高齢者への支援のポイント
多くの疾患に言えることですが、認知症は早期発見が重要です。放置しておくと症状が進み、事故やトラブルを起こしやすくなります。早期によって治療を始めることで、症状の進行を遅らせることが可能です。しかし、認知症かどうかを判断するには、意識していないと見落としてしまうポイントが多くあります。ここでは、認知症を早期発見するための目安や方法について解説します。
早期発見が必要な理由
早期に発見して適切なケアをすることで、症状の予防や進行を遅らせることができます。また、症状が回復する可能性も高まります。認知症を改善する薬も出ていますが、より効果を出すためには、症状の早期段階に投薬できるかが重要です。また、治療法の選択肢も広がるため、最善の方法で治療を受けることもできます。
認知症は治らない病気と思っている方も多いでしょう。しかし、認知症は早期治療によって改善する可能性が高まると言われています。認知症は予防とともに、早期発見によって症状を進行させないことが大切です。
早期発見の目安とは
アルツハイマー型認知症は、発症する10~20年前から脳内で変化が生じていると言われています。早期発見によって、症状が発症する前に治療することで、発症を遅らせること可能です。早期発見のポイントは、以下の通りです。
- 物忘れがひどい
- 何度も同じことを言ったり、聞いたりする
- よく物をどこにしまったか、忘れてしまう
- 財布や衣類などを盗まれたと言う
- 約束の時間や場所を間違える
- 慣れているはずの道に迷う
- 新しいことを覚えられない
- 話のつじつまが合わない
- テレビ番組の内容が理解できない
- ちょっとしたことで怒る
- 頑固になった
- 外出する際に持ち物を何度も確かめる
- 一人になると不安になったり寂しがったりする
- 身だしなみを気にしなくなった
- 今まで興味のあったことに関心を示さない
- 何をするのも面倒くさがるようになった
アルツハイマー型認知症にかかると、以前よりも物忘れがひどくなったり、判断力や理解力が衰えたりします。人によっては、元の性格が変わることもあります。思い当たることがあれば、病院に行って診察を受けるとよいでしょう。
認知症患者は増加の傾向にある
厚生労働省によると、2012年の時点で日本の認知症高齢者人口は、約462万人とされています。さらに2025年には、700万人になる見込みです。今後、認知症高齢者の割合は、65歳以上の5人に1人と言われています。
この人数は、医師から直接認知症と診断された数です。医療機関で受診していない認知症高齢者は、さらに存在すると考えられています。高齢化によって、認知症のリスクは高まります。しかし、医療機関に受診して、早めに対処をすれば、進行を緩やかにすることも可能です。
日常会話を早期発見につなげよう
認知症を早期に発見する方法として、会話をすることがあげられます。普段の何気ない会話の中にも、異変を感じることがあるでしょう。言葉がなかなか出てこないときや、知り合いの名前を忘れてしまうことがあれば、認知症の初期症状が出ているかもしれません。周囲が積極的に会話をすることで、違和感に気づくことができるでしょう。特に一人暮らしをしている高齢者は、認知症が進行しやすい傾向にあります。離れて過ごす家族の場合は、電話をかけたり会う回数を増やしたりして、できるだけコミュニケーションを取るようにしましょう。
認知症の症状が進行してしまうと、トラブルを起こしたり事故に巻き込まれたりする可能性が高まります。認知症の症状をただの物忘れだと思って放っておいてしまうと、症状を進行させてしまう原因にもなります。まずは、できるだけ会話をして、家族の言動や行動に違和感がないかチェックするようにしましょう。