高齢者の親が病気で入院した時お金の費用
高齢者の親が病気で入院した時お金の費用

高齢者への支援のポイント

高齢になると、体力が低下して筋力も衰えるため、病気やケガをしやすくなります。軽い症状で済めばよいのですが、なかには重症化して入院しなければならないケースもあります。その際には、医療費がどれぐらいかかるのか気になる方も多いはずです。老後に備えて貯金をしている方でも、突然高額な医療費がかかるかもしれません。ここでは、老後の病気やケガにかかる費用を軽減する方法を紹介します。

高齢者は生活習慣病や思わぬケガすることも

高齢者が生活習慣病を患ってしまった場合、軽度な病気であったとしても、合併症を併発する恐れがあります。また治療や手術のほかにも、症状によっては入院やリハビリが必要です。それに伴って、かかる医療費も増えるでしょう。

高齢者はどれくらい医療費がかかるのか気になる人も多いでしょう。厚生労働省の資料によると、75~79歳の1人あたりの医療費は77万6,593円かかると報告されています。これは、40~44歳の13万6,788円と比べると、5倍以上の差があります。高齢者になると、医療費が高くなることは必然といえるようです。

70際になると自己負担額が減る

70万円以上の医療費は、個人で全額支払う必要がありません。高齢者になると、仕事によって収入を得られることが難しくなります。また、貯金や公的年金だけで生活をしていくケースも多いため、自己負担額がどれだけ軽減されるか、事前に確認しておくとよいでしょう。

1ヵ月の医療費は、上限が設定されている高額療養費制度を利用した場合、70歳から自己負担の割合が3割から2割になります。また、75歳になると自己負担の割合は1割になります。また、70歳未満の高額療養費制度の限度額は5段階に分けられています。一般的な所得であれば1ヵ月の医療費が100万円かかっても、自己負担は10万円かかりません。

世帯合算や多数回該当で自己負担を軽減

高額療養費制度の中には、自己負担量を減らせる世帯合算と多数回該当があります。

世帯合算は、1人では高額療養費の支給対象とならない場合、複数の受診や同じ世帯の人であれば、合算することができます。合計の金額が基準の一定額を超えれば、高額療養費制度の対象になります。世帯で合算する場合は、同じ医療保険に加入していることが条件となるため、利用を考えている方は注意しましょう。

多数回該当は、直近の12ヵ月間に3回以上の高額療養費制度を利用した場合に適用されるルールです。その月に負担するべき上限額が、さらに引き下げられます。

入院前に「所得区分」の認定書の発行を

高齢者になると、ケガや病気が原因で入院する機会が増えることもあります。その際は、加入する医療保険から事前に「所得区分」の認定書を発行してもらうと、制度の利用がスムーズに行えます。高額療養費は、申請してから支給までに3ヵ月近くかかることも珍しくありません。あらかじめ認定書発行の手続きを済ませておくことで、病院窓口の支払いで用意するお金が、少ない金額済みます。

高額療養費の申請は、健康保険組合、協会けんぽの都道府県支部、市町村国保、後期高齢者医療制度、共済組合といった各公的医療保険に申請書を提出します。どの医療保険に加入しているかについては、保険証に記載があるため、利用する前に確認してみてください。

病気やケガをすると、治療のために何度も通院するだけでなく、症状によっては入院する必要があります。その際の医療費は、安いものではありません。突然の病気やケガで大きな出費が必要になった場合でも、高額療養費制度を利用することで、医療費の負担を軽減することができます。また、世帯合算や多数回該当を利用することで、制度の対象にならない方でも利用することが可能です。治療費が高額だからといって、治療を諦める前にこれらの制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。