特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)は何が違う?施設の目的やサービス内容を解説!

老人ホーム・介護施設・介護サービスの種類

「老人ホーム」と一言でいっても、いろいろな種類の施設があるのをご存知でしょうか。
名称が似ていても、行うサービスや目的は施設によって異なります。
この記事では、「介護老人福祉施設」と「介護老人保健施設」の違いについて詳しく解説していきます。

介護老人福祉施設とは?

「介護老人福祉施設」とは、社会福祉法人や地方自治体が運営する要介護高齢者のための公的施設で、介護を受けながら長く生活をするのを目的としています。

常に介護が必要な人や、認知症が進んだ方、寝たきりの高齢者など、緊急性の高い人から優先的に入居でき、終身で利用することができます。

また、「特別養護老人ホーム(特養)」ともよばれています。

介護老人保健施設との違いは?

「介護老人福祉施設」と名称が似ている施設として、「介護老人保健施設」というものがあります。
こちらは、医療ケアやリハビリが必要な要介護者が、在宅復帰をするために必要なリハビリを行うための施設です。
通称「老健」ともよばれています。

それでは、「介護老人福祉施設」と「介護老人保健施設」の違いについて詳しく解説していきましょう。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)のポイント

まず、「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」からご説明します。

施設の役割

「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」の役割は、中~重度の要介護高齢者に身体介護や生活支援を行い、生活に必要なサポートをすることです。
食事や入浴、排せつなどの日常生活の介護に加えて機能訓練や健康管理、そして療養上必要な世話などを行います。

「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」は基本的に終身利用を前提としているため、看取り介護まで対応しているところがほとんどです。

入居条件

自宅での生活が難しい、中~重度の要介護者が対象の施設ですので、入所基準は原則として要介護3~5の方に限られます。

認知症が進んだ方、寝たきりの高齢者など、緊急性の高い人が優先的に入居可能なため、入居待機者が多く数ヵ月から数年待たなければいけないケースもあります。

職員の人数

「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」では、医師の常駐は義務づけられていません。
看護職員は3名以上、介護職員は入所者3人に対して1人以上の配置が必要です。

サービス内容

身体介護を中心とした自立支援を行います。
施設は居室の他、浴室・トイレ・食堂など生活に必要な設備が中心で、月額費用は8~13万円ほどです。

また、必要に応じて医療行為を行った場合、施設への利用料に加えて医療費を支払う必要があります。

介護老人保健施設のポイント

次に、「介護老人保健施設」についてご説明します。

施設の役割

「介護老人保健施設」の役割は、要介護高齢者がリハビリ等行い、在宅復帰を目指すためのサポートを行うことです。

ケアプランに沿ってリハビリに重点を置いた介護が受けられ、3ヵ月ごとに在宅復帰ができる状態かを医師が検討します。

在宅復帰を目指していることから入所期間も比較的短く、「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」と比べると比較的入居しやすいのが特徴です。

入居条件

「介護老人保健施設」は、65歳以上・要介護1~5の方が対象です。

比較的病状が安定した方が、在宅復帰に向けてのリハビリを中心とした介護を受ける施設であるため、施設によっては、「病状が安定しており入院の必要がないこと」「感染症にかかっていないこと」などが入居条件に追加されている場合もあります。

職員の人数

「介護老人保健施設」は、入居者100名に対して常勤医師1名、看護職員9名、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれか1人、介護職員25人、ケアマネジャー(介護支援専門員)1人の配置が義務付けられています。

医師・看護師による医療ケアだけでなく、理学療法士や作業療法士による充実したリハビリが受けられることが特徴です。

サービス内容

「介護老人保健施設」では、食事の補助、入浴や着替え、排泄などの生活・身体介護や、医師・看護師による医療ケア、理学療法士や作業療法士による必要なリハビリが受けられます。

居室や生活に必要な設備だけでなくリハビリができる設備や体制も整っているため、「介護老人保健施設」のほう高額なことが多く、月額費用9~20万円ほどです。

しかし、「介護老人保健施設」では、日常的に必要な医療が施設サービス費に含まれているため、ある程度の医療行為であれば医療費を気にせず治療が受けられます。
施設サービス費は医療費控除の対象となり、税金の還付も受けられることがあります。

また、医療体制が充実していることが多く、緊急時には専門家による迅速な対応が期待できます。

ただ、入所期間中はリハビリが中心の生活となるため自由時間は少なく、イベントやレクリエーション活動などもほとんどありません。

まとめ

「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」と「介護老人保健施設」、言葉は似ていても施設の目的やサービスの内容はまったく異なります。

終の棲家として介護を受けながら長く生活していく施設を探している場合には「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」、在宅復帰を前提としてリハビリに専念したい場合には「介護老人保健施設」など、施設の違いをしっかりと把握した上で、ライフスタイルに即した施設を比較検討しましょう。