介護保険まるわかり
「介護保険は何歳から加入すればいいの?」と疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。
ここでは、介護保険の加入年齢や介護保険料が適用されるタイミング、支払い方法などを詳しく解説していきます。
この記事を最後まで読んでいただけたら、安心して介護保険の加入や支払いに備えられます。
介護保険に関する正しい知識を身に付けたい方はぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
● 介護保険の加入年齢 ● 介護保険が適用されるタイミング ● 介護保険料の支払い方法 ● 介護保険料はいくら納付する? ● 介護保険サービスを利用する流れ ● 介護保険が利用できるサービス一覧 |
介護保険の加入年齢
介護保険とは、要介護認定を受けた高齢者が1〜3割の自己負担で介護保険サービスを利用できる制度です。40歳に達した月から、一生涯にわたって払い続けます。
介護保険料の支払いは2000年4月から義務化されており、滞納があると介護保険サービスを利用できなくなるため注意しましょう。
介護保険が適用されるタイミング
介護保険が適用されるタイミングは、被保険者の種類によって異なります。
介護保険が適用されるタイミングは以下の通りです。
- 第1号被保険者(65歳以上)の場合
- 第2号被保険者(40〜64歳)が例外で利用できる場合
上記2つのタイミングについて解説するので、それぞれの違いを確認しましょう。
第1号被保険者(65歳以上)の場合
65歳になると、「介護保険証」が発行されるものの、介護保険サービスを受けられるわけではありません。
要支援1〜2・要介護1〜5の要介護認定が必要で、認定の度合いに合った介護保険サービスを利用できます。
要介護認定について詳しく知りたい人は、市町村の窓口や地域包括支援センターに相談しましょう。
第2号被保険者(40〜64歳)が例外で利用できる場合
原則として、65歳未満の人は要介護認定が受けられないので、介護保険サービスを利用できません。
ただし、16種類の特定疾患であると医師の診断を受けた方の場合、要介護認定を受けられます。
- 末期がん
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症(MSA)
- 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症(ASO)
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
持病があっても、16種類の特定疾患に該当しなければ要介護認定の対象とならないので、注意が必要です。
介護保険料の支払い方法
介護保険料の支払い方法は、被保険者ごとに異なります。ここでは、以下の2種類の支払い方法について解説していきます。
- 第1号被保険者の支払い方法
- 第2号被保険者の支払い方法
それぞれの支払い方法をチェックしましょう。
第1号被保険者の支払い方法
第1号被保険者は、65歳を過ぎ年金受給者になったタイミングで、年金から介護保険料が天引きされます。自分で納める必要がないので、滞納の心配がなく安心です。
ただし、一ヶ月当たりの年金受給額が15,000円未満の人は、個別で徴収されます。納付書や口座振替で納付しなければならないので、滞納に注意しましょう。
第2号被保険者の支払い方法
第2号被保険者は、国民健康保険や社会保険といった医療保険と同じく、毎月支払います。
医療保険の種類ごとに納付方法が異なるので、あらかじめ押さえておきましょう。
医療保険の種類 | 納付方法 |
社会保険の被保険者 | 毎月の給与から天引きされる |
社会保険の被保険者に扶養されている人 | 扶養主の介護保険料に含まれる |
国民健康保険の被保険者 | 国民健康保険料とともに口座振替か納付書で納付する |
国民健康保険の方は、毎月個別で納めなければなりません。医療保険を滞納すると、介護保険料も併せて滞納となってしまうため注意が必要です。
介護保険料はいくら納付する?
介護保険料の支払い額は、被保険者ごとに異なります。
ここでは、以下の2種類の支払額について解説していきます。
- 第1号被保険者の場合
- 第2号被保険者の場合
介護保険料の支払いが開始したら生活費の中に組み込めるように、具体的な金額を把握しておきましょう。
第1号被保険者の場合
第1号被保険者は、課税状況や家庭の状況によって6段階に分かれています。
また、介護保険料は全国一律ではありません。介護保険サービスが充実している市町村や、介護保険サービスを利用する高齢者が多い市町村では、介護保険料も高くなります。
介護保険料について詳しく知りたい人は、お住まいの地域の市町村で確認しましょう。
第2号被保険者の場合
第2号被保険者の支払い額は、医療保険の種類によって異なります。
医療保険の種類 | 支払い額 |
社会保険の被保険者 | ● 標準報酬月額(給与やボーナス)を元に計算する
● 勤務先や雇用主が介護保険料の半分を負担 |
国民健康保険の被保険者 | ● 前年の所得と世帯の被保険者の人数、資産などによる
● 国が介護保険料の半分を負担 |
国民健康保険に加入している方の場合、市町村によって計算方法や額が異なるため、お住いの自治体に問い合わせると安心です。
介護保険サービスを利用する流れ
