老人ホーム・介護施設の選び方
本記事では、老人ホームの体験入居のメリット・デメリット、チェックすべきポイント、体験入居する際の日数と費用の目安などを詳しく解説します。
「老人ホームの入所を検討しているけれど、体験入居は必要なの?」と考える方は多いものです。最後まで読み終えていただければ、希望する条件にぴったり合う老人ホームでの体験入居が行えます。老人ホームの体験入居を検討中の方は参考にしてください。
【この記事でわかること】
● 老人ホームを体験入居するメリット ● 老人ホームを体験入居するデメリット ● 老人ホームを体験入居する際にチェックすべきポイント ● 老人ホームを体験入居する際の日数と費用はどの程度なのかの目安 ● 老人ホームの体験入居で受けられるサービス ● 老人ホームの体験入居に関するよくある質問 |
老人ホームを体験入居するメリット
老人ホームへの入居を検討している方が体験入居することで、どのような施設なのか分かります。老人ホームを体験入居する具体的なメリットは、次の通りです。
- 実際のサービスを体験できる
- 入居者からの情報が得られる
- においや生活音を知れる
上記3つのメリットについて詳しく紹介していきます。
実際のサービスを体験できる
老人ホームで実際に提供しているサービスを体験できると、施設の雰囲気が分かります。
パンフレットだけではわからない実際の様子が分かるのは、体験入居ならではです。
提供されているサービスが入居予定者のライフスタイルや嗜好に合っているか、しっかり確認しましょう。
また、認知症の方は新しい環境に慣れるのが苦手です。
環境の変化がストレスとなってしまい、症状が悪化してしまう可能性があります。
あらかじめ体験入居しておくことで、新しい環境に慣れやすくなるので、新しい環境への不安を和らげられるのでおすすめです。
入居者からの情報が得られる
体験入居では、他の入居者と共に食事をしたり、レクリエーションに参加したりできます。
他の入居者と直接関われるので、サービスの質や施設の雰囲気、スタッフの人柄など、詳しく話を聞ける機会が多いのは嬉しいポイントです。
新しい人間関係の中にスムーズになじめないという場合でも、スタッフが充分に配慮してくれるかもチェックしましょう。
においや生活音を知れる
体験入居で施設のにおいや生活音が分かることで、防音性や衛生状態を確認できます。
清掃が行き届いていない施設では、食事やおやつの食べ残しがテーブルや床に散らかり、生活臭が強くなりがちです。
適切に「におい対策」をしていないと、便臭や尿臭が充満している場合もあります。
隣の部屋の物音や、建物の外からの騒音も確認しておきたいポイントです。
老人ホームを体験入居するデメリット
老人ホームの体験入居では、費用が発生しています。「できるだけ費用をかけたくない」という方には、思いがけない出費と感じてしまうかもしれません。
しかし、あらかじめ体験入居することで、入居後に「想像していた生活環境と違う」と退去してしまうリスクを下げられます。
費用が発生してしまいますが、慎重に老人ホームを選ぶうえで、体験入居はおすすめです。
老人ホームを体験入居する際にチェックすべきポイント
体験入居を初めて行う方にとって、どういったポイントを押さえてチェックすべきか、悩んでしまいます。
老人ホームの体験入居でチェックすべきポイントは次の通りです。
- 設備の良さや衛生面を確認する
- 立地について確認する
- スタッフがどのような人か確認する
- 老人ホームや利用者の雰囲気を確認する
- 施設長の思いや理念を確認する
- 他の入居者の表情や様子を確認する
上記6つのポイントについて、詳しく紹介するので確認してみましょう。
設備の良さや衛生面を確認する
設備の充実や、衛生面は入居予定者の生活水準に直結します。
チェックしておきたい設備の良さや衛生面の例は、次の通りです。
- 居室は基準をクリアしているか
- 居室は生活しやすい充分な広さか
- 居室には転倒しやすい危険なものは取り除かれているか
- 廊下の手すりの設置の有無
- 車いすでも過ごせるか
- トイレの手すりや操作ボタン、ナースコールの位置は適切か
- 入居者が居室やトイレなどを汚してしまってもスタッフが迅速に対応するか
- トイレの衛生状態に配慮し、感染症予防に配慮しているか
