認知症による介護拒否にはどうすべき?原因や具体的な対処法をご紹介します!

認知症の全知識

認知症になると認知機能が低下することで、気持ちをうまく伝えられなくなったり、物事が理解できなくなったりし、介護が必要な場面でも拒否されることがよくあります。

大切な人だからこそ、拒否されると辛いですし、しっかりと介護を受けて欲しいものですよね。

この記事では、介護拒否の原因や対処法などをお伝えします。

介護拒否が起こる原因

介護拒否をされてしまうと、スムーズな介護ができなくなります。
ここではなぜ介護拒否をするのか、どんな事にストレスや不安を感じているのか探っていきます。

認知症による認知機能の低下

認知症が進むと脳の認知機能が低下し、「なぜ介護を受けないといけないのか」が理解できない場合があります。

なぜ着替えないといけないのかがわからない場合には、突然服を脱がされてしまうと感じてしまったり、食事が食べ物であることがわからない場合には、何を口に入れられるのか強い不安を抱えてしまったりするでしょう。

また、初めは理解していたのに途中で忘れてしまう事もあります。
「何のために何をするのか」と介護内容の理由を複数回伝えましょう。

介護されることへの抵抗感

介護をされることに抵抗感があり、「介護されるなんて情けない」「こんなことまでしてもらって申し訳ない」という気持ちから介護を拒否することもあります。

認知症により徐々にできることが少なくなっていくもどかしさや恐怖心、ありがたいと感じると同時に心苦しさも感じてしまっているのかもしれません。

体調不良

認知症になると自分の体調に異変を感じても適格に伝えることが難しくなります。

疲れているのにお風呂をすすめられた、入れ歯が合わなかったり口内炎があったりして口の中が痛いのに食事をすすめられた、などのケースが考えられます。

薬の副作用

認知症により処方されている薬の副作用で過度に眠気を感じたり倦怠感を持っていたりする場合があります。

このような場合も、前述のように自分自身の体の調子をうまく伝えられず、介護を拒否してしまうのです。

介護拒否をしやすい人の特徴

介護を拒否する理由は人によってさまざまです。
どのような特徴の人が介護拒否をしやすいのか、ご紹介します。

羞恥心が強い

介護の場面では、着替えや入浴、排せつの介助は欠かせません。
しかし本来、これらの行為はとてもプライベートなものです。
特に異性の介護者の場合には、羞恥心が強まることもあるでしょう。

また、「オムツを替える」「汚れているので服を着替える」などの内容を人前で言われてしまうと抵抗を感じるケースもあります。

プライドが高い

今まで自立した生活を送ってきた人は、介護されることや付き添いをされること自体に嫌悪感を抱くことがあります。

「今まで自分のことは自分でしてきた。介護など受ける必要などあるはずがない」というプライドがあり、今のご自身の状況に戸惑っているのかもしれません。

また、尿失禁をしてしまったという経験から水分摂取をしなくなったり、汚れた下着を見られたくないという気持ちから着替えを拒否したりするというケースもあります。

介護拒否に対する対策・対応方法のポイント

人により拒否する介護の種類や理由は異なりますが、すべてにご本人なりの理由があります。
ご本人の気持ちに寄り添い、理由を一緒に探って対応することが重要です。

それでは、介護拒否に対する対策・対応のポイントをお伝えします。

入浴を拒否する

介護拒否の中でもよくあるケースです。
入浴を拒否するのは、裸を見られることに対する羞恥心や、これまでの生活習慣と異なるなどの理由が考えられます。

介助者を同姓にしたり、可能な場合には一緒に入浴をしたり、家族での対応が難しい場合にはデイサービスや入浴サービスなどを活用するなどの方法があります。

着替えを拒否する

脳の認知機能の低下により、着替える意味がわからなくなってきた場合には服を脱がされることに羞恥心や恐怖を感じてしまうことがあります。

拒否されたからといって、無理矢理着替えさせてしまっては信頼関係を損ないかねません。
「清潔な服に着替えてさっぱりしましょう」「服を洗濯するために着替えましょう」などの声掛けを何度か行い、「何のために着替えるのか」を明確に伝えて了承を得てから着替えさせるようにしましょう。

食事を摂らない

認知症の症状が進むにつれ、食べ方がわからなくなったり、食べ物自体が理解できなくなったりする場合があります。
このような場合には、介護者が一緒に食事をして食べ方をまねしてもらう方法が有効です。

また、体調が悪くないか確認することも大切。
食欲そのものがなかったり、高齢になって入れ歯が合わなくなってきていたり、口内炎ができていたりなど、体調不良といってもさまざまな可能性が考えられます。
このような場合には、かかりつけ医に相談してみましょう。

薬を拒否する

薬を拒否する場合、飲みにくいことが原因かもしれません。
医師に相談すれば、飲みやすい形状に変更してくれることもあります。
服薬をやめてしまうと持病を悪化させる可能性もありますので、まずは医師に相談してみましょう。

デイサービスを拒否する

デイケアやデイサービスなどの外出を拒否することもよくあります。

今から行く所がどのような場所なのか理解ができない場合には、施設の写真などを見せて楽しく有意義で安心できる場所だということを感じてもらいましょう。

また、デイサービスなどの施設との相性が悪い場合も考えられます。
ご本人も家族にとっても負担が大きい場合には、思い切って施設を変更するという選択肢も考えましょう。

まとめ

介護を拒否するには、ご本人なりの理由があります。

拒否されてしまうとショックを受けたりイライラしてしたりしてしまうこともあるかもしれませんが、無理強いすることは不安を増長させてしまうだけです。

介護者の価値観や意見を押し付けるのではなく、相手の気持ちに寄り添い不安を解消するよう意識しましょう。