老人ホーム(介護施設)の高齢者向けレクリエーション20選!注意点も解説

介護中の生活

ここでは、老人ホーム(介護施設)におけるレクリエーションについて詳しく解説します。

この記事を最後まで読み終えていただけたら、ニーズに合ったレクリエーションの方法が分かり、日々の楽しみにつなげられます。

レクリエーションによって高齢者の気持ちを盛り上げたい人は、ぜひ参考にしてください。

【この記事でわかること】

● そもそも老人ホームの高齢者向けレクリエーションとはなにか

● 道具なしで実施する老人ホームの高齢者向けレクリエーション3選

● 指先を動かす老人ホームの高齢者向けレクリエーション4選

● 脳を活性化する老人ホームの高齢者向けレクリエーション4選

● 体を動かす老人ホームの高齢者向けレクリエーション5選

● ホワイトボードを用いた老人ホームの高齢者向けレクリエーション4選

● 老人ホームの高齢者向けレクリエーションを実施する際の注意点

● 老人ホームの高齢者向けレクリエーションで盛り上がるためのコツ

そもそも老人ホームの高齢者向けレクリエーションとは?

高齢者向けのレクリエーションとは、老人ホームや介護施設などで高齢者の方々が集まり、無理のない範囲で運動や知的ゲームなどを楽しむイベントです。レクリエーションは、生活の中に楽しみを見出すだけでなく、さまざまな目的・役割を果たしている重要な存在です。

デイサービスや老人ホームといった高齢者向けの施設では、運動機能の維持・向上やリフレッシュのために、レクリエーションが活発に実施されています。

ここでは、レクリエーションを実施する目的について詳しく解説していくので、確認してみましょう。

レクリエーションを実施する目的

高齢者向けの施設では、運動機能や認知機能に合わせたレクリエーションを実施しており、自立した生活の援助に役立てています。

レクリエーションを実施する主な目的は、以下の4つです。

  • 身体機能の維持・向上を目指す
  • 認知機能の維持・向上を目指す
  • 他の入居者とコミュニケーションをとる
  • 気分転換を図る

レクリエーションの中には、個人で取り組むものだけでなく、集団で実施するものがあります。

手先や全身を使ったものや、脳の活性化につながるものなど、期待できる効果に合ったレクリエーションを選びましょう。

道具なしで実施する老人ホームの高齢者向けレクリエーション3選

道具を使わないレクリエーションは、場所やタイミングを選ばずに手軽にできます。道具なしで実施する老人ホームの高齢者向けレクリエーションは、主に以下の通りです。

  • クイズ
  • 歌唱やカラオケ
  • 口を使ったじゃんけんゲーム

上記3つのレクリエーションの方法について詳しく説明していくので、レクリエーションに取り入れてみましょう。

クイズ

クイズは個人・集団いずれでも取り組めるだけでなく、脳の活性化にもつながります。特に集団で実施する場合、盛り上がりながら楽しめるのが魅力的です。

参加者の年代に合わせて、昔懐かしい話題をクイズにすると、クイズ後に利用者同士の交流のきっかけ作りにもなるでしょう。

歌唱やカラオケ

レクリエーションの中でも人気が高いのは、歌唱やカラオケです。民謡や童謡、かつて流行った歌謡曲は、多くの参加者が知っているので喜ばれます。

歌うことで、以下のような効果が期待できます。

  • 心肺機能の維持・向上につながる
  • 昔を思い出して言葉にすることで脳の活性化につながる
  • 爽快感や情緒の安定をはかれる

歌唱やカラオケは心身機能の維持・向上を目指せるので、認知症の予防に役立ちます。

声を出して歌うことで、セロトニンやエンドルフィンといったホルモンが分泌され、情緒の安定をはかれるのも嬉しいポイントです。

口を使ったじゃんけんゲーム

口を使ったじゃんけんは、誤嚥(※)の予防にもつながります。以下のような動作で、参加者同士でじゃんけんしましょう。

  • グー:口をすぼめる
  • チョキ:舌を出す
  • パー:口を大きく開ける

嚥下体操と共通する動きであり、食事前やおやつ前に実施するのもおすすめです。

※誤嚥とは、食物などがなんらかの理由で誤って喉頭と気管に入ってしまう状態を指す

指先を動かす老人ホームの高齢者向けレクリエーション3選

指先を動かすレクリエーションは、参加者がどの程度指先を動かせるのかをチェックするのに役立ちます。

また、手先の運動は認知機能の維持・向上が期待できるので、積極的に取り入れたいレクリエーションといえるでしょう。指先を動かすレクリエーションは以下の通りです。

  • 塗り絵
  • 折り紙
  • ちぎり絵

上記3つのレクリエーションについて、詳しく解説していきます。

塗り絵

塗り絵は、花や風景などのイラストに色鉛筆を用いて色を塗ります。

市販のイラスト集を印刷したり、インターネットで無料の素材をダウンロードしたりして使うのがおすすめです。難易度や種類が豊富なため、利用者に合わせて手軽に用意できます。

