保証人や身元引受人がいない場合は?
身元引受人がいない場合は老人ホームに入居できる?2つの対策を徹底解説

老人ホーム・介護施設の選び方

介護施設の中には、身元引受人書類の提出を求められるところもあれば、不要なところもあります。

そのため、身元保証人を頼める人がおらず、実際に身元引受人書類が用意できない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、身元引受人がいない場合は老人ホームに入居できるのか、対策なども含めて解説していきますので、それぞれチェックしていきましょう。

そもそも身元引受人とは?

身元引受人というフレーズはよく聞く用語ですが、実は法的に決められた用語ではありません。

身元引受人とは、介護施設または病院から退所する際に、身元を引き受ける責任を持っている方という意味で使用される用語です。

ここでは、以下4つのポイントに分けて紹介します。

  • 身元引受人の条件
  • 身元引受人と身元保証人の違い
  • 身元引受人が必要な理由
  • 身元引受人が必要な老人ホームの割合は約9割

それぞれチェックしていきましょう。

身元引受人の条件

条件は利用している施設によって異なるものの、一般的に以下が挙げられます。

  • 年齢
  • 年収
  • 資産状況

施設によっては収入証明書の提出を求められることもあります。

親族はもちろん、知人でも引き受けることが可能です。

身元引受人と身元保証人の違い

身元引受人と身元保証人は、法的に区別されておらず、ほぼ同様の意味と捉えて問題ありません。

ただし、介護施設または病院など、利用する施設ごとに責任の範囲が異なる場合があるため注意が必要です。

身元引受人が必要な理由

身元引受人、および保証人の主な役割としては以下の通り。

  • 連絡先の提示
  • 入所時の手続き
  • 債務責任など

特に支払いが滞ってしまうと、施設側からすると危機管理の1つとして挙げられます。
身元引受人は責任を負う義務があるので、リスク回避として必要にしているのです。

身元引受人が必要な老人ホームの割合は約9割

老人ホームだけではなく、病院でも約9割以上が入所時に身元引受人、および保証人などを求められています。

施設等、病院の両方において、約 9 割以上が入院・入所(入居)時に身元保証人等を求めているとされている

※引用元:
平成 29 年度老人保健事業推進費等補助金
介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業報告書

身元引受人がいない場合でも老人ホームに入居できる?

身元引受人がいない場合でも、老人ホームへの入居は可能です。

近年では身元保証会社を利用する施設も多くなってきたため、身元引受人がいなくても入所できる介護施設はあります。

夫婦どちらかが先立たれ、子供も頼れる方もいないという方は少なくありません。

「老人ホームへの入居を考えているものの、保証人などは用意できない。」
そんな方は、老人ホームへの入居を検討している際に施設に相談してみましょう。

身元引受人がいない場合の対策①:成年後見制度

身元引受人がいない場合の対策として、成年後見制度が挙げられます。

  • 身元引受人と成年後見人の違い
  • 後見人に支払う報酬
  • 成年後見制度の利用方法
  • 成年後見制度を利用する際の注意点

ここでは、上記4つのポイントに分けて紹介していきます。

身元引受人と成年後見人の違い

身元引受人と成年後見人の違いとしては、身元保証ができるかどうかです。

成年後見人は基本的に月々の支払いから行政の手続き、さらには死亡時の手続きなどが可能です。

ただし、身元引受人、かつ保証会社だと場合によっては死亡時の手続きなどができないところもあります。

後見人に支払う報酬

平均報酬金額は、月額20,000円ですが、管理財産が高額だとその分報酬が上がります。
例えば、管理財産の金額が1,000万円〜5,000万円以下だった場合、月額3〜4万円と報酬がアップします。

