高齢者でうつ病を防ぐには運動が大事
高齢者でうつ病を防ぐには運動が大事

高齢者への支援のポイント

一般的に、高齢者になるとうつ病を発症しやすくなると言われています。高齢者がうつ病になると、心だけではなく体の健康にも影響を与え、病気を発症する可能性が高いようです。老後も健康でいるためには予防が欠かせません。ここでは、高齢者のうつ病予防についてご説明します。

高齢者になるほど孤独感を感じる

加齢とともに身体だけではなく、精神的にも衰える面があります。そのため、さまざまな悲しい出来事やつらい出来事に対し、心が耐えられなくなっていくのです。

年齢を重ねるとともに、周りの状況や環境も変化します。子どもが独立して家庭を築き、ご自身は仕事から引退します。配偶者や友人との死別や引っ越し、財産の減少など、気分が落ち込んでしまうことも少なくありません。孤独を感じやすくなるとともに、うつという状態になりやすくなるのです。

高血圧や糖尿病、リウマチ、心筋梗塞、がんなどの病気も、うつを発症させる原因になります。さらに、うつ病になり精神的に落ち込んでしまう状態は、健康を害することにもつながるのです。

高齢者のうつ病は体の不調を感じやすい

高齢者のうつ病は発症していても、ご本人が気づきにくいケースは少なくありません。なぜなら、めまいや頭が重い、肩こり、腰痛、便秘、倦怠感、食欲不振、頻尿、胃の不快感などといった、体の不調が特徴だからです。これらの症状は何かしら体に異常があると思っても、心の病気だとは気づきづらいでしょう。

高齢者のうつ病の症状としては、次のようなこともあります。

  • 物事に対する興味がわかない
  • 理由の分からない不安を感じる
  • イライラしやすく、じっとしていることができず家の中を歩き回る
  • 自分は周りから悪口を言われているといった被害妄想になる
  • もの覚えが悪くなる、曜日などは分からなくなる

もしご家族の方にこのような症状が見られたら、すぐに医療機関で診察を受けてもらうようにしましょう。

症状を感じた場合は病院で診察を

高齢者のうつは、心身ともにさまざまな悪影響をもたらします。症状が悪化すると、悪いことばかり考えるようになり、自殺願望も出てきます。脳に何らかのトラブルが起こることがうつを発症する原因と考えられていますが、詳しくは解明されていません。自然に治ることはないので、治療が必要です。

治療法は休息のほか、薬物療法や電気けいれん療法などといった方法があります。治療ですべての人が改善するとは限りませんが、6~7割の人が快方に向かうようです。症状が悪化する前に、うつの症状に思い当たることがあれば、すぐに病院で診察してもらいましょう。

適度に運動することが予防にもなる

ご家族の方にうつを発症させないことも大事です。予防するには、新しいことにチャレンジしたり、新しい仕事やボランティアを始めたりするのもいいでしょう。まずはご家族の方を中心に、周囲とコミュニケーションを絶やさないことが重要です。また、栄養バランスを考えた食事や適度な運動もうつの予防法になります。

体を動かすことは、衰えていく筋力の低下を防ぐとともに、リフレッシュによるストレス解消効果も期待できます。太陽の光を浴びたり運動をしたりすると、精神を安定させるセロトニンの分泌も増えます。セロトニンが減ると心が不安定になり、うつを発症しやすくなるようです。屋外の散歩や軽い運動などをして、セロトニンの分泌を促しましょう。

高齢者のうつは発症に気づくのが難しいものです。身体的な症状のほか、元気がない、食欲がない、無気力になったなどの症状があれば、うつを疑いましょう。もし、ご家族の方にうつ傾向が見られるようなら、ご本人と話し合い、病院へ行くように促すのも選択肢のひとつです。