若年性認知症とは?発症の年齢や症状、原因から予防方法までご紹介します

高齢者の病気・症状

認知症は高齢者特有の病と思われがちですが、若い世代で発症することもあります。
65歳未満の若い世代で発症する認知症を「若年性認知症」といいます。

働き盛りの世代が認知症になると、本人だけでなく家族や仕事関係者など周囲の人にも多くの影響を及ぼします。
進行スピードも速いため、できるだけ早く専門医の診察を受けることが何よりも大切です。

この記事では、若年性認知症の特徴や症状から予防法まで、詳しく解説していきます。

若年性認知症とは

若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症の総称です。

若年性認知症は大きく二つに区分され、18~39歳までに発症した認知症を「若年期認知症」、40~64歳までに発症した認知症を「初老期認知症」といいます。

平成18年度から平成20年度に厚生労働省が実施した調査によれば、若年性認知症の患者数は全国で3.78万人と推計され、発症した年齢の平均は51.3歳といわれています。

仕事や生活に支障をきたすようになっても、若いために本人も周囲も認知症を疑わなかったり、医療機関でもうつ病や更年期障害などと間違えてしまわれたりし、発見が遅れがちになる疾病です。

若年性認知症の特徴

若年性認知症といっても、症状は高齢期の認知症と変わりません。
ただ、働き盛りの若い年齢で発症するため、周囲に相談できない人も多いようです。

ここでは、若年性認知症の主な特徴をご紹介します。

本人や周囲のショックが大きい

若年性認知症を発症するのは、まだ心も体も若く元気な年代です。

仕事では責任ある立場で、育ち盛りの子どもを持ち、まだ自身の親も元気な方も多いでしょう。

「まさかこの年で自分が認知症だなんて」と大きなショックを受け、本人だけでなく家族も抑うつ状態になってしまうこともあります。

経済的打撃が大きい

若年性認知症を発症する世代では、住宅ローンや教育費の支払いが残っていることも多く、経済的な打撃は深刻です。

症状が出てくると働き続けることが難しくなり、家族が介護離職をせざるを得なくなったり、子どもの教育資金が不足してしまったりするなど、経済的な不安を抱えることが多いようです。

悔しい思いや歯がゆさを感じる

若年性認知症を発症すると、認知症により低下した機能と、それ以外の機能との差が顕著になります。

「まだ素晴らしい仕事が出来る一方で、こんな事までできなくなってしまったのか…」など、本人だけでなく周囲もつらい思いをすることが多いでしょう。

高度なスキルや能力は残されているのに、記憶障害や見当識障害により道に迷って家に帰れなくなることなどがあるのです。

悔しい思いや歯がゆさを感じながらも、退職や配置換えをせざるを得ない場合が多いのが現実です。

専門のサービスや支援が少ない

若年性認知症は、一般的な高齢期の認知症に比べて患者数が少なく、専門的なサービスや支援が充実していません。

ただ、若年性認知症と診断されると「精神障害者保健福祉手帳」が取得可能です。

また、脳血管性認知症やレビー小体型認知症などの身体症状がある場合には、「身体障害者手帳」に該当する場合もあります。

これらの手帳があれば、税制の優遇措置、公共交通料金や施設の利用料の割引などが利用できたり、企業の障害者雇用枠として働き続けたりすることが可能な場合もあります。

そのほかにも、医療費控除、高額療養費、高額介護サービス費、高額医療、高額介護合算療養費制度などがあり、住宅ローン、生命保険、国民年金保険料の免除などを受けられる場合もありますので、利用できる制度は積極的に活用しましょう。

若年性認知症の原因

若年性認知症の原因は、ほぼ高齢期の認知症と同様です。

厚生労働省の調査によると、若年性認知症の原因は脳梗塞などによる脳血管性認知症が39.8%と一番多く、続いてアルツハイマー型認知症が25.4%、事故などで頭部外傷を負ったことによる頭部外傷後遺症が7.7%、前頭側頭葉変性症(ピック病)が3.7%、アルコールの乱用によるアルコール性認知症が3.5%、レビー小体型認知症が3.0%となっています。

脳血管性認知症、頭部外傷後遺症など、若い世代でも突然認知症になる可能性があるのです。

ほかにも、アルツハイマー型認知症は遺伝子も影響するという研究結果もあります。

親族に若年性認知症の方がいらっしゃる場合には、日ごろから認知症に関心を持ち、健康的な生活を心がけることで発症リスクは抑えられる可能性もあります。

若年性認知症の症状

若年性認知症には、高齢期の認知症と同じような症状が見られます。
特に脳の生物学的な機能低下による中核症状は、高齢期の認知症とほぼ違いがありません。

一方、社会的・外的要因による二次的な行動・心理症状は、若い世代であるがゆえの苦しみもあるようです。
具体的にご紹介していきましょう。

若年性認知症の中核症状とは

  • 記憶障害:新しいものごとが覚えられず起きたことをすべて忘れてしまい、打ち合わせ自体を忘れたり、暗証番号を忘れてしまったりする。
  • 見当識障害:時間・場所・人に対して見当をつける能力が低下し、お得意様に気がつかなかったり、通い慣れた道で迷ったりする。
  • 実行機能障害:計画的に行動したり、順序だてて機械を操作したりする能力が低下し、手慣れた料理が作れなくなったり、切符の買い方がわからなくなったりする。
  • 理解力・判断力の低下:ものごとを理解した上で判断する力が低下し、新聞などの文章を読んでも理解できなかったり、運転中にとっさの判断が難しくなったりする。

若年性認知症の行動・心理症状とは

  • 不安や焦り、抑うつ:仕事や家庭の将来のことを考えると不安になり、自暴自棄、閉じこもり、抑うつ状態になる。
  • 妄想や幻覚:ミスなどがきっかけとなり、自尊心が傷つけられ、被害妄想や幻覚が生じてしまう。
  • 道迷い・行方不明・徘徊:体力があるため道に迷うと遠方までの徘徊してしまい、行方不明になることがある。
  • 攻撃的な言動:先行きが見えない不安や情けなさから、攻撃的な発言や態度をとってしまう。
  • 不潔行為:トイレの場所や使い方がわからなくなり、失禁したり汚れた下着のままで過ごしたりしてしまう。

これらの行動の原因は、病気による不安や悲しみ、戸惑いが表現されたものだと考えられます。

家族や周囲の人は本人を非難するのではなく、「一緒に乗り越えよう」というサポートする気持ちを忘れないようにしましょう。

若年性認知症の予防方法

現在の医療では、高齢期の認知症が完全に予防できないように、若年性認知症も完全に予防することは困難です。

しかし、脳血管障害からの発症率が高いという結果からも、脳血管障害や生活習慣病の予防が大切なことがわかります。

バランスの良い食生活や、適度な運動習慣、定期的に健康状態をチェックすることなどが、若年性認知症の予防に繋がるでしょう。

特に食生活の部分では、魚やアマニ、えごまに多く含まれる油や、ナッツ、柑橘、カレーなどに含まれる香辛料も効果的といわれています。

一度発症してしまうと完治は困難ですが、進行を遅らせる薬を服用したり、生活習慣を改善したり、周囲の人と積極的に関わることで、症状の進行が緩やかになることもあります。

若年性認知症の予防方法に関しては、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

まとめ

認知症は年齢に関係なく発症します。
若年性認知症は、高齢者に見られる一般的な認知症よりも進行が早いため、早期発見と早期治療が重要です。

早いうちに診断を受けて治療を開始することで、症状の進行を遅くすることが可能です。
少しでも違和感を持った場合には、早めに受診しましょう。