介護保険のメリットは?公的介護保険・民会介護保険の特徴を踏まえて解説

介護保険まるわかり

「公的介護保険だけでなく、民間の介護保険にも加入した方がいいの?」とお悩みの方は多いです。

ここでは、公的介護保険と民間介護保険の違い、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく紹介していきます。

この記事を最後まで読み終えていただければ、それぞれの介護保険の特徴が分かり、介護保険の加入に役立てられるでしょう。

民間介護保険の加入を検討したい方は、ぜひ参考にしてください。

【この記事でわかること】

●  そもそも介護保険とは?

●  公的介護保険と民間介護保険の違い

●  公的介護保険のメリット

●  公的介護保険のデメリット

●  民間介護保険のメリット

●  民間介護保険のデメリット

●  介護保険に関するよくある質問

そもそも介護保険とは?

高齢化が進む日本で、介護は社会全体の大きな課題です。

介護保険は、高齢者の介護を支える目的で作られました。

介護保険の種類は、以下の2種類です。

  • 公的介護保険
  • 民間介護保険

上記2つの介護保険について解説していくので、比較しながら確認してみましょう。

公的介護保険

公的介護保険は、40歳以上の日本国民が全員納めるべき介護保険料によって成り立っています。

保険料は、年収によって決まりますが、保険料を納めていない場合、介護サービスが受けられず、ペナルティがあるため注意が必要です。

介護サービスはいつ必要になるものなのか、分かりません。

したがって、毎月公的介護保険料はしっかり納め、介護サービスが受けられるように備えましょう。

民間介護保険

民間介護保険は、公的介護保険の不足を補う目的で加入します。

ただし、民間介護保険に加入しているからといって、公的介護保険に加入しなくても良いというわけではありません。

民間介護保険は保険会社によってさまざまな特徴があるので、自分に合ったタイプのものを選べるのが魅力です。

公的介護保険と民間介護保険の違い

公的介護保険と民間介護保険の違いは、次の通りです。

  • 給付額・給付形態の違い
  • 加入の違い
  • 対象者の違い
  • 保険料の違い

上記4つの違いについて詳しく紹介していきます。

給付額・給付形態の違い

公的介護保険・民間介護保険には、給付額・給付形態に違いがあります。

公的介護保険の給付額・給付形態は次の通りです。

給付額 ●  要介護度によって給付額が変わる

●  毎月の保険料は変わらず、介護度が進めば手厚い介護支援を受けられる

給付形態 ●  現物支給という形で介護サービスを提供する

●  金銭での給付はしていない

一方、民間介護保険の給付額・給付形態は次の通りです。

給付額 ●  給付額はあらかじめ自分で設定できる

●  給付額を増やす場合、保険料が高くなる

給付形態 ●  現金支給なので、契約に決められた金額が支払われる

●  介護に関係のない用途でも給付金を自由に使える

介護サービスだけでなく、現金での支給も受けたい場合、民間介護保険の加入を検討すると良いでしょう。

加入の違い

公的介護保険は40歳以上で強制加入ですが、民間介護保険は任意加入です。

したがって、民間介護保険は年齢に関係なく加入できます。

対象者の違い

公的介護保険の被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者の2種類です。

年齢 サービスを受ける条件
第1号被保険者 65歳以上の方 原因を問わず、介護や支援が必要になったとき
第2号被保険者 40歳以上65歳未満の方 老化が原因の病気により、介護や支援が必要になったとき

