認知症の全知識
老後は誰にも訪れるものですが、その老後を健康に過ごしたいと考えている方も多いでしょう。一般社団法人認知症予防協会では、「45歳以上からの運動習慣」を予防として勧めています。どういった運動がいいのか、運動と認知症の関係についてご紹介します。
有酸素運動が与える認知症予防の効果とは
認知症予防には、有酸素運動が効果的であるとされています。有酸素運動は、脂肪や糖質をエネルギーに変えながら行う、軽めの運動です。ジョギングやウォーキング、水泳やエアロビクスなどが代表的なものとして挙げられます。
有酸素運動を行うと、血中の酸素濃度が上昇し、血液が脳に送られることで、ニューロン(神経細胞)が新しく作られます。ニューロン同士を結び付けるシナプスは、酸素量が多いと活発になり、記憶力が鍛えられます。
このように、有酸素運動は脳と身体の両方に良い影響があり、認知症予防に繋がっているのです。ウォーキングやジョギングなどは、年齢や性別に関係なく簡単に取り組めるでしょう。またこれらの運動は、肥満や高血圧、メタボリックシンドロームの予防にも繋がっており、認知症の予防と深く関わりがあると言われています。
運動のやり方
毎日30分~1時間程度、もしくは週1~2回の有酸素運動を行うことが、推奨されています。運動を継続して行うことで、脳の神経細胞を活性化し、認知症になりにくい丈夫な脳を作ることができます。ただし、運動の習慣のない方は無理をせず、1日10分程度を目安に、気分転換を兼ねた軽い運動から始めましょう。
認知症予防に効果的なウォーキングの歩数とは
特別な準備が必要ないウォーキングは、運動習慣のない方にもおすすめです。歩きやすい靴と、汗を吸収しやすい服やタオルを用意しましょう。ウォーキングを行う場所は、近所の公園や交通量の少ない道路などで構いません。リラックスも兼ねて、自分が楽しんで歩ける場所を選ぶといいでしょう。時間は、1日30分程度が適度だと言われており、10分を3セットという方法でも構いません。歩数としては1万歩が理想と言われていますが、約5000歩が適度な運動といえるでしょう。
また認知症予防の効果をより高めるには、運動をしながら脳を使った方が良いでしょう。しりとりや簡単な足し算・引き算をしながら歩いたり、友人と会話しながら歩いたりといったウォーキングがおすすめです。暑い季節には、熱中症や熱射病にならないように気を付けましょう。対策として帽子を被ること、いつもより休憩を多めにとること、こまめに水分を補給することなどを心がけてください。
運動のし過ぎは逆効果になる
運動がもたらす認知症予防の効果についてご紹介してきましたが、運動量過多にならないよう注意が必要です。例えば、身体に大きな負担がかかる運動を行うと、筋肉が損傷します。その際、筋肉を修復するために、活性酸素が発生します。増えすぎた活性酸素は、新陳代謝を悪化させ、疲労が溜まってしまうのです。このようにして、健康のための運動も負担が大きすぎると、ストレスを与えることになり、逆効果になってしまいます。
また、循環器系や呼吸器系に疾患がある人や、腰痛や膝関節の痛みなどの持病がある方も、無理してはいけません。主治医や専門医に相談しながら、それぞれに合った運動を適度に行うようにしましょう。
普段身体を動かす習慣がない方は、運動を億劫と感じ、楽しめないと考える方もいらっしゃるでしょう。例えばウォーキングであれば、買い物ついでや散歩の延長として行うことができます。運動をしていると、近所の方とコミュニケーションをとったり、仲間ができたりと、人との交流の機会も得られます。運動しながら会話することは、認知症予防により効果的です。ぜひ毎日の生活に取り入れましょう。