介護中の生活
介護をする際、高齢者とのコミュニケーションは脳の活性化に繋がり、重要な役割を果たします。しかしコミュニケーションをとる際、注意しなければいけないポイントがあります。1人ひとりの高齢者の尊厳を大切にしながら、どのようなコミュニケーションをとればいいのか、ポイントを確認していきましょう。
身体全体でコミュニケーションをする
介護をするとき声かけも大事ですが、言葉を越えた身体全体でのコミュニケーションも重要です。高齢者のなかには、すでに口から言葉を発するのが難しくなってきている人もいるため注意が必要になります。
介護される方のADL(日常生活動作)のレベルによっては、目の動き、手の動き、足の動きから意志を感じ取らなくてはいけないこともあります。介護する側も言葉ではなく、相手の表情や動作を見て対応することを心がけてみましょう。
コミュニケーション技術を身につける
コミュニケーションには技術がありますが、介護の現場では以下の4つが役立ちます。
- 「開かれた質問、閉じられた質問の理解」
- 開かれた質問
- 閉じられた質問
相手が自由に答えることができる質問です。元気な方であれば、開かれた質問のやりとりを積極的に取り入れていきましょう。
「はい」「いいえ」など、短い解答で終わらせることができる質問です。言語障害のある方や、会話が苦手な方とのコミュニケーションに向いています。
- 「ミラーリング」
- 相手と同じ動作、姿勢などを真似することを意味します。ビジネスシーンでも用いられる手法ですが、介護現場でも応用可能です。高齢者1人ひとりの表情の特徴を正確に読み取れるかどうかが重要になります。
- 「マッチング」
- 声の大きさ、トーン、話すスピードなど、目に見えない部分を相手に合わせることをマッチングといいます。話の内容が多少噛み合っていなくても、マッチングさえできていれば、会話のキャッチボールができているような感覚を強化できます。
- 「バックトラッキング」
- 相手の発した言葉をそのまま返しながら会話を進める方法で、「オウム返し」のことです。相手の話をしっかりと聞いている印象を与えることができます。しかし、やりすぎると逆効果なので注意しなければいけません。
高齢者の性格別のコミュニケーションの仕方
以上のように、コミュニケーションにはテクニックがあります。高齢者の性格ごとに使い分けるとより効果的です。タイプ別に例を見てみましょう。
- 怒りっぽい人
- 一方的に喋り続ける人
- 無口な人
「薬を飲む必要がある」などと押し付けるような物言いを嫌います。まず回答が簡単な閉じられた質問で、相手が怒るポイントを見つけることから始めましょう。
うなずいたり、相槌をうったりして傾聴することが効果的です。時々できる「間」を見逃さず、会話を切り上げるポイントを作りましょう。
挨拶や体調を問いかけるような無難な内容を、必ず笑顔で問いかけましょう。すぐに心を開かせようとするのは逆効果です。いつかは打ち解けてくれると信じて、根気良く取り組みましょう。
快刺激につながる答え方をする
人に褒められること、感心されることは誰にとっても心地よく、快刺激となるものです。快刺激は精神を穏やかにし、物事に取り組む意欲を高めてくれます。
認知症も、快刺激で改善できると言われています。何度も同じ話を聞かされたとしても、「すごいですね」「ためになるお話をありがとうございました」と相手の快刺激につながる答えを返すようにしましょう。
年齢とともに認知症が進んだり、性格が変化したりすることで、コミュニケーションをとるのが難しくなってしまう方もいます。しかし、相手を理解しようと取り組めば、心を開いてくれる瞬間というのはあるものです。介護施設を選択する際には、「コミュニケーションについてどんな取り組みをしているのか」という点も気にしてみてもいいかもしれません。