人とのふれあいが認知症予防に繋がる?
人とのふれあいが認知症予防につながる?

高齢者への支援のポイント

子供が独り立ちしたり、長年勤めた仕事を退職したりと、歳を重ねると家族を含めた人づきあいの輪は狭くなってしまいがちです。ひとり気ままに過ごすことも悪くはありませんが、他者との関わりは認知症予防につながると言われています。人とふれあいと予防効果についてまとめてみました。

人とふれあうことで脳を活性化させる

例えば、誰かと会う約束をした場合を想定してみましょう。待ち合わせ場所や向かうための交通手段を確認し、出掛けるときの服装を考えます。また、会う目的が誕生日やお祝いごとの場合は、プレゼントの準備も必要です。実際に会ったとき、思い出話で盛り上がり、次の計画の話などもあるでしょう。

会話は集中力が必要となり、約束することは記憶力が刺激されます。人との出会いがきっかけで視野が広がり、新しいことに興味を持ち、好奇心や意欲の向上につながります。このように「誰かと会う」ことは、脳の多くの領域を刺激する行為なのです。

高齢になると、それまでの人づきあいから離れることが多くなり、新しい出会いの機会は少なくなりがちです。体力の衰えから、外出自体が億劫に感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、人との関わりを維持することで、脳の活性化を促し、精神的にも大きな役割を果たしているのです。

ふれあいがもたらす恩恵とは

地域の各自治体では、超高齢者社会への取り組みとして、高齢者向けのサービスを実施しています。その取り組みの一つとして行っているのが、介護が必要ない方向けの介護予防活動です。地域に住む65歳以上の方を対象とし、講座や研修会、レクリエーションなど実施し、イベントに参加するという内容です。地域住人である高齢者の健康維持・増進が一番の目的ですが、同年代の方との交流の場としても機能しています。

家族と同居している高齢者でも、日中は配偶者と二人きり、もしくは一人で過ごしています。一人暮らしの方も含め、このような活動に参加することは、引きこもりや閉じこもりを防ぐという点で重要です。また、高齢者の健康に関する情報発信の場としても有効といえるでしょう。

運動を嫌がる人も積極的に行うようになる

スポーツが好きで身体を動かす習慣がある方は、団体スポーツ競技への参加も、人とのふれあいの機会になっています。運動の習慣がない人にとっては、上手にできないので恥ずかしい、経験者を煩わせたくない等の理由で敬遠する方もいらっしゃるでしょう。しかし、加齢による運動能力低下を防ぐためには、体操や簡単なスポーツをして身体を動かすことが大切です。

運動習慣のない方にとっては、簡単な運動であっても、習慣化するのが難しい場合もあります。周りの方と励まし合いながら取り組むことで、上手にできなかったとしても、達成感を味わうことができるでしょう。こういった経験から運動の楽しさを覚え、「またやってみよう」という積極性につながります。苦手な方も、まずはやってみることを意識してみてください。

日常生活に楽しみが増えていく

誰かと会う約束や、どこかに行く用事があると、予定を意識して行動するようになります。普段の買い物だとしても、「あの日は出掛ける予定があるから、今日のうちにこの材料を使い切ってしまおう」といった調整が必要になることもあるでしょう。また、髪を気にしたり新しい服を着てみたりと、身だしなみも整えるようになります。毎日の生活に小さな変化があることは、脳に刺激を与え、良い意味での緊張感をもたらしてくれるのです。

認知症予防において大切なのは、「記憶・運動・会話」の3つと言われています。運動で体力を作り、人と会話することで、脳に多くの刺激を与えることが可能です。人とのふれあいは、この3つを補い、認知症予防につながっているといえます。地域のイベントや趣味の活動を通して、人との出会いを楽しみ、ふれあう機会を増やすことを心がけましょう。