認知症になった際に病院でかかるお金とは
認知症になった際に病院でかかるお金とは

高齢者への支援のポイント

認知症は、完全な治療が難しいと言われています。しかし、症状や段階によっては改善が期待できるため、医療機関では、診察や投薬といった治療が行われます。症状によっては、通院や入院をするケースもあります。しかし、治療にはお金がかかります。ここでは、認知症の治療にどれくらいの費用がかかるのかを紹介します。

認知症の鑑別診断でかかるお金

老後に物忘れがひどくなることは、誰にでもあることです。しかし、認知症の始まりであることも考えられます。早期発見のためには、早めの診断が必要です。病院で認知症かどうかを調べる際には、費用がかかります。識別診断として問診や診察を行うほかに、頭部MRIやCTで検査をする場合もあります。認知症の有無を調べる際にかかる費用は、次の通りです。

  • 識別診断(MRI)…75歳以上(1割負担)で7,000円、70~74歳(2割負担)で14,000円、70歳未満(3割負担)で21,000円
  • 識別診断(CT)…75歳以上(1割負担)で6,800円、70~74歳(2割負担)で13,600円、70歳未満(3割負担)で20,400円
  • SPECT…75歳以上(1割負担)で8,600円、70~74歳(2割負担)で17,200円、70歳未満(3割負担)で25,800円
  • MRI…75歳以上(1割負担)で1,800円、70~74歳(2割負担)で3,600円、70歳未満(3割負担)で5,400円
  • CT…75歳以上(1割負担)で1,600円、70~74歳(2割負担)で3,200円、70歳未満(3割負担)で4,800円

かかる費用は、所得や制度を利用した際によって変わることもあります。あらかじめ調べておくとよいでしょう。

認知症の場合は投薬治療

一般的に認知症の治療は、投薬による治療が多いため、経済的な負担が少なく済むと言われています。しかし、症状が進行してしまうと、投薬治療だけでは、なかなか改善しないこともあります。

また、認知症によって、けがや病気をしやすくなってしまうため、ほかの疾患に対してお金がかかることもあります。早期の投薬治療は、医療費がかかるように思われますが、症状の改善によって結果的に安く済む場合もあるのです。

認知症治療でかかる費用

1人当たりの入院医療費の平均は、月額34万4,300円といわれています。また、通院医療費の平均は、月額で3万9,600円程度です。しかし、実際に支払う金額は、高額療養費制度を利用した場合や所得額によっても変化します。70歳以上の場合は、一部負担で月に約6万円、通院費は8,000円程度です。

介護が必要になった場合は、介護サービス費として年間約200万円かかるとされています。また、施設に入居した場合は300万円以上といわれています。自己負担額は要介護の程度によりますが、費用がかかることは間違いありません。

また、介護サービスを受けたとしても、ケアの必要がなくなるわけではありません。仕事の支障や家計にも負担がかかることもあるでしょう。しかし、施設に入るよりも費用を抑えることができます。

自立支援医療を利用する

自立支援医療は、認知症の治療にかかる費用の1部を国が負担する制度です。精神科で認知症の治療を受けた場合に利用することができます。制度は自立支援医療受給者証があれば、年齢に関係なく利用できます。受給者証は、通院による精神科医療必要な人に交付されます。しかし、所得によっては利用できない場合もあるため注意が必要です。利用の際は、病院で医師に相談することが望ましいです。自立支援医療制度については、市区町村の保健福祉課や障害福祉課の窓口へ問い合わせてみるといいでしょう。

認知症は、高齢化によって誰もがかかる可能性があります。症状が進行すれば、治療費や入院費にお金がかかります。症状が進行すると改善することが難しいため、早期発見が重要になります。また、認知症にならないように、食生活や運動で予防をすることも大切です。