在の医療では治療ができず、進行を遅らせることや訓練によって脳の能力を保つことが主眼に置かれています。

一方で、認知症の予防については継続的な研究が続けられて、多くの方法で効果があることがわかりつつあります。そのひとつが生活習慣の改善です。日頃から運動や食生活といった面を見直して、認知症やその原因となる生活習慣病に対するリスクを下げるように意識しましょう。