介護中の高齢者の運動で健康維持を目指そう
介護中の高齢者の運動で健康維持を目指そう

介護中の生活

運動は、生活習慣病の予防や改善に繋がります。人間は年齢を重ねるごとに身体機能が低下していきますが、普段から運動を心がけることで病気や怪我の予防にも繋がるのです。今回は高齢者にとって運動がもたらす効果や、その方法について紹介します。

運動によって生活機能の向上が望める

筋力トレーニングを行うことで、インスリン抵抗性や糖代謝を改善します。また、足腰を鍛えられるため、転倒防止や腰痛、関節痛の防止にも繋がります。

2007年以降、「ロコモティブシンドローム」もしくは「ロコモ」という言葉を耳にする機会も増えた人もいるかもしれません。日本語では運動器症候群と呼ばれるこの状態は、骨や関節、筋肉などの運動器に衰え生じた結果、歩行や立ち座りができなくなります。日常生活に影響を及ぼすほどに重度なもので、進行すると、寝たきりになって介護が必要になる場合もあるのです。

高齢者でも適切な運動によって筋力はつく

筋力トレーニングは、若い世代にしか効果がないと思っている高齢者もいますが、これは間違いです。高齢者であっても、適切なトレーニングを続けることで筋肉の増強を図ることができます。

身体を支えているのは「抗重力筋」と呼ばれる筋肉です。重力に対して身体の姿勢を支えるために働く筋肉のことで、背中、お尻、太もも、ふくらはぎが前後に伸縮しながら重力に対してバランスを保っています。抗重力筋の筋力増強をすることで、姿勢保持能力の向上に繋がり、日常生活もスムーズに送ることができます。

運動を行う際に気を付けること

高齢者が運動をする場合、気をつけなければいけないのが「やりすぎ」です。若い人と比べて、高齢者は筋組織が傷つきやすくなっています。そのため、若い人たちが試している筋力トレーニングをそのままのメニューで実践してしまうと、怪我や関節を痛める原因になる危険性があるため注意しましょう。

運動をする人の中には「運動をすればするだけ効果がある」と考えている人もいます。しかし、筋力トレーニングは1回で長時間するよりも、短時間でも毎日続けた方が効果を実感できます。

高齢者向きのトレーニング方法

高齢者向きのトレーニング方法は、比較的簡単で継続しやすいものが多い傾向にあります。テレビを見ながらでも出来る運動があるので、トレーニングをしていると気負わずに出来るためストレスなく続けることができます。ここからは代表的なトレーニング方法を紹介します。

1.膝を伸ばす
椅子に座ったまま、足をあげて膝を伸ばしましょう。これを繰り返すことで、膝関節伸筋群の筋力増強効果があります。
2.腿を高くあげる
テーブル、椅子に手をついて腿を高く上げましょう。足踏みをしても大丈夫です。股関節屈筋群の筋力増強効果があります。
3.足を外へ開く
テーブルや椅子に手をついて、足を外に開いては戻す、を繰り返しましょう。股関節外転筋群の筋力増強効果があります。
4.踵をあげる
テーブルや椅子に捕まって、踵をあげましょう。つま先立ちでも大丈夫です。下腿三頭筋の筋力増強効果があります。

今回紹介したやり方は、運動に慣れていない人向けのものです。運動のやり方も転倒防止、筋力増強、ストレスなく続けられるものをメインとしています。これらを10分以上続けても疲れない人は、ウォーキングなど少しずつレベルアップしていってもいいかもしれません。

高齢者だけに限らず、運動を始めると過剰に無理をしてしまう人がいます。先述したように、高齢者の筋組織は若い人と比べても傷つきやすいので無理は禁物です。運動に慣れている人も、慣れていない人もやり易いものから取り掛かりましょう。健康や介護予防のためにと考えず、自分が楽しくできるかどうかを重視してください。