ただし、どちらの場合も各市区町村で介護申請して、認められた場合に限ります。

一方、民間介護保険の加入条件は、各保険会社や契約によってさまざまです。

各社を比較したうえで自分に合ったものを選びましょう。

保険料の違い

公的介護保険の保険料は、13段階の所得に応じた基準額で設定されます。

合計所得金額から算出されるので、高額所得者ほど年間保険料が高いです。

一方、民間介護保険は所得とは関係なく、自分で設定します。

収入に波がある方は、月々の支払額の設定に注意が必要です。

公的介護保険のメリット

公的介護保険は、40歳以上の日本国民には加入義務があります。

ただし、実際にはどのようなメリットがあるのか、把握できていない方は多いです。

公的介護保険のメリットを以下にまとめたので、チェックしてみましょう。

  • 国の介護サービスを受けられる
  • 自治体によってさまざまな恩恵がある
  • 介護サービス利用が安くて済む

上記3つのメリットについて詳しく解説していきます。

国の介護サービスを受けられる

公的介護保険は、年収に応じた保険料を納め、原則1割負担で介護サービスを受けられます。

第1号被保険者と第2号被保険者は、保険料の負担や徴収方法、認定条件などが異なっているため、確認しておきましょう。

サービスを受ける条件 保険料の徴収方法
第1号被保険者 加齢や病気に伴い、介護が必要であると認められた、65歳以上の方 市区町村ごとに算出され、年金から徴収される
第2号被保険者 「特定疾病:によって介護が必要であると認められた、40~64歳の方 40歳になった月から医療保険と一緒に徴収

40歳以上の全ての日本人に加入することを義務づけています。

将来的に、必要に応じて介護サービスを受けられるので安心です。

自治体によってさまざまな恩恵がある

公的介護保険で受けられる支援内容は、主に2種類です。

在宅で受けられるサービス

 

●  自立生活が可能な高齢者や、在宅介護を受けている人が対象者

●  看護師や社会福祉士が、要介護者のいる家庭を訪問し、健康状態の確認や日常生活の支援などをする

●  必要な福祉用品(車椅子、医療用ベッドなど)のレンタルサービスが受けられる

施設や病院で受けられるサービス

 