施設見学では、実際に生活するうえでの不便さには気付きにくいものです。体験入居では、不便なく生活できるかしっかり確認しておきましょう。
立地について確認する
実際に入居を決めた後に、家族が面会に来る機会は多数あります。
そこで、立地について次のポイントを押さえておきましょう。
- 最寄駅からはどれくらいの距離があるのか
- 道路は混んでいるのか
- 上り坂や下り坂は多くないか
- 近隣に治安の悪い場所がないかなど
本人だけでなく、面会に来る方の利便性も、押さえておくべきポイントです。
また、実際に住む住環境として騒音となる原因は近くにないか、治安が悪くないかなど調べる必要があります。
スタッフがどのような人か確認する
働いているスタッフの人柄も、チェックするのがおすすめです。
スタッフの人柄を見極めるポイントを把握しておきましょう。
- スタッフの表情が生き生きとしているか
- 利用者に対してどのような態度で接しているか
- 身だしなみはしっかりとしているか
スタッフは、入居者の身の回りをサポートしてくれる存在です。どのような人柄のスタッフが働いているのかしっかり確認しておけば、入居後も安心して過ごせます。
老人ホームや利用者の雰囲気を確認する
短期間の入居でも、実際に過ごすことで施設の雰囲気が分かります。
確認しておきたいポイントは、次の通りです。
- 親しみやすい雰囲気や人間関係か
- 入居者同士は良好な関係か
- 入居者とスタッフの間には信頼関係が築かれているか
スタッフや他の入居者が積極的にコミュニケーションを取り、楽しい雰囲気であるか確認しましょう。
施設長の思いや理念を確認する
多くの施設では、施設長の思いが反映されています。
したがって、施設長の思いや理念を理解しておきましょう。
- 施設長としてどのような思いを持って運営しているのか
- 経営の理念とはどのような内容か
- 現在はどのような施設で、今後はどのように施設が変わっていくのか
入居者ファーストの目線で経営している施設がおすすめです。
他の入居者の表情や様子を確認する
過ごしやすい施設であるかは、入居者の表情から読み取れるのではないでしょうか。
そこで、次のポイントをチェックしておきましょう。
- 他の入居者の表情や様子
- 入居者は落ち着いていて穏やかに過ごしているか
- 男女の比率や平均年齢、要介護度
他の入居者と実際にコミュニケーションをとり、入居予定者が他の入居者と良好な人間関係を築けそうか、確認することも大切です。
老人ホームを体験入居する際の日数と費用の目安
老人ホームを体験入居する場合、介護保険が適用されません。
そこで、以下のポイントについて詳しく把握しておきましょう。
- 体験入居日数
- 体験入居費用
上記2つのポイントについて、解説していくので参考にしてください。
体験入居日数
老人ホームの体験入居は、1泊2日から1週間程度が一般的です。
しかし、中には1カ月行える場合があります。
体験入居したい施設に希望の期間を伝え、対応可能であるか確認しましょう。
体験入居費用
滞在した日数にかかった費用を、全額自己負担しなければなりません。
1泊2日で3,000〜20,000円程度が目安となり、施設によって異なります。1日3食の食事やおやつ、生活サービス費、レクリエーション参加費などが内訳です。
施設ごとに発生する費用が異なるため、詳しい費用について知りたい方は、施設に問い合わせてください。
老人ホームの体験入居で受けられるサービス
老人ホームでは、通常の入居と同じサービスを受けられます。老人ホームの体験入居で受けられる、具体的なサービスは次の通りです。
サービス内容 | 詳細 |
食事 | 他の入居者と同じ内容の食事が提供される |
入浴・排泄などの身体介護 | 必要に応じて入浴介助や排泄介助といった身体介護サービスを受けられる |
生活支援 | 居室の清掃や洗濯といった、生活支援のサービスが受けられる |
レクリエーション | 他の入居者と共にレクリエーションやイベントに参加できる |
リハビリテーション | 理学療法士や作業療法士など、機能訓練指導員により必要に応じてリハビリテーションを受けられる |
老人ホームの体験入居に関するよくある質問
初めて体験入居する場合、不安なことや疑問点を抱えている方は少なくありません。
そこで、老人ホームの体験入居に関して、よくある質問は次の通りです。
- 体験入居に必要な持ち物はある?
