介護問題である誤嚥を防ぐ方法とは

介護の問題・トラブル

高齢になると筋力の低下などにより、食べ物を上手に食べることが、できなくなることがあります。在宅介護で起きやすい問題の一つが誤嚥(ごえん)です。誤嚥とは、食べ物や飲み物が咽喉(いんこう)や気管に入ってしまう状態のこと。誤嚥事故が起こると、肺炎を引き起こして危険な状態になることも少なくありません。ここでは、誤嚥事故を防ぐための方法や注意点などについて説明します。

誤嚥をしにくい体勢とは

誤嚥事故を防ぐには、誤嚥しにくい体勢をとることが大切です。誤嚥しにくい体勢をとる際には、頭頸部の位置に注意してください。背中が曲がっていると、アゴが突き出しやすくなって誤嚥しやすいので、注意しましょう。リクライニングで食べるときや水であってもむせやすい場合は、枕を高くしてアゴを引く姿勢をとりましょう。嚥下前後に誤嚥する場合や頸部の緊張が高い症状があるときも同様です。

また、食事を行う際は、重心が前方に移動しやすくなるため、腹筋や背筋の力と足を使ってしっかりと踏ん張ることが必要になります。力を入れやすくするためには、イスとテーブルの高さを調節することが大切です。

食事を介助する場合は、上から行うのではなく、食事をする方の目線と同じ位置から行うようにします。

車いすで食事を摂る場合は

車いすで食事を摂る場合も、足を床にしっかりとつけて、踏ん張りやすい姿勢をとるようにします。足はフットレストから下ろし、床に足をつけるようにしましょう。食事の際には足を置く場所に気を付けてください。

一般的な車いすの座面は、前面が高くなっていることが多いため、食事をしづらく感じることがあります。食事のときには、前方が少し低くなるように調整するといいでしょう。また、安定して食事ができるイスに移動することもお勧めです。

ベッドの上で食事を摂るときは

ベッドの上で食事を摂る際も、足で踏ん張れる姿勢を作るようにします。膝の裏にクッションなどを置くといいでしょう。この姿勢をとることで、腹筋に力を入れやすくなるため、誤嚥を防ぐことができます。

アゴが上に向いていると誤嚥のリスクが高まります。うつむいたときにアゴの下に指が3本程度入るくらいの角度が理想です。寝た姿勢よりも座った姿勢の方が、誤嚥を起こしにくいです。寝たきりの場合は、ベッドのリクライニングを上げて上半身を起こしてあげるといいでしょう。枕で首の角度を調節することも忘れないようにしましょう。

自助食器を使おう

自助食器は食事をしやすく工夫してある食器のことです。自助食器を利用すると、箸をうまく使えない方やスプーンしか持てない状態でも、自分で食事をすることができます。自助食器には次のようなものがあります。

  • 滑りにくい食器
  • 器の底に滑り止めがついていて、食器がテーブルから滑り落ちないように工夫されています。片手でも食事がしやすいです。

  • 食事がしやすいスプーン
  • すくう側が左右どちらかに曲がっており、口に運びやすい形態になっています。握りやすい形になったスプーンもあります。

  • 持ちやすいカップやスプーン
  • 持ち手の部分が持ちやすい形に加工されています。また、滑りにくい素材が使用されたカップやスプーンもあります。

自助食器を使うことで、自分で食事がしやすくなります。加えて誤嚥予防にもつながります。種類も多くありますので、体や状態に合わせた自助食器を使ってみるといいでしょう。

誤嚥は在宅介護を行う上で気を付けなければならない問題です。誤嚥しやすいからといって、食べることをやめてしまうと、食事の楽しみを奪ってしまうことになります。しかし、誤嚥性肺炎にならないように注意しなければなりません。食事の際には姿勢に注意して、誤嚥しないように気を付けましょう。自分で食事ができるのであれば、食事がしやすい自助食器を使うといいでしょう。