認知症患者のトイレの失敗を予防するには?

認知症の全知識

認知症の症状が進行すると、尿失禁の症状が出たり排尿障害になったりします。また、トイレに関する問題も出てきます。トイレに関するトラブルを予防するためには、生活のなかで工夫や注意が必要です。ここでは、認知症におけるトイレトラブルを予防する方法や注意点について紹介します。

排尿障害の原因とは

尿が出にくいときや尿が漏れるといった排尿障害の一つに、失禁があります。尿失禁は自分の意志とは関係なく、尿が漏れてしまう症状です。考えられる原因としては、歩行が困難でトイレに間に合わなかったりするADLの低下があげられます。また、排尿動作がゆっくりで時間がかかってしまい、尿失禁となることもあります。ほかにも認知症の影響によるものも多いようです。

認知症の影響による場合は、認知機能が低下していることが原因で排尿障害が起こると考えられます。トイレに行きたくても、それをうまく伝えることができない場合やトレイの場所が分からないことが理由としてあげられます。ほかにも、使用方法が分からないことや、トイレに行くこと自体を忘れてしまうこともあるようです。また、トイレに行きたいという感覚を認識できなかったり、トイレではない場所で排泄してしまったりすることもあります。

トイレの場所を分かりやすくする

認知症の排尿障害を予防する方法として、トイレの場所を分かりやすくする方法があります。いつもとは違った場所に来ると、トイレが分からなくなることもあります。明るさの違いや時間帯だけでなく、方向や距離が分からないため、トイレに行けなくなることも考えられます。

対策としては、「トイレ」の文字を大きく表示し、ドアに貼っておくといいでしょう。文字だけで不安な場合は、トイレのイラストやマークも描いておきましょう。普段見慣れている表示がおすすめです。トイレの方向を示す目印や手すりをつけることで、トイレに導いてあげることも一つの方法です。まずは簡単にトイレに行けるような工夫をしてあげましょう。

着脱しやすい服にする

認知症の症状が進むと、服を脱ぐ行為自体を忘れてしまうことがあります。ボタンの外し方やつけ方、ファスナーの使い方なども分からなくなってしまうケースもあります。そのため、トイレに行けたとしても、着脱できずに失禁してしまうということもあるのです。

服のせいで失禁をしないためには、着脱しやすい服を選ぶといいでしょう。ボタンやファスナーを使わずに簡単に着脱できて排泄しやすい服を選ぶことが重要です。

夜は灯りをつけておく

夜は分かりやすいように、廊下やトイレ付近に灯りをつけておきましょう。灯りがないと、距離感がつかめず場所が分かりにくくなります。トイレまでの道は、できるだけ照明をつけて明るくしておきましょう。足元を照らすライトも有効です。また、つまずかないように廊下には物を置かないようにしましょう。

可能であれば、トイレに近い部屋へ移動するといいでしょう。また、トイレの鍵にも注意が必要です。内側から鍵をかけてしまうと、何かあったときに外から開けられなくなる場合があります。鍵の使用には注意しましょう。

認知症の方のなかには、トイレが不快な場所であると思い込み、トイレ以外で用を足してしまうケースがあります。その場合は、照明や室温に気をつけることで、トイレが不快な場所ではないことを示してあげるといいでしょう。

認知症が進行したとしても、トイレに関する失敗は本人にとってプライドが傷つくことが多いです。失敗したとしても、怒ったり間違いをきつく指摘したりせずに優しく対応するようにしましょう。尿失禁をしたとしてもすぐにオムツにするのではなく、できるだけトイレを使えるようにサポートすることが大切です。