持病の悪化や、事故などによって要介護認定を受ける人は少なくありません。
介護保険サービスが必要となった際に、落ち着いて手続きできるように、あらかじめ流れを把握することが重要です。
介護保険サービスを利用する流れは以下の通りです。
- 要介護認定を申請する
- 要介護認定を受ける
- ケアプランや介護予防サービス計画書を作成する
- サービスを利用開始する
上記4つの流れについて解説していくので、介護保険サービス利用開始時にお役立てください。
要介護認定を申請する
要介護認定は、介護認定を受ける方がお住まいの市町村の役所に申請します。
本人が申請できない場合、家族や地域包括支援センターの職員、居宅介護支援事業者が代わりに届け出ることも可能です。ここでは、申請時に必要なものを把握しておきましょう。
- 申請書(市町村の窓口やホームページから入手可能)
- 介護保険被保険者証(65歳以上の方)
- 健康保険被保険者証(64歳以下の方)
- 印鑑(本人以外が申請する場合)
- 顔写真付きの身分証明書
- かかりつけ医の診察券
かかりつけ医の診察券は、市町村が医師の意見書の作成を依頼するのに必要となります。
申請時に必要なものは、市町村ごとに異なる場合もあるので、あらかじめホームページなどで確認しておくのがおすすめです。
要介護認定を受ける
要介護認定の申請後、市町村の職員や委託のケアマネジャーによって認定調査が実施されます。
認定調査とは、身体の状態や日常生活の様子から、どの程度介護や医療的ケアを必要としているのかチェックするものです。
生活の中で困っていることや、介護で負担に感じていることなどを率直に伝えましょう。
また、一次判定・二次判定も行われます。
一次判定 | ● コンピュータに調査結果や主治医の意見書などのデータを入力
● 全国一律の基準によって介護の必要性を判定する |
二次判定 | ● 一次判定の結果や主治医の意見書、調査結果から、市町村の介護認定委員会が要支援・要介護度を判定する |
申請から認定の通達までの期間は、原則30日以内と定められているため、申請後1ヶ月ほどで結果が郵送されます。
ただし、地域によっては申請から判定まで1ヶ月以上かかる場合もあるので注意が必要です。
ケアプランや介護予防サービス計画書を作成する
介護保険サービスの利用を開始するためには、ケアプランや介護予防サービス計画書の作成が必要です。要支援・要介護度における違いを把握しておきましょう。
要介護認定 | 作成する書類 | 作成者 |
要支援1・2 | 介護予防サービス計画書 | 地域包括支援センター |
要介護1~5 | ケアプラン | 担当のケアマネジャー |
介護予防サービス計画書・ケアプランは、要支援・要介護者本人と家族の意向をしっかりヒアリングしたうえで、心身の状態や介護度、希望に合った内容で作成されます。
また、要介護認定を受けている人の中で、「担当のケアマネジャーと相性が合わない」「思ったようなケアプランを作成してもらえない」といったケースが生じた場合、居宅介護事業所を変更できます。
サービスを利用開始する
ケアプランが作成された後は、利用したいサービスを提供している介護保険サービス事業所の中から、最も希望に合う事業所を選びます。
介護保険を利用して介護保険サービスを受ける際に注意したいのは、介護度に応じて利用限度額が設けられている点です。
利用限度額を超えて介護保険サービスを利用すると、超過した分は全額負担となってしまいます。
限度額内に抑えながら介護保険サービスを利用するためには、家族やケアマネジャーと相談しながら必要なサービスを見極めることが重要です。
介護保険が利用できるサービス一覧
介護保険では介護負担を減らすのに役立つさまざまなサービスを利用できます。
介護保険が利用できるサービスは以下の通りです。
- 居宅サービス
- 施設サービス
上記2つのサービスについて解説していくので、チェックしていきましょう。
居宅サービス
在宅で介護を受ける際に介護保険で利用できるサービスで、一時的に施設に入居して介護を受ける場合も含まれます。居宅サービスに含まれるものは、以下の通りです。
- 訪問介護、訪問入浴などの訪問サービス
- デイサービスや通所リハビリテーションといった通所サービス
- ショートステイ(短期入所サービス)
生活の中で困っている点や、介護で負担に感じている部分をサポートしてもらえるサービスを選ぶとよいでしょう。
施設サービス
介護保険施設に入居して、介護や日常生活支援といったサービス全般を受けられます。
特別養護老人ホームや介護医療院といった公的な施設は費用が安い反面、人気が高いため、入居するまで数年かかるケースも少なくありません。
一方、民間施設でも比較的リーズナブルな施設も多いので、費用を抑えながら充実したサービスが受けられます。公的施設に限らず、民間施設への入居も検討するのがおすすめです。
介護保険料を支払う年齢や適用時期を見極めよう
介護保険料は40歳に達した月から、加入している医療保険ごとに定められた方法で納付します。
ただし、介護保険サービスを利用できるのは、原則として要介護認定を受けている65歳以上の方が対象です。
65歳未満で介護保険サービスを受けられるのは、16種類の特定疾患により要介護認定を受けた場合に限ります。
介護保険料の支払いが始まる年齢や適用時期をしっかり見極めて、介護保険サービスが必要となったタイミングで適切に利用しましょう。