高齢者が病気予防するためのリハビリ方法

高齢者の病気・症状

高齢者の生活の質を落とさないためには、いかにして病気を予防するかがひとつのポイントとなります。身体の病気はもちろん、心のケアにも注意しなくてはいけません。介護施設で行われている「高齢者のリハビリ」について、紹介します。

リハビリで病気を予防するメリット

高齢者が障害を抱えることなく、自立した老後生活を送れるようにするため、疾患や障害をどのようにして防ぐかが重要です。75歳以上の後期高齢者が直面しやすい病気として、脳血管疾患、高齢による衰弱や転倒、骨折、認知症といったものが挙げられます。いずれもリハビリで予防すれば、要介護状態を防ぐことに繋がります。本格的な高齢化社会を迎えるにあたって、寝たきりの高齢者を1人でも少なくしたい国の意向とも合致するものでしょう。

予防するリハビリの種類

予防のためのリハビリには種類があり、それぞれに特徴があります。

【脳血管障害の理学療法】
日常動作の自立、運動療法の妨げとなる因子を取り除くものが理学療法です。リハビリの基本ともいえる内容で、高齢者の自立をサポートするのにも役立ちます。
【脳血管障害の作業療法】
介護施設での生活に不可欠な着替え、食事、排泄、入浴などを自立して行うためのものが作業療法です。場合によっては、高齢者のために開発された柄の太いスプーンを使用したり、自助道具を使ったりといった工夫を取り入れて行うこともあります。
【脳血管障害の言語療法】
予防としての言語療法では、忘れてしまった単語を思い出せるように、書く作業や簡単な課題を行い、コミュニケーションの反応を導きます。またグループ訓練をして、コミュニケーションを活性化することも、認知症予防に効果があるそうです。
【転倒予防】
転倒したことで骨折をしてしまい、寝たきりになってしまう高齢者も少なくありません。予防には、下肢筋力強化が大切になってきます。柔軟体操、ウォーキング、エアロビクス、などでもある程度の効果が期待できますが、元気な高齢者にはジョギング、水泳、テニス、バレーボール、ゲートボールなどをすすめても良いでしょう。

コミュニケーションは高齢うつ予防になる

高齢者にとって、心の病も深刻な問題です。高齢うつ予防のためには、家族、友人、近隣の人など、社会的な絆を持っていることも重要とされています。メールで離れた家族と、やりとりをしている高齢者も増えてきているでしょう。しかし、最近の研究では、間接的なやりとりでは不十分なことが分かっています。1人暮らしの高齢者もデイサービスや町内会等、コミュニケーションの機会をできるだけ多く持つようにしましょう。

高齢うつ予防には対面のコミュニケーションを

アメリカのミシガン大学では、50歳以上を対象とした「健康と対面コミュニケーション」に関して、長年にわたって研究をしていました。それによると、対面でのコミュニケーションの機会が多い人は、少ない人に比べて、高齢うつになるリスクが小さいということです。一方で電話・手紙・メールなどは、高齢うつのリスク増減に影響が少ないことが分かっています。

また「誰と対面すると効果的なのか」は、年齢によって異なっており、50~69歳では友人、70歳以上では親族が良いとされています。もし、高齢者を介護施設に預けたとしても、家族が顔を見せることは大切です。

「リハビリ」という言葉は、病気からの回復していく様子をイメージする方もいらっしゃるでしょう。しかし、リハビリは病気の予防にも大きな効果を発揮するのです。高齢者の心身の健康を守り、生涯にわたって生活の質を維持できるよう、積極的にリハビリを取り入れることが大事になります。どのような予防リハビリを行っているのか、施設を探すときは確認するようにしてみてください。