小児がんの認知度向上とご家族の心のケアを。チャイルド・ケモ・ハウス 理事長・楠木重範さんのミライ

U.K.こと楠雄二朗さん(Uちゃん)と、株式会社エースタイルの谷本吉紹社長(谷さん)がDJを務めるラジオ番組「それU.K.!! ミライbridge」。

前半は、関西で活躍しているビジネスマン、アスリート、有名人をピックアップし、その方のイマまでの歩み、そして、ミライについてお話を伺うミライ・リーダーのコーナー。

第109回目も、チャイルド・ケモ・ハウス 理事長・楠木(くすき)重範さんをゲストにお招きしています!

小児がんの早期発見と治癒率は関係がない!?

小児科医をしておりまして、その中でも小児がんなどの大きい病気を持つ患者さんを中心に診ております。
神戸の方で「チャイルド・ケモ・ハウス」という、小児がんの子どもとその家族のための施設の運営もしております。

楠木さんご自身も学生の頃に悪性リンパ腫という小児がんを経験し、2年半の闘病生活をされていました。

今では昔に比べて治療が進んでおり、抗がん剤によって小児がんの約7割から8割が完治するようになっているそうです。

病気って自覚症状があったり、なにか体調に異変があって病院に行ったら発覚する、というのがあると思うんですけど、「こういう症状があったら小児がんの可能性があるよ」というのはあるんですか?

それも難しくて、普通の風邪とか腸炎とか一般的な病気の症状と同じであることが多いですね。
ただそれが普通よりちょっと症状が長いぞとか、やはりお母さんっていうのはすごくって、「この症状はいつもの風邪の症状と違う、ちゃんと調べてほしい」って来院されるところから見つかることも結構あるんです。

病気を治すためには早期発見が大事だと思われがちですが、小児がんにおいては違うのだとおっしゃいます。

楠木さん「大人の病気は早期発見、早期治療と言われますよね。子どもの場合は進行が速いっていうことがありますけども、そもそも早期発見ができないっていう現実もあるんです。ただ治るか治らないかに関しては、病気の性格、関西弁でいうところの“タチ”ですね。どんどん大きくなっていてもタチの良いものだったら治りますし、逆に小さくてもタチの悪いものだったら転移しやすいとか、治りにくいというのがあります」

早期発見が大事というのが今世の中にはあるために、ご家族が「なんでもっと早く見つけてあげられなかったんだろう」と思って悩んでしまうのが困るところだとおっしゃいます。

早期発見は治癒率とは関係ないっていうのが世の中で広がっていけば、お母さんもそういう風な罪悪感に苛まれることも減ると思いますので、正しい知識を広めたいというのも活動の大きな目的です。

金銭的に負担なく利用できる「チャイルド・ケモ・ハウス」

先生がそうやっていろんな活動をしている中でも、評価されて自信になった出来事ってなにかありますか?

いろんな社会起業家みたいな方が集まる「社会イノベーター公志園」というイベントが数年前にありまして、いろんな多くのビジネスマンの方々を中心に、自分達の思いをスピーチする機会をいただいたんです。

楠木さん「半年間、月1回合宿みたいなものを組んでやっていくっていうもので、なかなか大変でした。最後に1000人以上の方の前でスピーチコンテストみたいなことをするんですが、そこで代表フェローに選んでいただきまして、たくさんの方々になかなか伝わらない小児がんっていう分野を伝えらえて、かつ認めていただけたっていうことは私自身、非常に勇気をもらいました」

1000人以上の前で!すごいですね。
チャイルド・ケモ・ハウス自体は神戸の方にあるわけじゃないですか。たとえば神戸以外に住んでいる子ども達も入ることはできるんですか?

可能ですよ。2つパターンがあって、入院という状況で使うのであれば診療の範疇に入りますので、その場合は実質ほぼ無料です。
有料の場合も、小さい部屋で一日一部屋1,000円とか。

安いですね!

僕も施設を見に行かせていただきましたけども、普通のホテルみたいにすごく広くて綺麗な施設でした。

「子育て世代はどうしてもお金がないのが当たり前で、そこで誰もが使えないと意味がない施設になってしまうので、誰しもが使えるような値段設定になっています」と楠木さん。

小児がん患者のお父さんのためのコミュニティ

楠木さんは、「足るを知る」という言葉をずっと座右の銘にしていらっしゃるそうです。

楠木さん「今自身が本当に幸せなんだっていうことをいつも噛みしめるというか、それが本当に幸せなことなんだということを忘れずに過ごして、次のステップに進みたいと思っています」

「病気や障がいを持っている子も持っていない子も、同じように楽しめる世の中にはしないといけない」という楠木さんは、今後そういった仕組み作りやイベント開催など何かできないかと考えているそうです。

それから親のことでいうと、お母さん同士ってしゃべったりして辛い思いを共有できるんですけど、お父さんって子どもが病気で入院していても頑張って仕事に行かなければいけないと。
職場でもそういうことをわかってもらえる人がいなくて結構抱えてる方がいらっしゃるんですよね。

そういったお父さん達が集まれたり、辛さを共有して和らげられる場を作る取り組みもしていきたいとお話してくださいました。

「辛いことを語りましょう」じゃなくて、何か楽しいことをして集まったけど、その場では辛い経験をしたことも隠さなくていいと。
そういうイベントみたいなのができたらお父さんも参加しやすいかなと思っています。

まだまだ小児がんの認知度が低いため、少しでも多くの方に知ってもらうための活動も積極的に続けていきたいとおっしゃっていました。

未来の子ども達のために我々ができることがあれば、谷さんも私もぜひともご協力したいと思います。
そして「チャイルド・ケモ・ハウス」は小児がんを患っている家族の皆さんを支える施設ですので、皆様もご支援ご協力よろしくお願いいたします。

楠木さん、2週にわたりお越しいただいてありがとうございました!

チャイルド・ケモ・ハウス

小児がんをはじめとした医療ケアが必要な子ども・若年成人と家族のための施設。