特に、季節に合ったイラストや次月のカレンダーなどは人気が高く、レクリエーション後に出来栄えが気に入ったものを居室に飾る人は少なくありません。

手先の運動になるだけでなく想像力も伴うので、脳の活性化が期待できるでしょう。

折り紙

折り紙は体力を必要としないので、年齢に関係なく楽しめるレクリエーションです。手先が器用な人であれば、立体的な折り紙の飾りの作成に挑戦してみるのも良いでしょう。

また、チラシでゴミ箱を作って施設内で使うと、「自分にも役割がある」といった喜びにつながります。

ちぎり絵

模造紙に鉛筆で簡単に下描きしたものの上から、ちぎった紙を貼って作品を作ります。

個人で作るだけでなく、他の参加者と共同で、大きな作品作りに挑戦することも可能です。

また、四季に合わせて桜や紅葉、クリスマスのちぎり絵を作ると、楽しみながら季節を感じることが可能です。

どのようなちぎり絵を作るのか、参加者と相談しながら取り組むことで、完成後により達成感を味わえるでしょう。

脳を活性化する老人ホームの高齢者向けレクリエーション4選

脳を活性化するレクリエーションは、認知機能の低下に効果的とされています。

認知症の予防や症状の緩和に役立つので、認知症の人が多い老人ホームでは積極的に取り入れると良いでしょう。脳を活性化するレクリエーションは、主に以下の通りです。

  • 回文を作るゲーム
  • 神経衰弱
  • 間違い探し
  • 脳トレドリル

上記4つのレクリエーションについて、それぞれ解説していきます。

回文を作るゲーム

回文とは「しんぶんし」「やおや」など、前から読んでも後ろから読んでも、同じ音になる文です。回文を使ったゲームの楽しみ方はいくつかあります。

  • オリジナルの回文を考えて発表する
  • 紙に書き出した回文の一部を空白にして、空白の部分に入る言葉を考える

ただし、参加者の中には、認知機能の低下によって、自分でオリジナルの回文を考えるのが難しい人もいます。

完成した回文を最後に全員で読み上げて楽しむと、高齢者の疎外感が生じにくいでしょう。

神経衰弱

神経衰弱はイラストが描かれたカードを裏返し、同じ絵柄を当てるゲームです。ルールが単純で分かりやすいため、気軽に楽しめます。

視力が低下した高齢者でも見えやすいように、イラストが大きく印刷されたオリジナルのカードを作成するのもおすすめです。

ただし、記憶力や判断力に差がある場合、特定の参加者にばかりカードが行き渡ってしまうので、カードを取れなかった参加者にも配慮しながら進行していく必要があります。

間違い探し

間違い探しは観察力や集中力が求められるので、脳が刺激されるだけでなく正解を見つけられた時の達成感につながります。

他の参加者と、見つけた数を競う楽しみを得られる点も嬉しいポイントです。

また、間違い探しは難易度や種類が豊富なため、参加者の能力に合わせたものを選べます。市販の間違い探し集を印刷したものや、インターネットの素材をダウンロードしたものを使うと良いでしょう。