- 体験入居までの流れは?
- 老人ホームの見学と体験入居の違いは?
上記3つの質問に、詳しくお答えしていくので、不安や疑問点を解消しましょう。
体験入居に必要な持ち物はある?
体験入居に必要な持ち物は施設によって異なります。
必要な持ち物の例は、次の通りです。
詳細 | 注意点 | |
着替え | 衣類、下着、パジャマなど | ・宿泊日数や洗濯頻度に応じて持参する
・1週間以上の滞在であれば、4~5日分の着替えを持っていくと良い |
靴 | 外履き、室内履き | ・転倒予防のため、スリッパではなく踵を覆ってくれるものを選ぶ |
口腔ケア用品 | 歯ブラシや歯磨き粉、コップ、入れ歯ケースなど | ・必要に応じて準備する |
入浴用品 | シャンプー、リンス、石鹸など | ・施設で用意している場合もあるので事前に調べておくと良い |
消耗品 | ティッシュやおむつなど | ・滞在日数分用意しておく |
薬、医療器具 | 普段服用している薬や医療器具 | ・滞在日数分用意しておく |
新しいものを用意する必要はありません。
普段から使い慣れているものを持参するのがおすすめです。
また、施設側で用意している物品も調べておくと、無駄な荷物を減らせます。
体験入居前に、必要なものを施設に確認しておきましょう。
体験入居までの流れは?
体験入居は、申し込みから入居まで以下4つの手順を踏みます。
手順 | 概要 |
施設見学 | ・2~3件ほど希望の施設を探して見学する
・体験入居は費用が発生してしまうため、厳選するとよい |
申し込み | ・提出が必要な書類を用意する(健康診断書や診療情報提供書など)
・申込金が必要になる場合がある |
面談・入居審査 | ・入居予定者の健康面や日常生活の過ごし方について面談を実施
・体験入居の過ごし方に関して希望があれば伝える |
体験入居 | ・必要な日用品や健康保険証などを用意する
・スタッフの対応や他の入居者の様子、サービスの内容や質を確認する |
体験入居後、施設が気に入った場合は、本契約を結び、正式に入居します。複数回に渡って体験入居できる施設もあるので、慎重に判断したうえで入居したい方は施設に要望を伝えましょう。
老人ホームの見学と体験入居の違いは?
見学と体験入居の違いは、訪れる目的が異なります。
- 見学:老人ホームを比較して入居を検討する
- 体験入居:契約前の最終確認として施設の雰囲気や設備、サービスを体感する
入居を検討したい老人ホームをいくつか見学し、希望する条件や目的にぴったり合う施設が見つかったら、体験入居する方法がおすすめです。
もしも複数の施設で体験入居する場合、最も優先したい条件を改めて確認し、入居を決定しましょう。
老人ホームの体験入居を利用して自分に合った施設を選ぼう
施設見学後、入居を検討したい老人ホームが見つかった際、すぐに入居を決めてしまうのはおすすめできません。
老人ホームを体験入居することで、施設・スタッフ・入居者の雰囲気や、生活の利便性など、多くのことが分かります。
ただし、発生する費用は、介護保険適用外で全額自己負担になってしまうので、注意が必要です。
実際に入居したい施設に絞ったうえで体験入居を申し込み、希望する条件や目的にぴったり合う老人ホームであるか、しっかりと見極めましょう。