管理財産の金額が上がれば上がるほど、基本金額が上がります。

成年後見制度の利用方法

成年後見制度を利用する際は、必ず家庭裁判所への申し立てが必要になります。

申し立てが可能な方の条件は、以下の通りです。

  • 本人
  • 親等以内の親族
  • 親族が存在しない場合は、住所地の市区町村長

さらに成年後見制度の前提として、判断能力が低下した方に向けた制度です。
申し立て前には、医師による診断が必要になるので十分に注意してください。

成年後見制度を利用する際の注意点

成年後見制度を利用する際は、柔軟な対応はあまり期待できません。

なぜなら、あくまでも財産を保護することがこの制度の大きな目的だからです。

後見人になる方は、弁護士や司法書士などの第3者なので、生涯的に報酬を支払いが発生するため費用面でも注意が必要です。

身元引受人がいない場合の対策②:身元保証会社

身元引受人がいない場合の対策として、身元保証会社が挙げられます。

  • 身元保証会社のサービス内容
  • 老人ホームと身元保証会社の提携
  • 身元保証会社を利用する際にかかる費用相場
  • 身元保証会社を選ぶ際の注意点

ここでは、上記4つのポイントに分けて紹介していきます。

身元保証会社のサービス内容

保証会社の基本的なサービス内容は、以下の通りです。

  • 介護施設への見学同行
  • 入居契約時の身分保証
  • 利用料の連帯保証
  • 緊急時の対応
  • 入退居の手続き
  • 病院の入退院手続き
  • 入院費用の保証など

身元引受人が用意できない方などのために、保証を引き受けてくれる代行企業が年々増えています。

保証会社を使用する方の理由はさまざまですが、中には子供がいるけれど家族関係が上手くいっていないために頼めないという方も少なくありません。

保証会社が身元保証人となるので、介護施設との連絡窓口になってくれます。

老人ホームと身元保証会社の提携

介護施設の中には、身元保証人を必要としないところもあります。
身元保証人を必要としない理由としては、老人ホームと身元保証会社の提携が挙げられます。

施設側は支払いの滞納などを回避することが可能なので、近年では身元保証会社と提携しているところが増えて来ました。

保証人を必要としないメリットはありますが、別途保証会社に支払う費用などが発生することもあるので注意が必要です。

身元保証会社を利用する際にかかる費用相場

身元保証会社を利用する際にかかる費用相場は、契約によって大きく異なります。
契約内容によっては、総費用が数百万円以上にものぼるところもあります。

ある程度まとまった金額を先に支払う「預託金」と呼ばれる形式を取っている保証会社も存在しています。

身元保証会社を選ぶ際の注意点

保険会社側が用意している提供サービスは、数多く存在しています。

そのため利用者本人だけで決めてしまうと、本当に必要なサービスが受けられなくなる可能性が考えられます。

サービス内容をよく理解せずに選んでしまうと、後日になって高額請求されることもあるので注意が必要です。

身元引受人に関するよくある質問

最後に身元引受人に関するよくある質問を、以下3つ紹介していきます。

  • 老人ホーム入居時の保証人になりたくない場合はどうする?
  • 老人ホーム入居時の保証人は無職でも大丈夫?
  • 身元引受人がいないまま死亡した人はどうなる?

それぞれチェックしていきましょう。

老人ホーム入居時の保証人になりたくない場合はどうする?

多くのシーンで身元保証人を求められることが多く、老人ホームも例外ではありません。

リスクが大きいというイメージから、「老人ホーム入居時の保証人になりたくない」という方は一定数存在しています。

保証人になりたくない場合は、身元保証会社を利用することをおすすめします。
本記事でも身元保証会社について紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

老人ホーム入居時の保証人は無職でも大丈夫?

失業中などで、老人ホーム入居時の保証人になれないという方もいます。

一見入所を断られてしまうことも懸念点として挙げられますが、入所希望をしている施設に1度相談してみてください。

場合によってはケアハウスなどの選択肢も取れるため、無職でも大丈夫かどうかは利用する施設次第になります。

身元引受人がいないまま死亡した人はどうなる?

身寄りがなく死後の手続きなどをしてくれる方がいない場合は、生前のうちに「死後事務委任契約」を結んでおきましょう。

死後事務委任契約とは、亡くなった後の手続きや埋葬などを委任する契約のことです。

契約内容については委任者と受任者の間で決めておけるので、身元引受人がいない方は1つの方法として覚えておきましょう。

まとめ:身元引受人が必要か老人ホームに事前確認しよう

身元引受人がいない場合に老人ホームに入居できるのかや、対策などを解説してきました。
身元引受人の有無は、利用する介護施設によって異なります。

近年では多くの介護施設が身元保証会社と連携しているところが増えてきたため、必ずしも親族などが身元引受人になる必要はありません。

また、身元保証会社ではなく、親族などが身元引受人であることを指定しているところもあります。

入所を希望している方は、身元引受人が必要かどうかを老人ホームに事前確認するようにしましょう。