「それU.K.ミライbridge」 後半は、 大阪難波にあるFM OH!の中に、日曜日のこの時間にだけオープンするパートナーズカフェ。
介護・福祉・看護業界で活躍されている、普段はなかなか脚光を浴びない方々に、スポットライトをあてて主役にしていくコーナーです。
第41回目のゲストは、将棋プロ棋士・今泉健司さん。
今回はお茶の間のアイドルU.K.さん(Uちゃん)と、YouTuberユニット「介護あかるくらぶ」のきったんがお届けします!
※3月下旬に収録したものを放送&掲載しております。
将棋界に恋い焦がれる元介護士だった⁉
今日のゲストは、なんと介護士からプロの棋士になられた今泉健司さん。
今泉さんは、戦後最高齢の41歳で将棋界にプロ入りされた方なんですよ!
プロの棋士になるには、通常、奨励会という日本将棋連盟のプロ棋士養成機関に入ります。
満21歳の誕生日までに初段、満26歳の誕生を含むリーグ終了までに四段になれなかった場合は退会となる決まりになっています(条件により在籍延長あり)。
チャレンジして失敗してっていうのを繰り返して、2回目の失敗をして退会になった時、35歳だったんです。
そのあいだ、今泉さんは介護士をされていました。
プロ棋士を目指しながらの仕事でしたが、意外にも「これは自分の天職だな」と気づくまでそう時間はかからなかったとおっしゃいます。
今泉さん「35歳くらいまで「感謝」っていう言葉への実感がなかったんです。でも介護士の仕事を通して、学んだことがたくさんありました」
いろいろと迷惑をかけたりもしましたが、本当にたくさんの方々にお世話になって助けていただいたんです。
それを一つひとつ実感するたびに『皆さんに助けられて生きているんだな』と感じましたね。
与えてもらった感謝を返さなければ、という思いで自分なりの誠の心で利用者さんに尽くし、それがとても楽しかったとお話してくださいました。
そして周りの人に支えられながら、いよいよプロデビューへの道が目の前に迫ります。
戦後最高齢!念願のプロ棋士としてデビュー
介護に出会えたことが、プロ棋士になる道への何か筋書きになっているような部分があるんでしょうか?
はい、本当に奇跡的な筋書きのようで。
介護士としての経験の中で大きな出来事は、“目の前の人が亡くなっていく”というのを実感したことなんです。
そのたびに「自分が明日死んでも何一つ不思議はないんだな」と。
「そう感じた以上は、日々悔いなきように精一杯生きなければ」と、その時はっきりと感じられたそうです。
そして毎日を全力で生き、周りの人たちを笑顔にするということを心がけていくうちに、気持ちの面でもとても良い循環が生まれたとおっしゃいます。
今泉さん「そうするとその良い循環が影響して、不思議と将棋の好成績を生んだんですよ!」
感謝の気持ちを大事にしながら介護士として活躍する傍ら、プロになる夢を諦めず追い続けた結果、今泉さんは41歳の時にプロ編入試験に合格!
プロ棋士としてデビューすることになりました。
夢の舞台で“みんなを笑顔に”
プロとなり、いよいよ夢の舞台で活躍することになった今泉さん。
なかには、14歳2カ月で史上最年少のプロ棋士となった強者・藤井聡太さんとのエピソードも。
数年前にプロ入りして破竹の勢いで連勝、最年少棋士記録も塗り替えていった藤井七段との試合に、今泉さんは勝利したことがあるんですよ!
最後の最後で逆転勝ち。それも人間味あふれる勝負やったんです。
すごー!!
“全力で生きる”っていう真剣さ、それが毎回勝負に出ているのかもしれませんね。
藤井七段と対局する時も、「自分の力をすべて出すしかない」と思ってすごく気持ちがこもっていましたね。
そういう自分らしさは出せたのかなと思っています。
藤井さんと対局し勝利をおさめることができたのも、厳しいプロ編入試験の試合に勝って合格し、見事に夢を叶えた経験があったからこそ。
プロになった瞬間の試合も介護施設の人たちが生放送で見てくれてて、みんな「うわ~‼」って喜んで、涙も流してね。
心から応援されていたんですよ。
本当にありがたいです!
周りの人があれだけ喜んでくださるなんて、もう本当に夢のようで、ただただ皆さまに感謝っていう言葉しか出てこなかったです。
「今泉さんに出会って、人間の原点を見たような気がする」とお話を聞いていたU.K.さん。
人は自分のために生きているんだけれど、自分ために生きるということは“人の役に立つ”ということなんだと、改めて実感しました。
――『将棋を通じて皆さまの笑顔の元になる』というモットーを持つ今泉さんから、最後に皆さんへのメッセージをいただきました。
今泉さん「41歳という戦後最高齢でプロにならせてもらったということは、“自分なりにしないといけないこと”が必ず存在するということだと思うんです。だからこのラジオを聞いてくださった方や、将棋でご縁がある方に、ちょっとでも面白いやつがいるな~って思ってもらえるような人生を歩み続けたいと思います」
これからも皆を笑顔にしてくれる素敵な棋士としてご活躍されるよう、応援しています!