高齢者がなる転ぶ病気と運動で鍛える方法
高齢者がなる転ぶ病気と運動で鍛える方法

高齢者への支援のポイント

小さな段差に躓き、転びやすくなるというのは、高齢者に多く起きる現象です。転ぶ理由は加齢による老化の場合もありますが、病気の可能性もあります。その一つとして挙げられるのが「パーキンソン病」です。パーキンソン病の特徴や症状、対策について紹介しましょう。

よく転びやすいのはパーキンソン病の可能性

筋力が低下し、足腰や膝が弱くなった高齢者は、障害物がなくても転ぶことが多いです。その原因の一つに、パーキンソン病という病気の可能性があります。

パーキンソン病は、60歳代に100人1人が発症している病気です。年齢を重ねるごとに発症しやすいと言われていますが、50歳以下でも発症するケースもあります。生命に関わる重い病気ではありませんが、日常生活に支障が出ることもあるため、本人だけでなく家族も負担を抱えることになります。

症状は転びやすいだけではない

パーキンソン病の症状は、転びやすいこと以外に震えや筋肉の凝固、バランスが悪くなるといったことが挙げられます。具体的な症状は次のようなものになります。

  • じっとしているときや歩いているときに手足や顎が震える
  • 震えが動くと止まる
  • 立ち上がる、歩く、といった動作がゆっくりとしている
  • 無意識に行うまばたきなどの動作が少なくなる
  • 歩幅や文字が小さくなる
  • 表情が乏しくなる
  • 体の向きなどをスムーズに変えられなくなる
  • 立ち姿勢が前かがみになる
  • 歩いていると勢いがつき、小走りになる
  • すくみ足が起こる

上記のような症状に加え、便秘や頻尿になったり、睡眠障害になったりすることもあります。これらはパーキンソン病の一例ですが、他の病気の可能性もあるため、気になる方は一度病院で診察するようにしましょう。

パーキンソン病の症状レベル

パーキンソン病にもレベルがあります。それがヤールと呼ばれるもので、パーキンソン病の症状の程度を表すのに使われています。

【ヤール1度】
・症状は軽度で、片方の手足だけに現れている
【ヤール2度】
・体の両側に症状が出ているが日常生活に支障がない
・多少の歩行障害がある
・姿勢反射障害はない
【ヤール3度】
・姿勢反射障害がある
・自立した生活はできるが、職種によっては変更が必要
【ヤール4度】
・起立や歩行はサポートが必要
・日常生活において介助が必要
【ヤール5度】
・車いす、または寝たきりになる
・日常生活においては全面的に介助が必要

早期から運動でリハビリを

パーキンソン病の治療の一つに理学療法があります。パーキンソン病は、そのまま放置しておくと病状が悪化し、体を動かせなくなることも考えられます。特にパーキンソン病の人は、意欲も低下し、運動をする気力もなくなってしまいがちです。身体機能が低下を防ぐためにも、早い段階から適度な運動をするようにしましょう。

リハビリには、身体全体を動かす運動があり、筋肉や関節を柔らかくして動作をスムーズにする効果が期待できます。また、薬物療法も、早期に始めることが望ましいと言われています。治療方法や今後の見通しなどについては、担当医と相談して、予防やリハビリを行うようにしましょう。

手足や顎が震える本態性震戦(ほんたいせいしんせん)やパーキンソン症候群など、パーキンソン病と似ている病気もあります。例えば、パーキンソン症状群は手足の震えや動作がゆっくりになる、転びやすくなるなどの症状が似ています。しかし、原因は脳神経系のトラブルのため、パーキンソン病とは違ったリハビリを行う必要があるのです。

パーキンソン病は、早い段階に発見できれば進行を遅らせることができる病気です。症状が少しでもみられたら、すぐに診察を受け、治療や今後の見通しについて医師と相談することをおすすめします。また、できるだけ体を動かすリハビリを行い、少しでも身体機能の低下を防ぐことが大切です。