脳トレドリル

脳トレドリルとは、ひらがなや漢字、計算などを取り入れたドリルです。市販のものや、インターネットにて無料でダウンロードできるものがあります。

目標時間を設定するとゲーム感覚で楽しめるので、意欲的に取り組みやすいでしょう。

ただし、難易度が合っていないドリルを使っても脳の活性化につながらないため、認知力や理解力に合ったものを選ぶことが重要です。

体を動かす老人ホームの高齢者向けレクリエーション5選

身体を動かすレクリエーションは、楽しみながら適度な運動を取り入れることが可能です。身体を動かすレクリエーションは、主に以下の通りです。

  • 健康体操
  • ボーリング
  • 風船バレー
  • 輪投げ
  • ピンポンゴルフゲーム

上記5つのレクリエーションについて解説していくので、確認してみましょう。

健康体操

健康体操にはさまざまな種類があり、目的に応じた体操を取り入れるのがおすすめです。

  • 腰痛や肩こりを予防するための体操
  • 音楽を使いながらリズムを取る体操
  • 立ち上がり姿勢の強化を目指す運動

特に簡単に始めやすい運動の一つにラジオ体操があり、座ったままでも参加できるので、車いすの人にも向いています。

身体全体を使う運動では、身体機能の維持だけでなく、筋力低下の予防にも役立つでしょう。

転倒防止のために、立ち上がり姿勢をしっかりキープできる人には手すりや椅子など、すぐに掴まれる場所を確保してもらいます。

また、立ち上がり姿勢が崩れやすい人や、筋力が低下している人はそばに付き添うか、座った状態で参加してもらうと安心です。

ボーリング

重しを入れたペットボトルと柔らかいボールを用意すれば、手軽にボーリングを楽しめます。

ピンの本数や投球回数は、参加者の能力や人数に合わせて調整してください。個人、もしくはチーム対抗戦で倒したピンの本数を競うと盛り上がります。

立ち上がりや歩行が不安定な人は、椅子に座ったままボールを投げてもらい、必要に応じてサポートしましょう。

風船バレー

風船バレーはボールに比べて柔らかく、ゆっくり動くのでケガの心配がなく安全に楽しめます。

上半身を使い、集中力も必要なため適度に身体を動かせるでしょう。座ってできるので、車いすの人や立ち上がりが難しい人でも楽しく取り組めます。

転倒を予防するために、参加者全員に座ってもらうようにルールを決め、机を囲むようにすると安心です。

輪投げ

輪投げは椅子に座った状態でできるため、難しいルール設定や高い身体能力が不要です。

力加減を調整するために指の力や握力が求められるので、上半身の筋力の維持・向上に役立ちます。レクリエーション中、司会者が声掛けを意識することで、参加者の気持ちが盛り上がり、一体感が生まれやすくなるでしょう。

また、参加者が輪投げを外してしまったり、中々入らなかったりしても、場の空気が静まらないような配慮が大切です。

ピンポンゴルフゲーム

ピンポンゴルフは、点数を書いた紙コップにピンポン玉を入れて、点数を競うゲームです。

紙コップを横にしておくと、ピンポン玉を転がして入れられるので難易度が下がります。麻痺のある人や、身体能力が高くない人でも参加しやすいでしょう。

ホワイトボードを用いた老人ホームの高齢者向けレクリエーション4選

ホワイトボードを活用することで、レクリエーションの幅が広がります。ホワイトボードを用いたレクリエーションは、主に以下の通りです。

  • 連想ゲーム
  • しりとり
  • 文字シャッフルゲーム
  • さかさ文字ゲーム

上記4つのレクリエーションについて解説していきます。

連想ゲーム

連想ゲームとは、「春といえば桜、桜といえばピンク」のように、前の人の言葉から新しい言葉を連想するゲームです。

司会者が最初のお題となる言葉をホワイトボードに書き、続いて出た言葉も次々と書き出していきます。ゲームが終わってから、連想ゲームで出た言葉をもとに会話を広げていくと、会話が盛り上がってより楽しめるでしょう。

しりとり

しりとりは基本的なものだけでなく、お題を決めて実施するものもあり、参加者の能力に合わせて楽しめるようにルールを決めましょう。

お題となる言葉や、しりとりで出た言葉をホワイトボードに書き出していくことで、参加者が次の言葉を想像しやすくなります。

中々言葉が出ない参加者がいたら、レクリエーションがスムーズに進行するように、司会者がサポートしてください。

文字シャッフルゲーム

文字シャッフルゲームは、ある言葉をひらがなにして羅列を並び変えて、ホワイトボードに書き出します。参加者には、正解の単語を言い当ててもらいましょう。

長い単語にしたり、複数の単語を入れ替えたりすることで難易度が上がり、脳の活性化につながります。問題が難しく正解を当てられないようであれば司会者はヒントを出し、参加者が意欲を失ってしまわないように配慮しましょう。

