認知症には口腔ケアが効果的?
認知症の全知識
認知症には口腔ケアが効果的?
認知症の方には「口腔ケア」が認知症の予防になると言う事で近年注目を集めています。口腔ケアとは一体どんなケアなのかと言うと、口の中を清潔に保つことで、口腔内だけでなく体全体の健康を保つケアのことを言います。
この口腔ケアとは、実は介護が必要な高齢者が増加して高齢化社会が進んだために生まれた言葉となっています。そのため保健や医療、福祉の分野に浸透してきました。実際に高齢者の口腔内には様々な問題が発生しています。その例として高齢者の口腔はどのような状態にあるのか具体的に説明します。
- ・自浄作用の低下
- 口の中には「自浄作用」があります。唾液の力で歯の表面や舌、粘膜に付いた汚れや細菌を洗い流し、清潔に保つというものです。しかし、身体機能が衰えて唾液の分泌量が減っている高齢者の口腔内は、自浄作用が低下している状態になっており、意識してきれいに保つ必要があります。
- ・虫歯や歯周病が多い
- 加齢によって歯茎が下がり歯の根元が露わになると、そこから虫歯になりやすくなります。また、高齢者の口腔内は先ほども説明した通り、自浄作用が弱まっているため、本来は唾液で洗い流されるはずの細菌が増殖し、歯周病にもかかりやすい状態です。加齢による免疫力の低下も、虫歯や歯周病菌が増える原因の一つです。
認知症と口腔ケアの関係性
日本老年医学会による「認知症患者の歯科的対応および歯科治療のあり方:学会の立場表明 2015.6.22版」によると下記のような記載があります。
“65歳以上の健常者を対象として、歯と義歯の状況を質問紙調査し、その後4年間、認知症の認定状況を追跡した結果、年齢、疾患の有無や生活習慣等に関わらず歯がほとんど無く義歯を使用していない人は、20本以上歯を有する人と比較して、認知症発祥のリスクが高くなる事が示され、ほとんど歯が無くても義歯を使用している人は認知症の発症、予防と言う視点からは、口腔衛生、歯の喪失、咀嚼能力の低下などの口腔の要因と認知症との関連を示唆する報告もある”
と言う記載があります。
どちらにせよ口腔ケアは高齢者に必要
認知症の予防という観点だけでなく、高齢になってくると自浄作用の低下や虫歯や歯周病が多くなることからも口腔ケアは必要だと考えられています。また、噛むという行為そのものによって脳が活性化するという研究結果も出ていますので、どちらにせよ高齢者に対する口腔ケアは必要だと言えます。