U.K.こと楠雄二朗さん(Uちゃん)と、株式会社エースタイルの谷本吉紹社長(谷さん)がDJを務めるラジオ番組「それU.K.ミライbridge」
前半は、関西で活躍しているビジネスマン、アスリート、有名人をピックアップし、その方のイマまでの歩み、そして、ミライについてお話を伺うミライ・リーダーのコーナー。
第8回目の今回は「大阪府 商工労働部雇用推進室」課長補佐・山本恭一(やまもときょういち)さんをゲストにお招きしています!
大阪府のニート対策
大阪府の雇用推進室で、働きたいと思うすべての人が、大阪で元気にいきいきと働けるような環境づくり、仕組みづくりに取り組む山本さん。
中でも、なかなか仕事に就けない、社会に混じりにくい、ニートと呼ばれる若者たちに、少しでも環境のいい状況を作っていきたいという想いで活動されています。
現在、取り組みの中で1番効果が出ているのは職場実習・職場体験だといいます。
企業側は面接ではわからない本人の良さを見ることができ、若い人たちにとってもその職場で自分の力が発揮できるか、どういった仕事が向いているのか、試すことができます。
ニートの子たちってね、実際に働けるし、働きたいと思ってるんですよね 。
しかし、なかなかマッチングに繋がらないという現実がある。山本さんは「働くことはある意味、企業と求職者のお見合い」だと語ります。
山本さん「そのお見合いを1回の面接とかで決めてしまっている。それでは若い子たちの本当の良さってわからないんですよね。だから職場体験を通じてしっかりマッチングを図っていくと、ニートって呼ばれる子たちも実際に働けるようになることがあるんです」
ニートに見る日本の雇用制度の特殊性
ニートというだけで不適合者だと決めつけているステレオタイプってあるじゃないですか。
これはですね、非常に問題だと思っています。
ニートという言葉はイギリスから輸入された言葉で「Not in Education, Employment or Training」の頭文字をとった言葉です。
働いていない・学校に行っていない・職業訓練を受けていない状態にある若者という意味の言葉ですが、「Not in」で始まっているため、働きたくない・怠け者という風に非常にネガティブに捉えられています。
大阪府では別の名称でニート対策に取り組んでいると伺いました。
今はあまり使われていませんが、ニートのネガティブな意味を少しでも改めたいという想いで「レイブル」という呼称をつけました。
レイブルとは「Late bloomer(レイトブルーマー)」——「遅咲き」という意味の略称です。欧米では学校を卒業しても働いていない状態の若者のことをそう呼んで、寛容に受け止めて応援しようという機運があるそうです。
しかし、レイトブルーマーの考え方は、日本ではあまり定着していません。
これを山本さんは「日本の特殊な雇用システム」に理由があると考えています。
1つは学卒一括採用です。これは就職率が高い反面、そこから外れてしまうとなかなか就職できないというデメリットがあります。
また、一社に入って勤め上げるという終身雇用制度の価値観は未だに強く残っていることも理由の1つではないかと考えられています。
だから学校卒業した状態でいったん仕事から外れてしまうと非常にネガティブに捉えられてしまうんです。
ニートの神様じゃない——山本さんのポリシー
このお仕事を長く続けてこられた、山本さんの原動力ってなんですか?
山本さん「私たち大阪府職員ですから。府民のためになることをやるということを見たときに、ニートっていうような、レッテルを貼られて、非常に苦しんでいる若者が目の前にいるわけです。そういった子たちをしっかりと応援していくことが私たちの仕事だと思うので、それをポリシーに頑張っています」
長年この仕事を続けていると「まるでニートの神様みたいだ」と言われることもあるそうです。しかし、山本さんはそれは良くないと思ってらっしゃるそうです。
山本さん「NPO法人さんとか、民間で想いを持って取り組んできた方々が先行してるんです。ほんとこんなお金にならない仕事なのに、一生懸命がんばっているわけですよ。一方で私なんかは、皆さんの税金でお金をもらってお仕事をしている。それなのに私がニートの神様みたいに言われるのは、そうやって民間で頑張っておられる方に非常に失礼だなって思ってます」
その謙虚な姿勢に、山本さんのこの仕事に対する強いポリシーを感じる一幕でした。
五代友厚プロジェクト
山本さんは映画「五代友厚(仮称)」や、9月23日に発表会が行われる「五代甲子園」にも携わっています。
こちらの情報からも目が離せません!