さかさ文字ゲーム

さかさ文字ゲームとは、お題となる単語を終わりの文字から逆さに書き出していき、単語を言い当ててもらうゲームです。

参加者同士で正解を当てるスピードを競ってもらうと、早く答えを当てようとしてさまざまな単語を思い浮かべるので、脳が刺激されます。

ただし、単語は高齢者の年齢に合わせて、流行りの言葉や若者言葉などは選ばないようにしましょう。

老人ホームの高齢者向けレクリエーションを実施する際の注意点

安全・安楽にレクリエーションを実施するために、いくつか注意したいポイントがあります。老人ホームで高齢者向けのレクリエーションを実施する際の注意点は、主に以下の通りです。

  • 参加を強要しない
  • 参加者が孤立しないようにサポートする
  • 参加者のケガや体調管理に気を配る
  • 参加者への敬意を怠らない

上記4つの注意点について詳しく解説するので、確認してみましょう。

参加を強要しない

参加を強要してもストレスがかかってしまうので、本人の意思を尊重することが大切です。

レクリエーションを実施するにあたって、積極的に取り組もうとする人もいれば、消極的な人もいます。レクリエーションそのものに参加しないで、その場の雰囲気や他の参加者の様子を観察しながら楽しみたい人も少なくありません。

本人の希望を確認して、その人なりの楽しみ方を尊重できるように配慮しましょう。

参加者が孤立しないようにサポートする

レクリエーションはゲームや運動を通じて、他の利用者と交流を深めながら楽しんで取り組むものです。

そのため、レクリエーション中には参加者の様子に気を配り、コミュニケーションの輪に入れずにいる参加者がいれば声をかけて参加を促しましょう。

レクリエーションを進行する司会者は、参加者全員が楽しめるようにサポートすることが大切です。

参加者のケガや体調管理に気を配る

高齢者は主に身体能力が低下しているので、以下のように安全性を確保する必要があります。

  • 歩行や立ち上がりが不安定な人には、そばに寄り添って必要時サポートする
  • 車いすの利用者が参加する場合、座りながらできるレクリエーションを実施する
  • 途中で休憩を入れて水分補給を促す

立ったり座ったりといった動作の多いレクリエーションでは、転倒に気を付けましょう。参加者がケガをせずにレクリエーションを楽しむために、安全や体調管理に気を配ってください。

参加者への敬意を怠らない

レクリエーションを盛り上げるためには、高齢者への敬意を怠らないようにしましょう。

特に、集団で実施するものでは身体能力や認知能力の差が明確に出てしまう場合があります。

参加者全員が楽しんで参加できるように、司会者は言葉遣いやマナーに注意し、参加者が不快にならないように配慮してください。

老人ホームの高齢者向けレクリエーションで盛り上がるためのコツ

レクリエーションはコツを押さえることで、参加者の気持ちを盛り上げ、楽しい雰囲気を作り出せます。

老人ホームの高齢者向けレクリエーションで盛り上がるためのコツは、以下の通りです。

  • スタッフも一緒に楽しむ
  • ルール説明の際にスタッフが失敗例を見せる
  • 参加者をなるべく褒める

順番に見ていきましょう。

スタッフも一緒に楽しむ

参加者だけでなく、レクリエーションを進行しているスタッフも楽しむことで、より場を盛り上げるのに役立ちます。

司会者が退屈そうにしていると、参加者にも伝わってしまい楽しめません。笑顔や明るい言葉がけを意識し、積極的に楽しむことが重要です。

ルール説明の際にスタッフが失敗例を見せる

参加者が楽しみながらルールの説明を聞けるように、失敗例を見せて笑いを誘うのもおすすめです。

スタッフが真面目にルールを説明すると、参加者は緊張したり退屈に感じたりします。場を和ませることで、レクリエーション前の緊張感を軽減するのに役立つでしょう。

参加者をなるべく褒める

参加者全員が意欲的にレクリエーションに取り組めるように、できるだけ参加者を褒めましょう。

褒められることで参加者の気持ちが前向きになり、「参加して良かった」「また参加したい」といった達成感ややりがいにつながります。

場を盛り上げるためにも、積極的にポジティブな声掛けを意識しましょう。

老人ホームの高齢者向けレクリエーションではスタッフも楽しむことが重要

老人ホームの高齢者向けレクリエーションは、身体機能や認知機能の維持・向上、気分転換といったさまざまな役割を果たしています。

手先や脳を使うものや、身体を動かすものなど、参加者や目的に合ったレクリエーションを選びましょう。

ただし、レクリエーションを進行する司会者は、参加を強制せず、本人の意思を尊重し、安全にも気を配ることが大切です。

スタッフも一緒にレクリエーションを楽しむことで、場を盛り上げられるので、笑顔や明るい言葉がけを意識してください。