
介護中の生活
老人ホームなどの入居施設を探す際「老人ホームのレクリエーションってどんなもの?」と思っておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
レクリエーションは入居者に楽しんでもらう以外にも、さまざまなメリットがあります。
この記事では、老人ホームで行わるレクリエーションについて詳しく解説します。ぜひ入居施設を決める際の参考にしてください。
老人ホームのレクリエーションとは
老人ホームで行われる「レクリエーション」とは、入居者が楽しみながら交流を深める活動です。
入居者の日々の暮らしにメリハリを与え、無理なく身体や頭をつかえるように企画されています。
ゲーム感覚で身体を動かしたり頭を使ったりし、楽しみながら参加できます。
レクリエーションの目的・メリットは?
レクリエーションの大きなメリットは、楽しみながら無理なく身体や頭を動かすことで、体力や運動機能を維持・向上することです。
家族と離れて知らない土地で暮らす寂しさから精神的に不安定になっている入居者の気持ちを和ませるという効果もあります。
ここで、レクリエーションの主な目的を五つご紹介します。
目的1:身体機能の維持・向上
ラジオ体操や輪投げなどで無理なく身体を動かすことは、身体機能の維持・向上につながり、寝たきり予防も期待できます。
入居者それぞれの身体機能に合わせた適度な運動を行うことが大切で、車いすに座っている入居者でも上半身のみを使った体操を行うなど、さまざまな取り組みが行われます。
また、程よく疲れることで質の良い睡眠が得られ、健康的な生活サイクルを作れます。
目的2:脳の活性化
レクリエーションではクイズや計算・ことわざ、簡単なルールを用いたゲーム、折り紙などの指先を使う遊びがあります。
普段の生活ではあまり使わない思考をして脳を活性化させることで、認知症の予防につなげます。
また、入居者のレベルに応じて、1人で行えるパソコンゲームやクロスワードパズル、複数の入居者とコミュニケーションを取りながら行う囲碁・将棋・麻雀などをする場合もあります。
脳の活性化だけでなく、達成感や精神面での安定も期待できます。
目的3:生活の質(QOL)の向上
日々のレクリエーションによって生活にメリハリが生まれます。
意欲的に自分らしく生きていくことは生活の質(QOL)の向上につながり、入居者がその人らしく人生を楽しみながら生きていくことができます。
目的4:コミュニケーションの促進
チームで一緒にゲームを行うと、入居者間で仲間意識が芽生え、コミュニケーションを促します。
入居者同士が気軽に話せる関係を築くことで、入居者が抱えがちな孤独感や不安感、閉塞感を和らげる効果もあります。
目的5:生きがいの創出
チームで共同作業を行うレクリエーションを行うと、自分の役割を果たすことで他者の役に立てるという実感を得ることができます。
そのほかにも作品を作ることで次の創作意欲もわき、新たな生きがいを見出せる場合もあります。
レクリエーションにはどんなものがあるのか?
