飲み物で認知症の予防はできる?

認知症の全知識

緑茶や紅茶、野菜や果物のジュース、コーヒーにお酒など、私たちの周りには多くの種類の飲み物があります。健康に良いと言われているものもありますが、認知症の予防の効果があるのはどんな飲み物でしょうか?なかには、高齢者の身体にとって悪い成分が含まれていることもあります。飲み物にまつわる、認知症予防に役立つ知識をご紹介しましょう。

1日2杯の緑茶で認知症予防

日本に住んでいて一番身近な飲み物と言えば、やはり緑茶です。もともと緑茶に含まれる、ビタミンCやカフェイン、カテキンなどは健康に良いとされています。特に、カテキンに含まれている「エピガロカテキンガレート」という成分は、抗菌作用や抗酸化作用に優れているのです。この成分は、アルツハイマー型認知症の発症に繋がる「アミロイドβ」にという物質に対して、働きかける作用があります。

また、緑茶に含まれるアミノ酸の一種「テアニン」には、ストレス軽減作用があります。テアニンによって、ストレスによる脳の老化、認知症進行の抑制に繋がると言われています。70歳以上の日本人を対象に調査を行ったところ、緑茶を1日2杯以上飲む人とそうでない人とでは、認知症の発病率が2分の1となったことが報告されているのです。

果物・野菜ジュースはアルツハイマー病に効果がある

果物や野菜のジュース・スムージーなどは、美容やダイエットへの効果の期待があり、習慣にしている方も多いでしょう。アメリカ・ワシントン州で行われた調査によれば、果物・野菜のジュースは、アルツハイマー病の発病抑制効果があると発表しています。

また、果物や野菜のジュースを1週間に3回以上飲んでいる人は、1週間に1回以下の人より76%アルツハイマー病になりにくいことが証明されました。また、1回もしくは2回飲む人は、発症率が16%低いと言われています。

調査に関わった医師によると、果物や野菜のポリフェノールが、認知症の抑制に関係しているのではないかと推測しているようです。しかし、アルツハイマー病と食事・サプリメントとの関係における研究結果と一致しない点もあるため、引き続き研究調査が進められています。

1日3杯のワインでアルツハイマー病を予防する

日本でも人気があるワインですが、赤ワインに含まれるポリフェノールが身体にいいと言われています。ワインと認知症の関係について、フランスのボルドー大学が行った疫学調査では、一定量のワインを毎日飲み続けることで、アルツハイマー型認知症の予防効果が期待できることが分かったそうです。

数年にわたった調査の結果として、グラス3~4杯のワインを毎日飲んでいる人と、全く飲まない人を比較すると、アルツハイマー型認知症の発生率が4分の1に抑えられていたのです。これは、赤ワインの原料であるブドウの皮や種に含まれる「ミリセチン」という成分による効果だと考えられています。

一方で、アルコールと認知症の関係では、飲み過ぎてしまう人やアルコールに弱い人は、認知症になりやすいということも言われています。適度な飲酒がもたらす健康への効果はあるかもしれません。しかし、飲酒習慣のない人が健康のために飲酒することは、現段階では推奨されていません。

どれも期待であり、確実ではない

上記の他にも、コーヒーや紅茶といった飲み物と、認知症の関係についての研究は行われているようです。ただし、いずれも特定の飲料にのみ着目した調査や研究であり、多角的な検証が行われているとは言えません。また、その根拠となる物質についても、詳細な研究が続けられているものがほとんどで、確実とは言い切れない部分もあります。

認知症予防については情報が多く存在しています。飲み物やその成分で効果があるものも、まだ医学的・科学的な研究が十分ではないため、鵜吞みにしすぎるのは避けましょう。普段からお茶を飲んでいる人や、野菜と果物のスムージーを毎朝作っている人は、習慣を続けてみてもいいかもしれません。