介護保険を使って福祉用具がレンタルできる!具体的に借りられるものから、借り方まで詳しく解説

介護保険まるわかり

高齢になり日常生活が難しくなってくると必要になってくるのが、福祉用具。
介護保険を使って福祉用具がレンタルできるのをご存知ですか?
実は、レンタルできる福祉用具は介護度により異なります。

この記事では、具体的に借りられるものから、借り方まで詳しく解説していきます。

福祉用具ってなに?

福祉用具とは、要介護者や要支援者が家で自分らしい暮らしを安心して送れるよう、日々の動きをサポートする用具のことです。
福祉用具があることにより、介護者の負担も軽減されます。

たとえば、「車いす」があれば、足腰に障害のある方も自立した生活を続けられ、これまでのように外出もしやすくなります。
また、柵がついている「介護ベッド」があれば、ベッドか落下する危険性を減らせ、介護者の負担も少なくできます。

このように、要介護者・介護者が安心して暮らしていくために福祉用具は欠かせないものなのです。

介護保険でレンタルできる福祉用具貸与サービス

福祉用具は体が不自由になってくると必要不可欠になってくるのですが、高額なことが多いため、いざ購入となると負担が大きくなってしまいます。

そこで、介護保険制度を利用して福祉用具がレンタルできる「福祉用具貸与サービス」というものがあります。

福祉用具があることで

  • 可能な限り自立した生活が送れるようになる
  • 介護者の負担を軽減できる
  • 重度化を予防する

などの効果が見込まれる場合、このサービスが利用できます。

レンタル料金は月額設定になっており、介護保険の適用が可能です。
所得に応じて変動はあるものの、通常の費用の1~3割で用具を借りることができます。

介護度によりレンタルできない場合も

しかし、すべての人がレンタルできるわけではありません。

福祉用具貸与サービスを利用できるのは、要介護1以上の認定を受けている人で、対象となる商品は13品目に限定されています。

要支援1、2の人は、一部の商品を利用することができますが、介護認定を受けていない人が使いたい場合には、全額実費での利用となってしまうのです。

ただ、心身の状態によっては福祉用具貸与が認められるケースもあります。

医師が必要と判断し、保険者である市区町村が特に必要と認めた場合には「例外給付」が可能ですので、実際に利用を検討したいときにはまずケアマネジャーに相談しましょう。

福祉用具貸与サービスでレンタルできるもの・できないもの

介護保険を利用できるレンタルの対象商品は合計13品目です。
それぞれの用具について、対象となる種目や要介護度が決められています。

車いす(要介護2以上)

日常的に歩行が困難な人(要介護認定時の基本調査で、歩行ができないとされた人)、または日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる人が対象です。

車いすは、普通型電動車いすと自走用標準型車いす、介助用標準型車いすの3種目に限定されています。

車いす付属品(要介護2以上)

車いす付属品とは、車いすクッション・姿勢保持用品・電動補助装置など、車いすと一体的に利用されるものが対象です。

特殊寝台(電動ベッド、要介護2以上)

サイドレールと呼ばれるベッド柵が取り付けられている・取り付けることが可能なタイプで、背上げ又は脚上げ機能・もしくは高さ調整機能が付いたものが対象になります。

特殊寝台付属品(要介護2以上)

特殊寝台付属品とは、マットレス・電動ベッド用のテーブル・立ち上がりをサポートするL字型ベッド柵など、特殊寝台と一体的に使用されるもののことです。

また、移乗や体位変換などに使用するスライディングボード・マット・介助用ベルトも付属品としてレンタル可能です。

床ずれ防止用具(要介護2以上)

体圧分散効果をもつ床ずれ防止用の静止型マットレス・エアマットレス・ウォーターマットレスなど、床ずれを防止するためのマットを指します。

体位変換器(要介護2以上)

空気パッドなどを使用して仰向けからうつ伏せへの体位変換をサポートする機能があるものが対象です。
体位保持のみを目的とするものは対象外です。

手すり(要介護1以上)

