U.K.こと楠雄二朗さん(Uちゃん)と、株式会社エースタイルの谷本吉紹社長(谷さん)がDJを務めるラジオ番組「それU.K.!! ミライbridge」。
前半は、関西で活躍しているビジネスマン、アスリート、有名人をピックアップし、その方のイマまでの歩み、そして、ミライについてお話を伺うミライ・リーダーのコーナー。
第103回目は、株式会社TDF 代表取締役・佐藤隆さんをゲストにお招きしています!
きっかけは祖母の介護を目の当たりにしたこと
老人ホームや訪問看護ステーションの運営のほか、別法人で病院関係の運営をされていらっしゃるという佐藤さんにお越しいただきました。
介護関係にまつわるすべてをやってらっしゃる、と言っても過言ではないですよね。
2021年5月で19年目になるそうですが、今から21年前に佐藤さんのお婆様が介護状態になられたそうで、「介護とは何なんだろう」というのを考え出したことがきっかけで、今のこのお仕事を始めようと思われたのだとおっしゃいます。
エースタイルと同業にあたりますが、谷さんとは税理士さんの紹介で知り合ったそうです。
谷さんの会社と似てるからこそライバルになる、というのはないんですか?
うちは大阪市内の北東部よりで運営していて、佐藤社長のところは大阪市内の南部から堺、岸和田なので上手くエリア分けができているんですよ。
そうですね。
北部方面で案件がありましたら、谷本社長にご連絡させてもらっています。
谷さん「そうです、振ってくれるんです。僕も逆に『良い案件ありましたよ』みたいにご連絡したり……」
Uちゃん「すごく良い関係性ですね」
利用者さんが亡くなった後の“エンジェルケア”
そんな佐藤さんですが、このお仕事を始められて、最も印象に残っていることを聞いてみました。
利用者様がお亡くなりになった時に、看護師全員でエンジェルケアをして送り出してあげるんですよ。
谷さん「硬直してる状態なので早くケアをしてあげないと、ご家族の方が見られた時に一番美しい顔にするというのが難しくなるんです。お顔を綺麗にしてあげたりとか、その処置を看護師さんがすることをエンジェルケアと言うんですよね」
佐藤さん「そこからお風呂で硬直している体をほぐしてあげたりと、ケアしているのを見ていると、このお仕事をしていてすごく良かったなと思いましたね」
お話を聞いてるだけで、映画『おくりびと』を見ているような感覚に捉われました。
あの映画を見た時に「いずれ自分もそういう時期が来るんだな」と思って、自分のそばにいる人をもっと大切にしなければいけないなっていう気持ちになったんですよ。
社長自身もそういう気持ちになられたのかもしれないですよね、従業員を見て。
「形は違うんですけど、小さい頃からずっと人助けばっかりしていたので、これからもずっと人助けに関わっていけたらいいかなと思っています」と佐藤さん。
未曽有のコロナ禍に直面した現場のエピソード
そんな中、今までで最も大変だったという昨年2020年に起きたこんなエピソードも。
うちの施設でコロナが蔓延して、利用者さんとスタッフがほぼ全員感染してしまったんです。
通常、保健所からの指示に従って対応しなければならないところ、当時は保健所もパンクしており連絡が来ないという状況に……。
佐藤さん「看護師の指示でみんな動いていくっていう形になるんですけど、うちの施設では基本的に要介護4、5の重度者の方が多いので、寝たきりの方が多いんですよ。たん吸引だったり、胃ろうでお腹から食事を与える作業もそうですし、すべて看護師さんの指示にしたがって動いているっていう状況。おむつ交換などはヘルパーさんが動くっていう状況になっているんですけど、陰性だったスタッフも陽性に変わっていくっていう悲惨な状況がずっと続いていて……」
佐藤さんも現場のスタッフさんも、みんなでコロナ収束まで泊まり込みで対応する日々が続いたのだそうです。
そこから2~3週間ほどかけて収束していったとおっしゃいます。
佐藤社長から聞いたんですが、“全員が陽性者と思ってやろう”という気持ちで乗り切られたんですよね。
谷さん「防護服を来て、なおかつ使った手袋なども一回一回破棄してすべての処置を行ったり、施設内で赤色、黄色、青色ゾーンっていう風に色でエリア分けをして、“青色ゾーンだけは一人で休憩できる唯一の安らぐ場所”というのを作ったりと、すべてTDFさんが構築されたというのを僕も色々と教えてもらったんです。おそらく保健所の指導を上回っている対処方法じゃないかなと思います」
ある利用者さんの忘れられない“看取り”の話
「助ける」「助けたい」というのを口癖のようにおっしゃっているという佐藤さん。
谷さんから見て、「この社長はここがすごい」と思うところは?
行動力と決断力の早さですね。
谷さん「人間なので判断を間違うこともあるでしょうけど、でもその時でも間違いを人のせいにせずに、従業員を楽しんで働かせてあげたいなっていう思いがSNSを通じて見られるんですよね。実際にこうしてお話させてもらっても、それをすごく感じました」
先程お伺いしたコロナのお話以外に、今までで印象に残っている良いエピソードって何かありますか?
看取りで、利用者様がお亡くなりになる直前のできごとなんですが……
佐藤さん「スタッフに対しても僕に対しても、すごく良くしてくれた利用者さんで、ウイスキーがすごく好きな方だったんです。その方の意識がすごく朦朧としていく中で、ウイスキーを買いに行って匂いをかがせてあげたんですよ。そうするとしゃべり出したんですよ。それが今思い出しました中で、一番印象に残ってますかね」
その方が感動する、本当に一番大切なものを最後に捧げるって、すごく良い仕事ですよね。
本当にね。そういうお仕事って他にないじゃないですか、医療系以外にね。
谷さん「そういったところに私どもが従事させていただいているっていうのが嬉しいですし、何よりもその仕事がしたいと言ってスタッフが集まってくる。そのスタッフが可愛くてね、仕方がないんですよ。だから、僕たちにできることがあればスタッフに対して還元していきたいなっていう、そういう思いも佐藤社長と一緒なんですよ」
次回も引き続き、いろいろなお話を伺っていきたいと思います。