介護施設の種類とサービス内容について
介護施設の種類とサービス内容について

高齢者への支援のポイント

特別養護老人ホームとは別名「特養」とも呼ばれます。公的施設で要介護3以上の高齢者が入所対象で、以前は要介護1以上から対象としてきましたが、2015年8月からは運用が厳しくなり現在のような条件となりました。

この基準は、「常に介護が必要で、自宅では困難な方」が入所できるという規定です。ただし2015年8月以前に要介護1~2で入所した場合、退去する必要はなく、今まで通り生活は続けられます。

特別養護老人ホームでは、高齢者の介護度合いに応じたサービス内容が提供されます。具体的な種類として、食事や入浴、排せつの介助です。また機能訓練や健康管理なども実施しています。要介護度3以上になると認知症の症状のみられる高齢者もいますが、彼らの受け入れにも積極的なのが特徴です。看護師などの医療スタッフも在籍していますが、当直業務などはありません。このため、日常的な医療が必要になった場合入居を断られることもあり得ます。

公的な介護施設ということで、低額で入所できるのが魅力といえるでしょう。月額利用料は10~15万円程度。入所一時金や保証金なども発生しません。安いのが人気の理由で、待機者も多く数百人待ちという施設も珍しくありません。

介護老人保健施設

介護老人保健施設は、病院の治療が一通り終了して病状の安定している人が入所する介護施設です。在宅復帰を目的としていて、リハビリに力点が置かれているのが他の施設との違いです。理学療法士や作業療法士の配置なども定められ、週2回程度のリハビリがケアプラン通りに行われます。この種類の施設は要介護1以上の方を対象にして入所できます。

医師や看護師が常勤しているので、病院と比較してそん色のない医療・リハビリなどのサービス内容が受けられます。もし体調が悪化してもすぐに退去を求められることはありませんが、長期的な入院が必要だった場合には、退去を求められる可能性もあります。先ほど紹介した特別養護老人ホームの場合、終身入所できるため入所施設を探す際にはこうした違いに注意が必要です。

介護老人保健施設の場合、リハビリにより自宅に戻ることを目的としますので、ずっと入所することは原則できません。3か月ごとに状況を確認して、継続入居・退去の判定を行っています。

費用面では公的な施設のため、定額で入所可能です。月額は数万円から15万円程度で、入居一時金や保証金といった初期費用は必要ありません。介護保険は活用できますが、医療保険が利用できないので注意しましょう。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設は文字通り医療機関で、治療が終わって病状が安定しているが長期間の療養が必要な要介護1以上の方が対象です。医療機関ではありますが介護体制も整備されていて、医療・看護サービスの他にも日常生活の介護も受けられます。体調が順調に回復して、ある程度自立した生活が送れるようになると、退去を求められる可能性があるため覚えておきましょう。また、認知症の高齢者に対しても広く門戸を開いています。

介護療養型医療施設は、他の施設と比べ介護よりも医療に重きを置いています。サービス内容をみると、回復期リハビリや医療サービスが多く、「胃ろう」や「タン吸引」といった特殊なケアが必要な種類の持病があっても安心して入所できます。しかし一方で、介護施設でよくみられるレクリエーションをはじめとした生活支援のサービスは、あまり充実していないところもあるでしょう。また基本相部屋で個室の割り当てありません。

介護療養型医療施設は、近い将来に廃止が決まっています。厚生労働省では、2020年までに廃止する方針で、2012年以降施設数は全国的に減少しているため注意。もし、これから入所するのであれば、2020年以降の入所者の取り扱いがどうなるかについても、予めスタッフに相談したほうがいいでしょう。