●  施設や病院などで、健康を維持する訓練や口腔ケア、心身機能の維持・回復を目的としたリハビリを受けられる

●  特定施設への入所や入居者へのケア

●  特別養護老人ホームへの入所

介護サービスが必要になった際に、サービスの内容を調べると、時間や手間がかかりがちです。

お住まいの自治体で、どういったサービスが受けられるのか、あらかじめ把握しておきましょう。

介護サービス利用が安くて済む

介護保険制度では、認定された要支援・要介護レベルに応じてケアプランが作られ、受けられる支援内容が決まります。

料金は原則1割負担ですが、第1号被保険者のうち、一定以上の所得がある人の負担額は2割負担です。

ただし、在宅サービスの利用は、認定レベル別に利用できるサービスの支給限度額が定められ、超えた利用料は全額自己負担になるため注意しましょう。

公的介護保険のデメリット

公的介護保険は必要に応じて、手厚い介護サービスを受けられるのが魅力的です。

ただし、デメリットもあるので把握しておきましょう。

公的介護保険のデメリットは次の通りです。

  • 年齢制限がある
  • 加入が強制である

上記2つのデメリットについて、詳しく解説していきます。

年齢制限がある

介護サービスを受けるには、年齢制限があり、介護認定が必要です。

一生涯保険料を納めていても、介護サービスを受けない方もいます。

加入が強制である

公的介護保険は強制加入です。

保険料を納めないと、ペナルティや差し押さえの対象となります。

自己判断による保険料の未納は避けましょう。

民間介護保険のメリット

民間介護保険は任意加入ですが、公的介護保険の不足を補ってくれるとして人気が高いです。

特に、預貯金が公的年金が少ない方や、介護をお願いできる身内が周囲にいない方は、手厚い介護サービスを希望しています。

民間介護保険で希望するサービスが受けられるのか、メリットを確認してみましょう。

民間介護保険のメリットは次の通りです。

  • 介護の備えとしての安心感が得られる
  • 支給されたお金を介護費用以外に利用できる
  • 公的介護保険の給付対象外の人でも給付を受け取れる

上記3つのメリットについて詳しく解説していきます。

介護の備えとしての安心感が得られる

介護が必要な状態になると、介護サービスやリハビリなどの利用料、通院費、自宅の改築費用など、多額のお金が必要です。

民間介護保険では現金が給付されるので、介護に関する経済的な負担や不安を軽減してくれます。

支給されたお金を介護費用以外に利用できる

介護者を抱えている家庭では、出費が増えたり、仕事の調整が必要だったりするため、経済的な負担が大きくなります。

民間介護保険の給付金は、用途を限定されません。

生活費の補填も可能なので、経済的な安心感が得られます。

公的介護保険の給付対象外の人でも給付を受け取れる

民間介護保険では、40歳以下や、交通事故など病気以外が原因で介護が必要な人でも給付対象になる可能性があります。

受給できる対象者の幅が広いのは嬉しいポイントです。

民間介護保険のデメリット

民間介護保険にはデメリットもあるので、メリットと比較したうえで加入を検討しましょう。

民間介護保険のデメリットは次の通りです。

  • 必ず加入できるわけではない
  • 要介護状態になっても必ず給付が受けられるとは限らない
  • 追加で保険料を支払うことになる

上記3つのデメリットについて詳しく解説していきます。

必ず加入できるわけではない

保険商品によって加入条件・給付条件が異なります。

誰でも加入できるわけではありません。

加入条件を満たしているか、確認したうえで加入を検討しましょう。

要介護状態になっても必ず給付が受けられるとは限らない

給付の条件を満たさなければ、要介護状態になっても保障が受けられません。

保障内容は保険商品によってさまざまです。

特に、公的介護保険と連動している商品の場合、今後法改正などで保障内容が変更する可能性があります。

介護が必要となった時に、給付が受けられる商品を選びましょう。

追加で保険料を支払うことになる

公的介護保険料を支払いながら、民間介護保険料を支払わなければならないので、経済的に負担に感じる場合があります。

長期的に無理なく支払える金額であることが大切です。

介護保険に関するよくある質問

将来的な負担を減らすため、民間介護保険の加入を検討している方は多いですが、不安や疑問を感じがちです。

不安や疑問を解消し、安心して希望通りの民間介護保険に加入しましょう。

介護保険に関するよくある質問は次の通りです。

  • 民間介護保険への加入の必要性が高い人は?
  • 民間介護保険への加入率はどれくらい?
  • 民間介護保険に早期加入するメリットは?

上記3つの質問にお答えしていくので、疑問の解決にお役立てください。

民間介護保険への加入の必要性が高い人は?

民間介護保険は、公的介護保険だけでは不十分であると感じている方におすすめです。

特に、民間介護保険の加入の必要性が高い人の特徴をチェックしてみましょう。

  • 預貯金や公的年金が少なく、経済的な不安がある
  • 介護をお願いできる身内が周囲にいない
  • 手厚い介護サービスを希望している

民間介護保険に加入する場合、保障内容だけでなく、無理なく支払える保険料であることも大切です。

民間介護保険への加入率はどれくらい?

民間介護保険の加入率が気になるという方は多いです。

そこで、民間介護保険の加入率について統計データをご紹介します。

生命保険文化センターによる「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査(P.11)」では、介護保険・介護特約の加入率について、次のように報告しています。

<介護保険・介護特約の加入率(民保加入世帯ベース)>

世帯 世帯主 配偶者
平成30年 14.1% 10.5% 7.8%
平成27年 15.3% 11.8% 7.9%
平成24年 14.2% 10.8% 7.6%
平成21年 13.7% 11.1% 6.2%
平成18年 16.1% 12.9% 7.3%

また、世帯主年齢別にみると、「50~54歳」「55~59歳」が最も多く、2割を超えて高くなっていることが分かっています。民間介護保険の加入者は、50~60代など子育てを終え、親や家族の介護を経験した世代が多いです。

また、男性よりも平均寿命が長い女性の方が、加入への関心が高い傾向にあります。

民間介護保険に早期加入するメリットは?

民間介護保険は早期加入することで、さまざまなメリットが得られます。

具体的なメリットは次の通りです。

  • 保険料が安く済む
  • 40歳以下でもリスクに備えられる
  • 審査に通りやすい

ただし、民間介護保険料は自己負担額が増えるので、必ずしも加入する必要はありません。

若い世代では、民間介護保険の早期加入も検討してみましょう。

介護保険で老後の不安に備えよう

公的介護保険は要介護状態になった場合、適切な介護サービスを受けられます。

ただし、現金での給付は受けられないので、経済的な負担を減らしたい方は、民間介護保険の加入を検討してください。

もしも民間介護保険に加入する場合、加入条件や保障内容、自己負担額を把握しておくことが大切です。

自分や家族のライフプランに合う介護保険の加入方法を選び、老後の不安に備えましょう。