老人ホーム・介護施設の選び方
「老人ホームは自由に外出しても大丈夫なの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、老人ホームで外出や外泊が制限されるケースや、注意点などについて詳しく解説していきます。
この記事を最後まで読んでいただけたら、老人ホームにおける外出・外泊に関するルールが分かり、入居後の不安を解消することに役立ちます。
老人ホーム入居後も外出や外泊を楽しみたい方は、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
● 老人ホームで外出や外泊は自由? ● 老人ホームで外出や外泊が制限されるケース ● 老人ホームで外出や外泊する際の注意点 ● 老人ホームで外出や外泊に関するよくある質問 |
老人ホームで外出や外泊は自由?
老人ホームでは、外出や外泊は基本的に自由とされており、家族との旅行や外食を楽しめます。
特に、サービス付き高齢者向け住宅やシニアマンションは住宅型の老人ホームであるため、好きなタイミングで外出や外泊が可能です。
その他の施設であれば、あらかじめ外出・外泊届を提出しておく必要があります。
しかし、中には入居者の安全を守るためにルールが設けられていたり、条件付きでなければ外出や外泊ができなかったりするケースも少なくありません。
また、入居者の状態によっては、外出や外泊を制限されてしまう場合もあります。外出や外泊時は、施設ごとに設けられているルールや条件を確認しておき、しっかり守ることが大切です。
老人ホームで外出や外泊が制限されるケース
老人ホームでは、入居者が安全に生活するためのルールとして、外出や外泊を制限している場合があります。老人ホームで、外出や外泊が制限されるケースは以下の通りです。
- 認知症の場合
- 家族の付き添いがない場合
- 外出や外泊に長期間要する場合
- 日常的に医療措置が必要な場合
上記4つのケースについて詳しく解説していくので、当てはまるものがあるかチェックしましょう。
認知症の場合
外出や外泊といった外部からの刺激は、脳の活性化につながり、認知機能の維持に役立ちます。
しかし、認知症は環境の変化に弱く、戸惑いから混乱を生じてしまう恐れがあるため注意が必要です。
普段の行動範囲から外れることで混乱し、興奮したり、夜間眠れなくなったりといったケースも考えられます。
認知症の症状が比較的軽度の方であれば外出を許可されるケースが大半ですが、重度の方の場合外出や外泊を制限されてしまうかもしれません。
家族の付き添いがない場合
要介護認定を受けている方の場合、身の回りのサポートを必要としている状態であるため、家族の付き添いがないままでの外出は難しいです。
ただし、「特別養護老人ホーム」や「介護老人保健施設」といった比較的介護度の高い入居者が多い老人ホームは例外となります。
家族の付き添いの有無にかかわらず、外出や外泊を認めていない施設もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
外出や外泊に長期間要する場合
週単位で、長期間外泊を認めていない老人ホームもあります。
年末年始やお盆といったイベントの際に、家族と長期間過ごしたい場合は、注意が必要です。
特に特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護付き有料老人ホームでは、1日の利用料と滞在日数によって、介護報酬が給付されます。
入居者が長期間外泊していると給付額が減ってしまうので、1カ月あたりの外泊日数を定めている場合も少なくありません。
あらかじめ入居希望先の老人ホームが、月ごとの外泊日数を定めているのか、把握しておくとよいです。
日常的に医療措置が必要な場合
継続して医療措置を必要としている人は、医学的に管理・処置できる医療従事者の付き添いがなければ、長時間の外出や外泊は困難です。
やむを得ない事情で外出・外泊しなければならない場合は、入居者の体調が悪化するリスクを把握したうえで検討しましょう。
また、看護師に同行してもらったり、医療処置に対応してもらえる環境を整えたりすることで、施設側から外出や外泊の許可が下りる場合があります。
老人ホームで外出や外泊する際の注意点
老人ホームに入居している高齢者の多くが、加齢に伴う体力の低下や認知症といった健康不安を抱えています。
そのため、外出や外泊時には、できるだけ身体に負担をかけないように環境を整え、緊急事態に備えることが大切です。
老人ホームで外出や外泊する際の注意点は以下の通りです。
- 移動手段を決めておく
- 老人ホームの食事が必要かどうか事前確認しておく
- 目的地の医療機関を把握しておく
- 心身に負担をかけないように注意する
- 常備薬を忘れないように注意する
上記5つの注意点について解説していくので、安全な外出・外泊にお役立てください。
移動手段を決めておく
