骨折しやすくなる高齢者の病気と運動の関係
骨折しやすくなる高齢者の病気と運動の関係

高齢者への支援のポイント

骨折をしてしまうと、日常生活に支障が出てしまいます。高齢者の場合、骨折をしたことで、病気や寝たきりになってしまう可能性も考えられるため、注意が必要です。病気にならないためにも、骨折をした後のケアや運動方法について知っておきましょう。

高齢者での場合は脆弱性骨折

高齢者は転倒しやすく、骨折する確率が高いです。なかでも、脆弱性骨折をする高齢者が多いと言われています。脆弱性骨折は、骨強度(骨密度)が低くなることで、軽い衝撃でも骨折しやすい状態です。大腿骨頸部、上腕骨頸部、胸腰椎などが骨折しやすく、特脊椎椎体骨折をする方が非常に多いと言われています。

高齢者の骨折は、骨量の低下や筋力・バランス機能などの低下が原因です。高齢者に多くみられる「骨粗しょう症」は、骨密度の検査で以下の内容に該当した場合になります。

  • 骨密度がYAM(若年成人平均値)の70%以下の場合
  • 骨密度がYAM(若年成人平均値)の70~80%で、脆弱性骨折がある場合

骨折をすることで、車いす生活や寝たきりになってしまう可能性は0ではありません。骨折をした高齢者の約10%は1年以内に死亡するという報告もあり、骨折には注意が必要です。

骨折の治療は高齢者の場合は2タイプ

骨折の治療は、手術療法と手術をしない保存療法の二つです。保存療法の場合は、骨折した部位が安定するまで、安静にします。しかし、長い期間安静にしていると、筋力が低下や認知症が起き、寝たきりの状態になってしまう可能性が高いです。そのため、下肢の骨折の場合、手術療法をして、早い段階からリハビリを行うケースが増えています。

骨折後のケアで運動も重要

寝たきりにならないためにも、骨粗しょう症のケアでは、運動と日光浴をすることが大事です。日常的にできる散歩や階段の上り下り、体操などを習慣にしましょう。ウォーキングやエアロビクスなどの運動を、自分の体に負荷がかかりすぎないように、継続して行うようにしてください。アキレス腱を伸ばしたり、背筋を伸ばしたりすることも良いと言われています。このような運動は家の中でも手軽にできるので、習慣にするといいでしょう。

また、日光浴をすることで、体内でビタミンDが生成されます。ビタミンDは、カルシウムの吸収をサポートする栄養素です。夏場は熱中症に気をつけて、日光浴をするようにしましょう。

易転倒性の場合はバランストレーニングを

筋力やバランス機能が低下し転倒しやすい易転倒性の場合は、ロコモティブシンドロームのチェックが必要です。自分の易転倒度を確認し、筋力トレーニングやバランストレーニングを行いましょう。簡単にできる運動を紹介します。

  • 開眼片脚立ち
  • 片方の脚だけで立つ運動です。壁やテーブルにつかまりながら行っても大丈夫です。体重を片脚に乗せることで、骨を強化するとともに、バランス感覚を養う効果も期待できます。

  • 踏み台昇降運動
  • 足の筋肉を鍛える運動です。10~20cmほどの高さの台を用意し、両足を交互に動かし、上り下りを繰り返します。

  • 横歩き・後ろ歩き
  • 横歩きや後ろ歩きをすることで、中臀筋を鍛えることができます。お尻の筋肉を鍛えることで、転倒予防になるのです。バランスのトレーニングにもなります。

年を重ねると、骨はもろくなっていきます。高齢者は骨折をすると病気や寝たきりになってしまう可能性もあります。転倒しないためにも、普段から足やお尻の筋肉を鍛え、バランス感覚を養う運動をしましょう。カルシウムやビタミンDといった骨に必要な栄養素を、日常の食事で取り入れることも大切です。また、症状がなくても、定期的に骨密度検査を受けるようにしましょう。気になる方は、お住まいの地域の保健センターに問い合わせてみてください。