認知症に効果的なリハビリ運動とは
認知症に効果的なリハビリ運動とは

高齢者への支援のポイント

高齢者の運動は、体の機能を低下させないために必要とされています。また、身体機能の維持だけでなく、健康のためにも効果が期待できます。リハビリや体を動かすことは、病気やケガを予防するだけでなく、認知症の防止にもつながります。ここでは、運動の重要性と高齢者に適した運動方法を紹介します。

運動療法は認知症予防にもなる

高齢になると体を動かす機会が減ってしまいます。また、年を取るにつれて体の筋力は低下するため、運動機能も衰えていきます。最近では、ウォーキングやストレッチといった軽い運動も困難に感じる高齢者が増加しているようです。筋力の低下によって、運動や外出を控える高齢者も多くいます。しかしこうした行動は、さらに筋力が低下させてしまう原因になります。筋力の衰えが重症化すると、介護が必要になるだけでなく、認知症も発症しやすくなります。

運動療法は、関節の機能を改善するほかに筋力を増強して内臓機能を高めることができます。また、足の筋力が強くなれば、転倒予防や膝の痛みが緩和されます。運動療法によって健康になれば、認知症の予防にもつながるでしょう。

運動療法には多様な種類がある

運動療法には様々種類があります。ここではどのようなものがあるか説明します。

  • 関節可動域訓練
  • 関節が動かしにくいと感じる部分に対して、訓練を行います。関節を動きやすくするとともに、関節拘縮の予防をします。

  • 筋力増強訓練
  • 筋力が衰えている部分を動かし、筋肉を増強させます。人によっては負荷をかけて行うこともあります。

  • ストレッチ
  • 萎縮していたり硬くなっていたりする筋肉を伸ばすことで、筋肉の柔軟性と粘弾性を促します。

  • 持久性・耐久性を促す運動
  • 心肺機能や筋持久力、全身の持久性・耐久性を高めることで、動作や活動を長時間継続できるようにします。

  • 協調性を促す運動
  • 力加減や方向、四肢や体幹の連動した動きをスムーズにできるようにします。

  • 基本動作練習
  • 起立や寝返り、歩行といった日常生活に必要な基本的動作の練習です。

  • 有酸素運動
  • ウォーキングや水泳、ラジオ体操といった酸素を取り込みながら体を動かす運動です。

運動療法でβアミロイドの蓄積予防対策に

アルツハイマー型認知症の原因は、βアミロイドが脳に蓄積されることがあげられます。対策方法として、運動をすることが効果的です。運動によってβアミロイドを分解する酵素の働きが促されるため、βアミロイドの蓄積を予防できます。さらに、運動する際に放出されるホルモンには、脳細胞の増加をサポートする働きがあります。そのため、神経の伝達機能の向上につながる効果もあります。

運動療法は理学療法士や作業療法士などがいる施設へ

認知症の場合、他の人に体を動かされることに対して、不安を感じる人も多くいます。そのため、まずは不安を感じさせないよう、レクリエーションに参加して、自分から体を動かすとよいでしょう。また、音楽に合わせてリズムを取ったり、自然に体を動かしたりすることも効果的です。

寝たきりの場合、ベッドから起き上がるだけでも運動の効果が期待できます。起き上がることに慣れてきたら、関節の運動を行うと効果的です。正しい方法で運動を行うには、理学療法士や作業療法士がいる病院や施設で指導を受けることが望ましいです。専門的知識を持つ指導者のもとで、適切な運動をすることで、効果がより高まるでしょう。

運動は体だけでなく、健康にもいい影響を与えます。筋力や身体機能の低下を防ぐリハビリや運動療法は、高齢者や認知症予防においても効果的です。体の状態や認知症の段階によって、適切な運動方法は異なります。効果的に運動を行うには、専門的な知識を持つ病院や施設で指導を受けることが望ましいです。