介護保険で入院費はまかなえる?

介護保険まるわかり

高齢になると、病気やケガをしやすくなります。軽度ですめばいいのですが、入院が必要になる場合は、治療費のほかにも、入院費が発生します。特に長期入院が必要となった場合に、費用がどれぐらいかかるのか気になる方は多いはずです。ここでは、介護保険で入院費用を負担することについて、費用を軽減する方法と共にご紹介します。

入院費と介護費用は全くの別物

高齢者になると介護保険制度によって、介護保険を利用できます。しかし、介護保険は入院費として利用できません。なぜなら、保険の対象が違うからです。介護保険は入浴や食事の介助といった、主に日常の生活をサポートするものが対象です。一方で、入院中は基本的に病院でサポートするため、介護保険ではなく医療保険が適用されます。

入院中だと介護保険サービスは利用できない

急な病気によって長期入院が必要な場合や、慢性的な疾患で入院することになった際には、介護保険ではなく、医療保険が適用されます。この場合、介護認定を受けていても、介護保険は適用されません。基本的に、介護保険と医療保険は同時に利用できないのです。

入院費用の軽減のためには

高額の費用が原因で、入院を諦める必要はありません。入院時に高額の費用がかかった場合には、高額療養費制度を利用することで、入院費用の負担を軽減できます。高額療養費制度とは、入院でかかった医療費のうち、定められた自己負担限度額を超えた金額が支給される制度です。

自己負担額は、申請者の所得によって金額の負担限度額が定められます。自己負担限度額は次の3つに区分されていて、算出方法がそれぞれ決まっています。

(70歳未満の場合)

  • 上位所得者(標準報酬月額53万円以上)…150,000円+(医療費-500,000円)×1%
  • 一般(上位所得者、低所得者以外)…80,100円+(医療費-267,000円)×1%
  • 低所得者(被保険者が市町村民税非課税等)…35,400円

(70歳以上 ※入院を含む場合)

  • 現役並み所得者(標準報酬月額28万円以上等)…80,100円+(医療費-267,000円)×1%
  • 一般(現役並み所得者、低所得I・II以外)…44,400円
  • 低所得II(被保険者が市町村民税非課税等)…24,600円
  • 低所得I(地方税法の規定にとる市町村民税に係る所得がない)…15,000円

(70歳以上 ※外来のみの場合)

  • 現役並み所得者(標準報酬月額28万円以上等)…44,400円
  • 一般(現役並み所得者、低所得I・II以外)…12,000円
  • 低所得II(被保険者が市町村民税非課税等)…8,000円
  • 低所得I(地方税法の規定にとる市町村民税に係る所得がない)…8,000円

高額療養費制度を利用する際には、支払う前に限度額適用認定証を提示することで、利用できます。70歳以上の場合は、事前の手続きをしなくても、自動的に窓口での支払いが自己負担限度額までになります。

しかし、食事代やベッド代など、保険適用外の費用については適用されません。利用前に確認しておくと安心です。

入院費用を支払った後はどうなるのか

入院費用を支払った後でも、保険者の申請によって、自己負担限度額を超えて支払った分は、支給(還付)されます。申請は、加入している各種健康保険組合やお住まいの地域の役所にある国保年金課で受け付けています。国民健康保険の場合は、各市町村役場の国保年金課で問い合わせてください。

組合管掌健康保険の場合は、加入する各健康保険組合で申請できます。全国健康保険協会や船員保険に加入している方は、全国健康保険協会の各支部に問い合わせてください。共済組合の場合は、加入している共済組合に申請し、交付を受けましょう。

病気やケガが原因で入院する際には、高額な費用がかかる場合があります。介護保険は、入院費として利用できませんが、高額療養費制度のような、費用を一部負担してくれる制度があります。利用には制限や条件がありますので、あらかじめ確認してから申請をするようにしましょう。