外出・外泊中はスムーズに移動できるように、移動手段を決めておくとよいでしょう。
人混みの中を移動したり、長時間歩いたりするのは、高齢者の身体に負担をかけて疲れさせてしまう原因となります。
そのため、事前申請することで利用できる「介護タクシー」の利用を検討しましょう。
運転手は介護関連の有資格者であるため、安全な走行が期待できます。また、リフト付きの介護タクシーなら車いすのまま乗り降りできるため、家族の負担もかかりにくいといえます。
自分で歩ける人向けに、軽自動車タイプや普通自動車タイプもあり、幅広い介護度の方が利用できるのでおすすめです。
老人ホームの食事が必要かどうか事前確認しておく
外出や外泊によって食事サービスが不要の場合、あらかじめ伝えておく必要があります。
連絡を忘れてしまうと通常通りに食事の支度が行われるため、摂っていない食事の料金も請求されてしまいます。
「当初の予定よりも施設に戻る時間が遅くなりそう」「急遽家族で食事を摂ることになった」などの予定の変更によって、食事がいらなくなった際も、分かった時点で早めに連絡しましょう。
目的地の医療機関を把握しておく
外出・外泊中の緊急事態を想定して、あらかじめ受診できる医療機関を調べておくと安心です。
特に持病のある方や、医療処置が必要な方は、外出・外泊中に体調を崩してしまうケースは少なくありません。
もし、外出・外泊先に受け入れ可能な医療機関がないようであれば、目的地の変更も視野に入れましょう。
心身に負担をかけないように注意する
外出や外泊は楽しみや喜びも感じる一方で、慣れない環境によって思いがけず心身に負担をかけている可能性があります。
なるべく生活リズムを崩さないように心がけ、体調に変化が見られないか注意深く観察しましょう。
常備薬を忘れないように注意する
持病や体調管理のために常用している内服薬がある場合は、施設から受け取っておき、外出・外泊中に用法容量を守って服用しましょう。
普段から服薬の習慣がない場合、飲み忘れにつながるので、携帯のアラームを利用して服用時刻をセッティングしておくのがおすすめです。
老人ホームで外出や外泊に関するよくある質問
最後に、老人ホームでの外出や外泊に関するよくある質問を紹介します。
- 入院は外泊扱いになる?
- コロナ禍でも外出・外泊できる?
- 老人ホームで外出禁止になるケースは?
順番に回答していきます。
入院は外泊扱いになる?
入居者が入院しなければならなくなった場合、外泊という扱いにはなりません。
提携している医療機関に入院するケースが大半であり、老人ホームからは日用品の支給といった生活支援を受けられます。
そのため、不在であっても月額の利用料を支払う必要がある点に注意が必要です。
また、入院中に退去を求められず、居室をキープしておいてくれる施設があれば、施設で定めた期限内に退院の目途が立たない場合に退去を求められる施設もあります。
入院中に退去の必要性が出てくる施設なのか、あらかじめ情報収集しておくとよいでしょう。
コロナ禍でも外出・外泊できる?
厚生労働省によると、コロナ禍であっても「三密」の回避、マスクの着用、手洗いといった基本的な感染対策を行った上での外出は可能としています。
生活に必要であると認められている外出の例は以下の通りです。
- 医療機関への通院
- 食料や医薬品、生活必需品の買い出し
- 屋外での運動や散歩
サービス付き高齢者向け住宅やシニア向け分譲マンションに入居している場合、コロナ禍による外出や外泊の制限によって、日常生活に支障をきたすことはないといえます。
一方、住宅型ではない老人ホームに入居している方は、施設ごとに面会の受け入れの可否を決定する方針となっています。
感染予防のためにオンラインでの面会を設けていたり、対面でも適切な感染防止対策を行った上で面会が行われたりするケースは少なくありません。
感染症対策に関する詳細なルールは施設によって異なるので、施設のホームページを確認したり、電話で問い合わせたりしましょう。
老人ホームで外出禁止になるケースは?
老人ホームで外出禁止になるケースは、施設の玄関が空いていない時間帯です。夜間は防犯上の理由により、施設の玄関が空いていないことが多く、自由に出入りできません。
夜間に施設を出入りする場合、外泊の扱いになるため、あらかじめ申請しておく必要があります。
また、重度の認知症の方一人での外出が難しいといった理由から、外出に制限がかかる方もいます。外出の制限や禁止をめぐって施設側とトラブルが起こらないように、施設と話し合っておくと安心です。
老人ホームでの外出や外泊は事前確認を怠らずに
老人ホームでの外出や外泊に関するルールや条件は、施設によって異なります。安全に外出や外泊を楽しむためには、制限されるケースを事前に確認しておくことが大切です。
老人ホームに入居すると、趣味の時間や地域・友人との交流を諦めてしまう人は少なくありません。外出や外泊によって、家族との団らんや買い物、散歩といった日常を楽しみながら、認知機能・身体機能の維持・向上に役立てましょう。