工事不要で設置できる手すり・トイレや便器周りなど任意の場所に置いて使用できる手すりなどが対象です。

スロープ(要介護1以上)

段差を解消するために設置する、工事不要で設置・撤去できるスロープが対象となります。

個人に合わせて改造したものや、持ち運び不可のものは対象外です。

歩行器(要介護1以上)

1人で歩くことが難しい人の歩行をサポートする機能があり、移動時に体重を支えられる歩行器が対象です。
シルバーカーは対象外となります。

歩行補助杖(要介護1以上)

福祉用具貸与の対象となるのは、「松葉杖」「ロフストランド・クラッチ」「カナディアン・クラッチ」「プラットホームクラッチ」「多点杖」の5種類で、一脚杖のステッキ(T字杖)などは対象外となります。

認知症老人徘徊感知器(要介護2以上)

認知症外出通報システムや離床センサーなどです。
認知症の高齢者が1人で外出したり、屋内のある地点を通過したりした時にセンサーが感知して家族などに通報してくれるものです

移動用リフト(要介護2以上)

工事不要の移動用リフトや、浴室等に固定して使うバスリフトなど、床走行式と固定式、据置式の3種類のリフトがあります。

自動排泄処理装置(要介護4以上)

ベッドに寝たまま排せつ物を処理できる装置で、尿や便の経路となる部分を取り外すことが可能な構造のものが対象です。
(尿のみ吸引できるものは、要支援1以上が対象です。)

レンタルまでの流れ

それでは、福祉用具をレンタルできるまでの流れをご紹介します。

1.ケアマネジャーに相談

福祉用具貸与の利用を希望するなら、まずはケアマネジャーまたは地域包括支援センターに相談しましょう。

相談を受けたケアマネジャーが、要介護者・介護者と面会を行い、要介護者の心身の状態や環境、介護者の負担などさまざまな状況を把握した上でケアプランを作成します。

2.福祉用具貸与の事業者を選ぶ

福祉用具貸与を組み込んだケアプランを作成してもらえたら、福祉用具貸与事業者の選定を行います。

事業者が決まると、必要に応じて福祉用具専門相談員が利用者の自宅を訪問し、利用者が使いやすい用具を選定します。

3.契約してレンタル開始

事業者が用具を納品し、実際に利用者が使いやすいかを確認します。
説明を受けて同意をした上で契約を結び、福祉用具レンタルスタートです。

ちなみに、レンタルをスタートした後も福祉用具専門相談員が定期的に訪問し、アフターサービスを行います。
不便を感じた場合には、用具の変更も可能です。

福祉用具はレンタルより購入した方がお得なの?

福祉用具を長期間使用する場合、毎月一定額を支払わなければいけないレンタルよりも、購入してしまった方が安くなるのでは?と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

それでは、介護保険で福祉用具をレンタルした場合と一般購入した場合の価格を比較してみましょう。

たとえば、車いすのケースで考えてみます。

一般購入額12万8,000円(定価)の標準型の自走車いすの場合、介護保険でレンタルすると自己負担1割の場合、月額約500円です。
12万8,000円を毎月500円ずつ支払ったと考えると、レンタル料金256ヵ月分になります。
256カ月は21年以上ですので、購入するよりもレンタルする方が安くなることが多いといえるでしょう。

また、福祉用具専門相談員は利用者宅を定期的に訪問し、福祉用具のメンテナンスや利用者に不都合がないかどうかを確認することが義務づけられています。
さらに、常に調節や選び直しをして、利用者のそのときの状態に合ったものを提案してくれます。
したがって、金銭面、安全面から見て、福祉用具はレンタルした方が良いといえるでしょう。

まとめ

心身の機能が低下した高齢者であっても、状態に合わせた福祉用具使えば、自立した日常生活を送ることができ、自分らしく暮らせます。
また、福祉用具をうまく利用することは、介護者の負担軽減にもつながります。

介護者・要介護者ともに安心して暮らしやすい生活を送るためにも、福祉用具のレンタルサービスをうまく活用していきましょう。