高齢者への支援のポイント
自治体は介護に関するさまざまな補助・支援制度を設けています。なるべく少ない費用負担で介護を利用したいご家族は、自治体に相談すると介護費用が軽減できるかもしれません。今回は、自治体が提供する介護費用を軽減する制度や、自治体へ相談するメリットをご紹介します。
介護保険制度に関する知識をたくわえよう
介護施設費用をすべて自分で賄おうとすると、かなり高額になります。基本的に介護施設の居住費や食費は入居者側が全額負担するからです。しかし、それでは低所得者や低所得世帯の負担が重くなりすぎるため、段階的な負担限度額が設定されています。
たとえば、特定入所者介護(支援)サービス費という制度があります。これは、入居者側の所得に応じて定めた限度額を超えた分の費用は、支払わなくてもいいという制度です。そのため、介護施設の居住費や食費の金銭的負担を軽減できます。
特定入所者介護(支援)サービス費は、各自治体が導入し、市民の利用を受け付けています。このように、自治体側で低所得世帯を支援する制度は整っているのです。
自治体に相談しよう
経済的余裕がない場合、市町村の自治体に相談をしましょう。市町村で定める「自己負担の減額・免除措置」を活用することで、生計の維持が困難と認められた場合、世帯の生計維持者の失業や事業廃止・長期入院など特別な理由がある場合、本来1割の自己負担額を支払うようになっています。本来9割となる介護保険からの給付率を引き上げることで、利用者の負担を軽減してもらうことも可能です。
自治体は、ケアハウスなど低所得者向けの介護施設の運営も行っています。当然、介護や福祉に関しては知識も豊富です。分からないことは積極的に聞いていきましょう。
生活福祉資金貸付制度を利用しよう
低所得者や高齢者、障碍者の生活を経済的に支える目的の制度「生活福祉資金貸付制度」があります。これは、介護資金として低利、もしくは無利子で貸付を受けることができるのです。
生活福祉資金貸付制度は、生活に困っているからという理由ですぐに貸付を受けることはできません。初回相談から実際の貸付までに1ヶ月半ほどかかる場合もあるので、現時点で困窮している人には向かないかもしれませんが、生活資金が尽きそうな人は相談に行ってみましょう。
65歳以上の高齢者がいたり連帯保証人が必要だったりと、さまざまな条件がありますが、無事にクリアすれば低利子または無利子で貸付をしてもらえます。条件に当てはまるのであれば、社会福祉協議会に相談に行ってみるのも一つの方法です。
ひとりで悩まずに専門家に相談をしよう
経済的な悩みは、ひとりで考えていても解決はしません。介護を必要とするご家族がいる場合、ネガティブなことばかり考えてしまうご家庭も多いですが、まずは自治体や福祉団体に相談しましょう。
たとえば、自治体が運営する地域包括支援センターは、福祉増進や保健医療の向上を目的にした施設です。地域住民の健康維持や介護予防の相談を受け付けており、保健師や社会福祉士がアドバイスをします。介護を必要とする地域住民に対し、最適な介護サービスの提供ができるため、ご家族の介護予防を目指していたり介護の初期段階だったりする場合、相談するとよいでしょう。
もし、すぐに介護が必要なときは役場にある高齢相談窓口を利用するのもおすすめです。自治体によって名称は異なりますが、介護が必要になったときの対応や経済的支援の方法をアドバイスしてくれます。
介護はお金がかかることが多いですが、自治体に相談することで解消できることも少なくありません。費用軽減に関する制度は有効活用し、ぜひ、ご家族の方に対して最小限の費用負担で最大限の介護をしてください。