老人ホームで行われるレクリエーションは多岐にわたります。
施設によって内容が異なりますので、どのようなレクリエーションが行われているのか直接聞いてみたり、レクリエーションの時間に合わせて施設見学に行ったりすると、より具体的な入居後のイメージが持てるでしょう。
ここで、主なレクリエーションの種類をご紹介します。
身体全体を動かすレクリエーション
身体を動かすことは、身体機能の維持・向上、運動不足解消、ストレス解消につながります。
具体的には、個々でできるラジオ体操・お手玉・ヨガ、チームで戦うことによりチームワークを育む風船卓球・ボール運びなどが挙げられます。
頭を使うレクリエーション
頭を使うレクリエーションなら、身体が思うように動かない入居者も楽しむことができます。
たとえば、オセロ・将棋・麻雀・ボードゲーム・クイズ・なぞなぞなどがあります。
1人でも楽しめるものから、チーム戦にしてコミュニケーションを取りながら進めることものまで、さまざまです。
口腔機能を高めるレクリエーション
高齢になるに伴い、食べる機能が低下してきて「誤嚥」を起こしてしまうこともあります。
口腔機能を高める動きを取り入れた、紙風船遊び、巻き笛(拭き戻し)、ストローを用いた福笑いなどは、楽しみながら口の筋肉を鍛えられます。
手先を使うレクリエーション
手先を使う折り紙などは高齢の入居者も小さいころ遊んだ記憶があることも多く、指先を使うことで脳の活性化にもつながります。
また、簡単な和菓子や洋菓子、たこ焼き・パンなどを手作りし、そのままおやつとして食べることもあります。
もの作りを通じて、「つくる喜び」「できる喜び」などの達成感にもつながります。
社会貢献につながるレクリエーション
高齢者が孤独感を抱えてしまう原因として、「自分は社会の役に立てない」と考えてしまうことが挙げられます。
地域との交流や手作り品をバザーで販売することなどをして、入居者が社会とのつながりを感じ、やりがいを持つことが期待できます。
ほかにも、近隣の幼稚園や保育園と交流をして、子ども達に昔懐かしい遊びを教えてあげたり、昔の歌や話を聞かせてあげたりするなど、世代を超えた交流を行う場合もあります。
音楽を使うレクリエーション
高齢になっても子どもの頃の記憶は鮮明に残っているというケースはよくあります。
懐かしい音楽を聴くことで、脳が活性化したり、精神的に落ち着いたりするということが期待できます。
また、歌を歌うことで肺機能も鍛えられます。
リラックスを目的としたレクリエーション
これまでご紹介したように自分が主体的に動いて行うレクリエーションもあれば、アロマテラピーやアニマルセラピー、ハンドマッサージなどリラックスを目的として受け身で行うレクリエーションもあります。
短い時間でもリラックスすることで、入居者が抱えてしまいがちな不安を和らげる効果が期待できます。
レクリエーションに費用はかかる?
施設内でスタッフが主導するレクリエーションはほぼ無料で行われますが、作品を作る場合などには材料費がかかる場合があります。
外部から講師を呼んで行うレクリエーションや、入居者数人が集まってスタッフと観光に出かけたりする場合には、数千円の費用が発生することもあるようです。
レクリエーションはあくまでも任意参加の場合が多いですので、希望があれば入居時に伝えておきましょう。
老人ホームの種類によるレクリエーションの特徴
レクリエーションは老人ホームの種類によってさまざまな特徴があります。
たとえば、元気な方が多い自立型有料老人ホームの場合には、運動機能や認知機能の向上が期待できる、囲碁や将棋、ヨガや各種エクササイズなどに取り組むことがあります。
また、介護度が重い方が多い特別養護老人ホームの場合には、難易度の低い脳トレや、座ったままでも参加できる運動など、誰もが参加できるレクリエーションが行われます。
そして高額の有料老人ホームの場合には、外部から選任講師を招いたり、工作の材料も質の高いものが選ばれたりする傾向にあります。
低価格の老人ホームや介護保険施設の場合には、限られた予算内でボランティアやスタッフが主導でレクリエーションを行うことが多いようです。
レクリエーションは参加必須?
さまざまなレクリエーションをご紹介してきましたが、参加は必須ではありません。
気分が乗らなかったり、体調が優れなかったり、その日によって波があるものです。
身体に無理のないペースで、自分で参加するかどうかを決められるというのが、レクリエーションの大きな特徴の一つです。
しかし、入居者が部屋に引きこもりがちになってしまいそうな場合にはスタッフが入居者の健康や心身の安定を図るために、参加するように誘導することもあります。
まとめ
老人ホームで行われるレクリエーションは、入居者の楽しみだけではなく、身体機能や脳の活性化、また孤独感や閉塞感を和らげる効果もあります。
施設によって実施されるレクリエーションはさまざまです。
入居施設を探されている場合には、ぜひレクリエーションの内容も施設選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。