高齢者への支援のポイント
認知症は高齢者だけに起こる病気といったイメージがありましたが、近年では若い年齢で発症する若年性認知症が増えています。もし、定年退職よりも前に発症してしまうと、生活基盤にも大きな支障が出てしまうでしょう。そうならないためにも、若年性認知症の予防方法について覚えておくことが大切です。
認知症を患うのは高齢者だけではない
65歳未満の人が発症する認知症は、まとめて「若年性認知症」と呼ばれています。まれに10~30代で発症するケースもありますが、多いのは40代~50代です。
若年性の認知症も症状はおおむね同じですが、その原因が異なります。65歳以上の高齢者は脳そのものが原因となるアルツハイマー型認知症が一般的です。一方で、若年性認知症は、脳梗塞やくも膜下出血、脳動脈硬化といった、血管に関する病気が原因で起こる脳血管性認知症が多い傾向にあります。
若年性認知症は発見が遅れがちなため、高齢者による発症と比較して、診断に時間がかかることも指摘されています。物忘れがひどくなったり、仕事や日常生活に不便が生じたりしても、年齢の若さから本人や家族も認知症だとは思いづらいのがその原因です。医師の診断を受けたとしても、うつ病や更年期障害との見分けがつきづらく、認知症として診断されないこともあります。
若年性認知症は、発症してしまえば発見が遅れケアもしづらくなってしまう病気といえるでしょう。それだけに、普段からケアを心がけていくことが求められます。
正しい食生活を心がけることが予防の第一歩
若年性認知症の予防は、まず正しい食生活から取り組みましょう。特に、塩分や糖質の摂取量には要注意です。塩分の摂り過ぎは高血圧を招き、認知症そのものや脳の血管に起こる病気の原因となります。
また、糖質は、肥満を招くとともに糖尿病のリスクを高めます。さらに糖尿病は動脈硬化の原因にもなるため、糖質を摂り過ぎないことを意識してください。肥満の人は、上記のような糖尿病や動脈硬化に対するリスクが高く、認知症のリスクも高まるとされています。糖分だけでなく、バターや牛肉、豚肉など動物性脂肪は控えめにしましょう。
認知症予防として、血流をよくする青魚、脳を活性化するビタミンやミネラルを含む野菜や果物が良いとされます。そのほかにも、アルコールを控えて緑茶を飲むなど、飲み物にも注意すると良いでしょう。
また、食べ物だけでなく食べ方も意識してみてください。よく噛んでゆっくり食べることは認知症予防にも有効とされます。満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防ぐとともに、脳への刺激となるからです。
生活習慣を変えるのは容易ではない
若年性認知症の予防方法としては、食生活以外にも運動習慣や睡眠習慣、ストレスとの付き合い方も挙げられています。健康的な生活習慣を普段から送っている方であれば、意識して継続するだけで問題ないものの、そうでない方にとって一度にこれらの習慣を変更することは容易ではありません。
そこで、上記のような食生活に関する習慣を改めていくことからはじめてみましょう。たとえば、週に2日はファーストフードやコンビニ食を控える、普段よりも野菜を多めに摂るといった守れそうな範囲でルールを設けてみてください。地道に取り組むことで、認知症予防にもつながっていくはずです。
若年層の認知症患者が増えている
厚生労働省の調査によれば、現在、65歳未満の「若年層」にも3.8万人の認知症がいるとされます。自分でも気づいていないだけ、という方も含めればもっと多いでしょう。
遠い未来のことや、他人事とは思わずに、取り組める範囲からでも生活習慣の見直しをしていくことが大切です。若年性認知症は、脳血管性であることが知られていますから、食生活や運動不足、ストレスといった点をケアすることで予防につながりますから、意識してみてください。