高齢者で認知症の声かけの仕方とは

認知症の全知識

介護をしている認知症の方に声かけをする際には、注意が必要になってきます。注意すべきポイントが分からないと、どのようにしたらいいのか悩んでしまうこともあり、デリケートな問題と言えるでしょう。認知症の方との接し方についてまとめました。

認知症の方への接し方

認知症の高齢者の方は、自分の主観が強く、現実とズレのある主張をすることも珍しくありません。間違っていたとしても、無理に正そうとするのは、あまりおすすめできません。

その理由は、認知症の方は「自分が受け入れてもらえない」と感じたとき、より強く自己主張する傾向があるからです。高齢者の方が何を望んで、どのようなことを言っているのか考え、優しく対応するように心がけましょう。

認知症の症状によって話しかけ方を変える工夫を

認知症の方への声かけの仕方は、症状の進行具合により臨機応変に変える必要があります。例えば、話をしていて同じ質問を何度もされたとしても、怒らずに答えるようにしてください。娘と勘違いされた場合は、否定せずに娘になりきりましょう。また90歳の方が30代の時代に戻っているような内容だったとしても、そのまま話に耳を傾けて、共感するようにしてください。

失語症を伴っている方は、伝えたい言葉が浮かばない、思っていることと違う言葉を口にしてしまうといった症状があります。意味が通じなく、分からないことを言っていることも多々ありますが、否定せずに受け入れて、相手を安心させるようにすることが大切です。

言葉以外のコミュニケーション方法

認知症が進行すると、言葉を使うのが難しくなってしまう場合があります。そのような段階でも、ジェスチャーやスキンシップなどで意志を伝えることは可能です。スキンシップの一例として、声かけをしながら必ず微笑み、軽く手に触れてみるといったものがあります。言葉は伝わらなくても、誠実に接することで気持ちを伝えることができるでしょう。

子どもを相手にするように豊かな表情で、ジェスチャーを交えながら話しかけるというのもひとつの方法です。ただし、人によっては子ども扱いを嫌う方もいらっしゃいます。高齢者の嗜好に合わせて、相手の尊厳も守るように配慮しましょう。

認知症で徘徊している人を見つけた場合の声かけ

街で徘徊しているであろう方を見かけた際にも、声かけに注意が必要です。けっして驚かせることのないようにしましょう。

【声かけを判断するポイント】
徘徊中の認知症の方かどうか判断するには、次のようなポイントが手がかりになります。
  • 夜中、早朝などに1人で歩いている
  • 雨の中、傘もささずに歩いている
  • 季節に合致しない服装をしている(例:パジャマのまま・ボタンの掛け違いをしている等)
  • 手ぶらで歩いている
  • 初対面なのに人懐っこく話しかけてくる
  • 同じところを何度も行ったり来たりしている
【声かけする際の注意点】
徘徊している認知症の方は、目的もなく歩いているのではありません。「ここがどこか分からない」と迷っている場合や、「誰かを探さないといけない・何かをしなくてはいけない」という思い込みをしている可能性があります。不安と混乱を抱えやすい状態に陥っていることがあるため、声かけには「急がせない・驚かせない・自尊心を傷つけない」の3つを心がけるようにしましょう。
【声かけをする際の方法】
徘徊中の認知症の方は、以下のように接するようにしましょう。
  • ゆっくり近づく
  • 相手の視野に入ってから話しかける。背後からの声かけはNG
  • 「こんにちは」などの普通の挨拶から「何かお困りですか?」と、優しく声かけする

認知症の高齢者の方は意志疎通が不可能と誤解されがちですが、元気な方以上にコミュニケーションを必要としています。ゆっくりと、丁寧に、相手を尊重するような声かけを意識しましょう。