介護保険2018年の改正ポイントを解説
介護保険2018年の改正ポイントを解説

高齢者への支援のポイント


介護保険改正の必要性

介護保険制度は今後高齢化社会が進むことを見越して平成12年にスタートした制度です。この制度を支える法律は、これからの時代にあわせることを目的に、すでに平成17・20・23・26・29年と3年ごとに改正されてきています。さらに、今後平成37年には団塊の世代が75歳以上になることから、介護や医療ニーズは今まで以上に高まるとみられており、法整備が進められています。

また、厚生労働省のデータによると、65歳以上の一人暮らし・夫婦のみの世帯、認知症の方も今後より増加すると試算されています。こうした世帯は、受け取る介護保険が同居世帯と比べても高まることがわかっているため、社会保障給付費の総額は今後どんどん増加するとみられています。

こうしたなかで、2018年の8月には、平成29年5月に成立した改正介護保険法が適用されます。実は今回の改正は、上述のような予測もあり、サービス利用者の一部が3割負担と増えたり、新しい介護サービスが作られたりなど利用する人にとって少なからず影響を受けるものになっています。2018年現在すでに介護保険を利用している、もしくはこれから使う予定がある人などはしっかりその内容を確認しておきましょう。

自己負担額が見直される

2018年8月からこれまで最大2割負担だったのが、一定の条件を満たす人は3割に引き上げられます。世代間の公平性を保つ、今後も介護保険制度を持続させることが目的です。3割負担の対象になるのが、合計所得金額220万円以上の人。これは単身世帯で、夫婦世帯の場合463万円以上です。ちなみに厚生労働省の試算では、約12万人が3割負担になるとの見込みで、これは介護保険の利用者の3%を占めます。

2017年8月からは自己負担の上限額が引き上げられました。「一般」と呼ばれる世帯のうちの誰かが市区町村民税を課税されている人が対象です。これまでは月々の自己負担の上限は3万7200円でしたが、今回の改正で4万4400円までに引き上げられ、実質的な負担は医療保険並みのレベルになりました。ただし、1割負担のみの世帯の場合、年間上限額は44万6400円としています。これは以前の3万7200円×12か月分に該当し、年間の負担額が増えないようになっているのが特徴です。

さらに福祉用具貸与価格も今回の改正で見直されます。2018年10月から施行され、貸与価格の見直しが図られています。これまでは同じ商品をレンタルする場合、業者によって価格差が起こっていましたが、これからは基準を設けるなど、不平等さを見直すことが目的です。

新しい介護サービスの導入

こうした大きな変化のなかで、特に注目を集めているのが介護医療院の創設です。この新しい施設は高齢者のなかでも医療的な処置が必要な人を対象にした介護保険施設。それまでは介護療養病床が担っていた役割を代行する形になります。

介護療養病床は2011年度末までに配置されることになっていましたが、なかなかスムーズに準備できず、6年の移行期間で介護医療院の創設を促していくことが、今回の改正法の施行で決まりました。病院ではなく、介護老人保健施設に近い性格の施設になると見込まれ、すべての施設ではありませんが、他の施設と比較すると医師や看護師をより多く配置して、手厚い医療サービスの受けられるのが特色のひとつになっています。

さらに2018年4月からは共生型サービスの運用が開始されました。これは高齢者と障がい児に対し、同じ事業所でサービスを提供する施設です。これまでは障害福祉サービスを利用している方が高齢者になった場合、介護保険サービスに移行する必要があり、今まで利用していた事業所を変えないといけない事態もみられました。しかし、共生型サービス事業所であれば、年齢によって事業所を移る必要もなくなります。共生型サービス事業所は、訪問介護・デイサービス・ショートステイなどを想定しています。