高齢者睡眠の病気を運動で快眠へ
高齢者睡眠の病気を運動で快眠へ

高齢者への支援のポイント

眠りが浅くなる、朝早く目が覚めてしまう、といった悩みを抱えている高齢者は多くいらっしゃいます。それは、年のせいだけではなく、病気の可能性もあります。病気によって、睡眠がとれていない状態は「高齢者睡眠障害」と言われ、適切な治療が必要です。高齢者の睡眠障害を予防・改善する方法を紹介しましょう。

高齢者睡眠障害を治すには原因を知ること

高齢者睡眠障害を改善するには、原因を知ることが大切です。痛みや咳、かゆみだけでなく、薬の影響で眠れないという方もいらっしゃいます。また、身体的な病気や精神疾患が原因となり、不眠を引き起こしたりしているケースもあるようです。

関節リウマチや膝などの関節の痛みや、トイレが近くて夜中に何度も起きてしまうことも、不眠の原因となります。こういった場合は、原因となる症状の治療を行うことを優先するようにしてください。

改善には睡眠障害対処12の指針をしてみる

改善方法としては、睡眠障害対処12の指針でもある「規則的な運動習慣」が大切です。運動をすることは、夜の睡眠の質を高め、熟睡を促します。また、不眠の原因として、ストレスも該当します。体を動かすことはストレス発散になり、睡眠障害の改善に繋がると言えるでしょう。運動をすれば、筋力や心肺機能の低下も防ぐことができ、体力維持にも繋がります。睡眠障害対処12の指針では、以下のようなことを推奨しています。

  • 睡眠時間にこだわらない
  • 寝る前にはリラックスする
  • 就寝時刻にこだわらず、眠たくなったら寝るようにする
  • 毎日同じ時刻に起床する
  • 光を利用して良い睡眠をとる
  • 規則正しい3度の食事をする
  • 昼寝は15時前、20~30分
  • 眠りが浅いときは積極的に遅寝・早起きをする
  • 睡眠中の激しいいびき、呼吸停止、足のびくつき、むずむず感に注意する
  • 十分眠っていても日中の眠気が強いときには専門医にみてもらう
  • 寝酒は不眠のもとになる
  • 睡眠薬を正しく使う

以上のようなことを試してみるのもいいでしょう。

睡眠と認知症は関係している

認知症と睡眠は、深い関係性があります。認知症の場合、昼夜が逆転してしまう睡眠障害が現れることもあります。物忘れなどの症状に対して不安を抱え、睡眠が妨げられてしまうのです。また、自分のいる場所や時間が分からなくなり、夜中に家族を探して家の中を歩きまわるといった行動に出ることもあります。

こういった症状を改善するためには、眠りやすい環境づくりが大切です。太陽の光を浴びると、体内時計に刺激を与えるため、昼夜のリズムの調整ができるでしょう。照明の有無の好みがあるように、人によって眠りやすい環境は異なっています。本人に合わせた環境づくりをしましょう。

高齢者は居眠りが多くなる

高齢者に居眠りが多いのは、眠りの質が悪く、寝入りばなから深い眠りに到達できないことが原因と言われています。私たちの睡眠は、ノンレム睡眠から入り、その質は徐々に深いものになっていきます。高齢者の居眠りは、このノンレム睡眠の1段階目か2段階目の状態です。年を重ねると、この段階から深い眠りに入ることができなくなってしまいます。このため、夜の睡眠が浅い眠りになり、日中に居眠りが繰り返し起きてしまうのです。

深い睡眠をとるには、体を動かすことが重要になってきます。取り組みやすいウォーキングなどの運動をし、継続していくようにしましょう。運動をすることで、適度な疲労を感じ、夜は熟睡できる可能性が高くなります。

高齢者の睡眠障害を改善するには、原因を解消すること必要になります。認知症の場合は、眠りやすくなる環境を整えることを意識してください。また、深い睡眠をとるためには、体を動かすことも大切です。短い時間でもウォーキングなどの運動を行い、体内時計に刺激を与え、質の良い睡眠をとれるようにしましょう。