介護施設の退去勧告はどんなときに行われる?受けた場合の対応とは

介護の問題・トラブル

いろいろな施設を見学して、やっと入居できた老人ホーム。
「これで本人も家族も安心して穏やかな時間を過ごせる」と思っていても、入居者本人の体調やその他さまざまな理由で施設側から退去勧告を受けることもあります。

この記事では、施設側から退去勧告を受けるのはどのようなケースか、もし退去勧告を受けた場合に家族はどうすべきかご紹介いたします。

退去勧告とは?

退去勧告とはその名の通り、「施設側から退去するように勧められること」です。
老人ホームの契約書にはさまざまな入居規約があり、退去要件を満たしてしまった場合には施設側から退去勧告を受けることがあります。
ちなみに国民生活センターによると、老人ホームなどの施設に関する相談件数は増えてきています。昨今では規約違反による退去勧告が増加してきており、「契約・解約」に関する相談が増加傾向にあるようです。

退去勧告はどういう場合に行われる?

それでは、退去勧告は実際にどのような場合に行われるのでしょうか。
ここでは退去勧告を受ける可能性がある例をいくつかご紹介いたします。

他入居者とのトラブル

退去勧告をされる原因としてもっとも多く挙げられるのが、ほかの入居者や職員とのトラブルです。
代表的な例として、暴言や暴力、大声などの奇声を発したり、ほかの入居者の部屋に勝手に入ったり、物を盗むといった行為が挙げられます。
これらの行為が頻繁に発生し、他の入居者の生活や心身の安全を脅かしたり、職員に危害を加えたりした場合、「一般的な介護法では防止が困難」と判断され、退去勧告を受ける可能性があります。

認知症の症状により、これらの行動をしてしまう可能性もありますが、その人の性格や生活環境が原因で発生しているとも考えられます。
気になるようであれば、入居時に本人の性格を伝えることで、施設側はあらかじめトラブルになりそうな入居者と接触を避けるように部屋や座席を配置したり、介護の時間をずらしたりすることも可能ですので、相談しておきましょう。

費用のトラブル

費用に関するトラブルも退去勧告に繋がる原因です。
老人ホームなどの施設は、入居金やサービス料、食費などの「入居者側が支払う費用」と、国からの「介護保険の支給」で成り立っています。この「入居者側が支払う費用」を滞納してしまった場合、退去勧告につながる可能性があるのです。

一般的に本人に支払い能力がない場合、保証人や身元引受人に請求が行き、それでも滞納が長期化して支払い能力がないと判断された場合には、退去勧告を受けることがあります。

医療依存度の増加

比較的自立度の高い老人ホームなどの施設では、医療従事者が常駐していないことが多く、夜間の対応は介護スタッフが行わなければならないこともあります。
法律上、講習を受けたスタッフであれば痰の吸引などを行えますが、入居者の状態によっては必要な介護サービスを提供できなくなる可能性も出てきます。

このように、入居時より医療依存度が高くなってしまった場合、退去を促される場合があります。
このようなトラブルを避けるため、入居前にどこまで対応が可能なのかを確認しておくことも重要です。

長期間の入院

一般的に、「3ヵ月以上入院した場合は退去勧告をする」と契約書に記載されている施設が多いようです。
これは、3ヵ月以上入院した場合、復帰が困難だと考えられているからです。
やっと入居できた施設に、入院をしたがために戻れないというトラブルも発生しています。

この場合、注意しておきたいのは、「入居後入院して規約の条件で退去になった場合、再び入居が可能かどうか」事前に確認を取っておくことです。
もし一度長期間入院すると戻れない施設だということであれば、入院中に別の施設を探しておく必要があります。

不正入居が発覚

施設に入居するためには、ある一定の介護認定を受けておく必要があります。
とりあえず入居したいからといって、入居時に認知症の進行具合や持病について虚偽の申告をしていてはいけません。

もし不正入居が発覚すると、退去勧告を受ける可能性があります。

退去勧告に強制力はあるのか?

施設から退去勧告を受けた場合にどこまで強制力があるかは、契約書の退去要件に記載されている内容次第です。
多くの場合「一般的な介護方法や接遇方法で、迷惑行為を防止することができない場合」という旨が記載されています。
つまり、ほかの入居者や職員への迷惑行為が理由で退去勧告された場合には、この条件に該当するかどうかが争点になります。

退去勧告を受けた場合、すぐに退去しなければならないのか?

万が一退去勧告を受けた場合、その後どうすれば良いのでしょうか?

勧告を無視して入居し続けた場合、施設側と裁判沙汰になってしまう可能性もあります。
一般的には、退去勧告から90日間の猶予が設けられています。

つまり、この期間に次の入居先を探し転居する必要があります。
それでも見つからない場合には、現在の施設に転居先が見つかるまで入居できるように期日を延長してもらったり、同じ系列のショートステイやデイケアなどのサービスを紹介してもらったり、一時的に在宅サービスを利用するという方法を検討しなければいけません。

退去勧告を受けた場合、入居金は戻ってくるのか?

施設に入居する際、高額の入居一時金を支払わなければいけない施設もあります。
入居一時金の減価償却が終了する前に退去勧告を受けた場合、その一部が返還されることが多いようです。
具体的な返還金の計算方法は契約書・重要事項説明書に記載されているはずですので、入居前に必ず確認しておきましょう。
曖昧な点がないよう、納得いくまで質問をしてから契約するようにしましょう。

退去勧告された際に家族が行うことは?

退去勧告された際、まずは理由が正当かどうか判断するために、入居契約書と重要事項説明書を確認しましょう。
職員や管理者に退去勧告までの経緯を聞き、理由が正当なのかどうか、施設側はきちんと努力をしたのかどうか、確認する必要があります。

もし、施設側の説明に納得できなかったり、不適切な対応をされたりした場合には、契約書に記載されている苦情対応窓口へ相談してみることをおすすめします。

退去勧告に納得いかない場合の相談先

退去勧告にどうしても納得いかない場合、まずは契約書に記載されている苦情対応窓口へ相談してみましょう。
それでも解決できない場合には、役所の高齢者相談窓口、各都道府県の国民健康保険団体連合会、社団法人全国有料老人ホーム協会などの場所に相談してみましょう。
客観的な立場で話を聞いてもらえ、両者の状況を把握したうえで適切な解決策を提案してくれます。

先ほどもお伝えしたように、裁判や苦情申し立てを行うこともできますが、時間や費用がかかります。
大切なのは入居者本人が穏やかに過ごせる環境であるかということです。
場合によっては、施設側の協力のもと転居先を探すことも視野に入れましょう。

まとめ

施設で最期まで穏やかに暮らせると思って入居していたのに、退去勧告をされると途方にくれてしまいますよね。
契約書の「退去要件」を事前にしっかりと確認し、退去せざるを得ない場合があることを理解しておきましょう。

退去勧告を受けた場合に重要なのは、「入居者本人や家族が穏やかな時間を過ごすためにどうすればいいかを念頭においておく」ということです。
施設と家族が良好なコミュニケーションを築いていれば、事態が大きくこじれることは少ないものです。日頃から施設に任せきりにせず、施設と協力しながら入居者を見守るようにしましょう。