高齢者への支援のポイント
認知症にもいくつかの種類がありますが、もっとも名前を知られているのはアルツハイマー型認知症でしょう。アルツハイマー型認知症には7つのステージがあります。認知症は、急に発症するものではなく、緩やかに進行するのが特徴です。アルツハイマー型認知症の特徴と対策について紹介します。
アルツハイマー型には7つのステージがある
アルツハイマー型は、段階を経て症状が進行します。アルツハイマー型認知症の7つのステージとその関わり方について、確認しておきましょう。
- ステージ1…本人も気づいていない段階
- ステージ2…本人が少し気づく段階
- ステージ3…周りが変化に気づく段階
ステージ1では専門家の診断を受けない限り、気づくことはほとんどない状態です。脳内の変化は始まっているのですが、本人でさえも分からないでしょう。
軽度認知障害から軽度の認知症へと移行する段階です。物忘れをしたり、言葉が出てこなかったりといった症状が現れます。周りの方は気づかない場合もありますが、本人が少しずつ変化を感じている段階です。また、本人が変化を分かっていても取り繕って隠すこともあり、仕事や生活に支障はないでしょう。
この段階になると、症状が顕著になるため、周りの方も変化に気づきます。同じ質問を繰り返す、今起こったできごとを覚えていない、身の回りの整理整頓ができない、名前を覚えられないなどの症状がみられるでしょう。
この段階になると、一人暮らしの高齢者の場合、公共料金の支払いを忘れている可能性があります。予定を覚えていないこともあるため、配慮が必要です。仕事をしている方の場合は、辞めることを考えても良いでしょう。
- ステージ4…初期症状の進行
症状は進行し、自分のことを忘れる、季節を忘れる、正しい金額を払えず大きなお札しか使えなくなる、などといった症状が出てきます。
この段階では車の運転は危険を伴います。なるべく控えるようにしてください。家事もサポートする必要があります。
- ステージ5…軽度から中等度に移行
自分がいる場所が分からない、時間が分からない、住所や電話番号も分からないという状態になります。
こういった症状になると、日常生活の介助が必要です。一人で外出させると危険なため、GPSや個人情報などを持たせるようにしましょう。また、脳に刺激を与えるように想像力を働かせるような話をしてみてください。
- ステージ6…失認・妄想が起こる
- ステージ7…寝たきりになる
家族が認識できない、トイレの介助が必要になる、妄想が出る、人とのコミュニケーションができないなどの症状が出てきます。介護施設でのサポートが必要になる段階です。
この段階では大脳皮質の機能が失われ、歩行も座っていることも困難になり、寝たきりになります。進行すると、食べたものを飲みこむ「嚥下(えんげ)機能」や「呼吸機能」も失われてしまいます。慎重な体調管理が必要でしょう。
7つのステージについて紹介しましたが、病状の進行には個人差があります。目安として理解しておくようにしましょう。
アルツハイマー型の認知症は女性が多い
アルツハイマー型認知症は、認知症の5~6割の方が発症しており、世界的にみても有名な病気といえるでしょう。男性よりも女性に多く発症し、85歳以上になると、その差は明確です。理由としては、女性の方が長生きであることが挙げられます。また、記憶の改善機能を持つエストロゲンという物質が減少することも、原因の一つとして考えられています。
アルツハイマー型は緩やかに進行する
アルツハイマー型認知症は、特定のタンパク質が脳内に蓄積され、脳の神経細胞が破壊されることが原因です。発症してからすぐに症状が出るのではなく、発症から4~6年の歳月をかけて進行していきます。人によっては、20年程度かかり蓄積し、発症することもあるようです。状態が悪化するほど、日常生活に影響が出てくるため、周りのサポートが大切になります。
集団で運動する方が社会性の交流につながる
認知症の予防として有効なのが、運動療法です。運動療法は、一人で行うよりも集団で取り組んだ方が、運動能力の改善が期待できます。さらに、コミュニケーションをとりながら運動をすることで、生活の質の向上にも繋がるため、良い効果が見込めるでしょう。
アルツハイマー型認知症は、徐々に進行します。少しでも気になる点がある場合は、早めに診察をしてもらい予防・対策をするようにしましょう。